Gモト|「THE RIDER」本田七海 vol. 21

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本田七海選手の「正直でシンプルなレース活動」を「リアル」にお伝えする【THE RIDER 本田七海】。

VOL. 21は「私のリスタート」として、全日本モトクロス選手権 第4戦 中国大会 TOHO Racing CUPでの苦しんだ末に手にした6戦ぶりに優勝をお届けします。

今回の優勝は、2022年に本田選手自身で生み出した新生本田七海の新たな第一歩かもしれません。本田七海ファンの皆さん、優勝おめでとうございます!

 

私は本当に何に対しても自信がないのかな?」って泣きながら語った第2戦から、練習量を増やしコツコツ積み上げ、開幕戦に近い「好調と自信」で挑んだ第4戦。ヒート1優勝と総合優勝できた要因は2つあったと思います。

まず「自信」を自分自身でコントロールし自己突破力を向上させた事。土曜日の公式練習で激しく転倒、5月の苦しみ再来か? と不安がよぎりましたが、予選までにメンタルを修正し予選トップ通過。次に「全走行においてクラストップタイム」を出した事。これは本田選手が「勝つために」こだわっている事の1つ。LMXは各走行時間が短いので毎走行をきっちりまとめていく事が重要となります。

中国大会の結果は本田選手が、ヒート優勝も含め2日間、4ストロークが有利な全日本モトクロスコースでしっかり集中して走れたという結果です。

 

ではでは、今回の勝因を紐解いてみましょう!

今大会のようなマウンテンコースは、2ストローク85ccでは4ストローク150cc勢相手に「コーナー出口の加速から上りでは追いつけない。」という現実があり、これが最大の難関。これに対し本田選手は2ストローク車両の軽さを武器にする為、常に「コーナーリング速度と脱出速度の向上、ジャンプをより低く速く飛ぶ事の向上」を練習の課題とし、取り組んでいます。これは2ストロークライダー共通事項ともいえるでしょう。

 

「得意」とするジャンプ。他の選手が飛ばないジャンプを飛びパッシングするなど、本田選手のジャンプには他のライダーにはない定評があります。

今大会の「ジャンプを低く速く飛ぶ」は、この広島でさらに完成度が上がり、予選最終ラップ最終コーナーからゴールまでの上りストレートジャンプセクションで川井選手に追いつき抜いた場面でも成果が発揮されました。

 

コレは意外と重要なポイントで、第3戦SUGO大会から下りストレートのラインどりの幅が広がりました。上りで追いつけない分、下りで前走者との距離をつめるために、比較的「路面が荒れていないコースサイドのギリギリ」を攻めスピードアップをはかっています。

下りを攻める事は高いリスクを伴いますが、現状の車両性能差では「下りで差をつめるしかない」のが現実です。本田選手は、集中し転倒と紙一重まで攻めていきます。

 

コーナーはセクションとセクションを結びます。コーナーリングは「旋回速度の高さ」いかに速度を落とさずにコーナー出口を速い速度で通過するかを追求しています。

中国大会会場の世羅グリーンパーク弘楽園は「アウトバンクを使えるコース」。アウトバンクをフルに使い、下りで上げた進入速度を落とさないようコーナー出口を通過し上りへとつなげます。毎コーナー「ミスは許されない」緊張感のあるセクションです。

 

骨盤が起き、背筋が伸び、ステップへの荷重をしっかりと意識しながら目線を先へ。バイクをしなやかに前へ進めていく。

各セクションを結び付けつる世界基準のライディングフォーム。LMXクラスで、このライディングフォームを身につけているのは本田選手だけ。

これが本田七海スタイル、カッコイイLMXの真骨頂。

 

チームにはその走りを支える「情報量、分析力」それを知る環境が整っています。

中国大会はチーム一丸となって挑み、これらリソースが噛み合い、集中力を切らさず、粘り強く走りヒート1の優勝につながりました。スタッフが献身的に動く、ライダーファーストの環境だからでしょう。

 

Gモト:本田選手「ヒート1 – 1位、ヒート2 – 2位、総合優勝」おめでとうございます。苦しかった状況をやっぱり突破してくれましたね。うれしいです。ここから夏のインターバルを迎えるんですが「ここまでで手応えを感じている」事は?

本田七海:んーそうですね。やっと「自分の走り」かなって、私自身が思えるようになったかな。第3戦までと違い「練習で積み重ねてきた事」がレースに出せるようになったというのが手応えです。

Gモト:その秘訣は?
本田七海:勝ちを意識せず「練習してきた通りに走ろう」という事を1番意識した事ですね。

Gモト:練習してきた通りに走ろうって考え走り、勝てるレースができるって良いです! チャンピオン獲得に向け、今後の勝負どころは?
本田七海:今後というか、今回が勝負どころだったと思います。両ヒート優勝し、夏のインターバルを迎えたかった。ヒート2も勝てるチャンスはあったかと思うんですが、ランキングトップの川井選手まで「3ポイント差」までつめられた。次戦は9月の地元開催「近畿大会」。約2ヶ月のインターバルがあるので、しっかり練習し圧倒的なスピードで優勝できるよう取り組みます。

Gモト:自分の事だけに集中できるようになってきましたね! 課題は?
本田七海:まずはスタートです。チャンピオンを獲得した2019年はホールショット率が高かったんです。まず、そこに戻す事。そして私の長所である「レース序盤でのスピード」を活かし、スタートが決まればガンガン逃げる、決まらなくても2周目3周目までにレース中盤以降トップ争いができる位置まで上がる。次に、決勝レース直前までに「私とチームが共有している情報」の実行力。コレができないと残り3戦、チャンピオン獲得に向け厳しいレースが続く事になってしまいます。

 

Gモト:夏のインターバルにどのような取り組みをしますか?


本田七海:スタート練習も大切なんですが、その手前「スタートする場所の準備」。場所選びや地均しなど細かく見直しスタート練習に取り組みます。スタート前に「これで出れる」と思えるように。

Gモト:チャンピオン獲得に自信はありますか?

本田七海:自信というか、やらなくてはならない事です。


Gモト:はい、わかりましたー。笑

Gモト:今回、ライディングの改善で自信になった事は?

本田七海:今まで1番改善しなくてはならなかった「低いギアで走ってしまう」事。今日のヒート2は意識して少し改善でき、昨日のヒート1より今日は自分らしい走りができました。勝てなかったけど、スタートから出遅れても15分のレースであそこまで川井選手に追いつけたっていうのは、調子が良いんだとなって思ってます。まだまだ満足のいく走り、レースではないので改善点を克服します。ランキングトップまで3ポイント、十分戦えるので次戦地元名近畿大会で逆転ランキングトップを狙います。

 

「おめでとう!」って心の底から思えるレースでした。苦しんだからこその喜びがあったり、納得できない事があったりだと思いますが、本当に「がんばった」と思います。そして辻本オーナーはじめスタッフの皆さん、スポンサー各社さんが「一丸となってレースに挑んだ」からこその勝ちではないでしょうか。

日常の練習やトレーニングだけの積み重ねだけではなく、バイク整備にも余念がありません。今回乗ったバイクは、本田選手ご自身がコツコツ組み上げた1台で、バイクを知っている強さも発揮されたんではないでしょうか。

勝ったレースの後でも「50点だった」なんていう言葉が出るTEAM KOH-Zさんですが、ライダー自身の可能性と努力を知っているし、信じているからこその言葉だと思います。とはいえ本田選手の100点のレースってどんなレースになっちゃうの!?「きっと」じゃなく、「絶対」やれるんだよね。本田七海のモトクロスにはそう思わせてくれる輝きがある!

「私のリスタート」が始まる。

 

ココ」が私達のスタート地点だった事をきっかけに「書きたい!」とういう気持ちだけで【THE RIDER本田七海】は始まり、今シーズンで3年目を迎えた「シーズン3」です。最近では「見てますよー」って声をかけていただけるようになりました(すごく嬉しい)。こんなに!うれしい事が起きるのも、ななちゃんのおかげです。喜怒哀楽の詰まったシンプルで正直な彼女だから書けています。

本田七海という女性は「人を惹きつける魅力」を兼ね備えた人。ライダーというフィルターを通じ、たくさんの人を「魅了」し続け、彼女のレースを華やかにしています。そして彼女が「レースをがんばる」という「幸せなルーティーン」が今まさに、更なる加速をし始め全開です!

彼女自身が生み出し作り続けている環境で「ライダー本田七海」として、どこまで突き抜けていけるのか? 彼女との幸せのルーティーンをずっと続けていきたいと、誰しも思うはずだ。ななちゃん、今後も怪我なく走り続けてください。

 

今回も取材にご協力いただきましたTEAM KOH-Zの皆さん、スポンサー各社の皆さん、ありがとうございました。

 

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