Gモト|「THE RIDER」本田七海 vol. 20

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レースファンの皆さんに「本田七海選手の正直でシンプルなレース活動」をリアルにお伝えしています「THE RIDER 本田七海」。VOL. 20では第2戦関東大会から第3戦SUGO大会までを本田選手と一緒に振り返りながらお届け。

苦しく辛いレースインターバルを乗り越え表彰台に復帰、自分を取り戻し第4戦に挑みます。
まず最初に、全日本モトクロス選手権開幕戦HSR九州大会直後の本田選手のコメントからが今回の始まりです。

「朝の公式練習から調子良く乗れたんですが、決勝レースはスタートから出遅れてしまい追い上げのレースに。1周目ポジションを2位まで上げ、トップも見えていたんですがペースを上げることができませんでした。私の1番の課題が昨年から改善できていなかった結果です。シーズンオフの取り組みは間違っていないんですが、まだまだ足りなかった。次戦、関東大会までに必ず改善し勝ちます。」 「シーズンオフの取り組みは間違っていないんですが、まだまだ足りなかった。」

この言葉が第3戦SUGO大会まで彼女を苦しめることに。

 

5月1日月曜日、オフロードビレッジ。第2戦腕時計のベルモンドCUPで勝つために向けたゴールデンウィーク合宿初日。開幕戦のデータを見直し、改善すべき事、ライバルより自分が優れている事、自分にしかできない事を確認し始まった。「自分に必要な事、自分の優れている事が確認できました!」。

 

順調にメニューをこなしていた矢先・・・高速セクションでバランスを崩し大転倒。ヘルメットが割れるほどの衝撃で脳震盪を起こし初日が終了。

 

Gモト:合宿初日を振り返ると?

本田七海:んーあんまり記憶にないんだけど・・・シーズンオフに開幕戦を勝つために取り組んできたけど勝てなかった。第2戦は「勝つためにがんばろう」と思ったけど自分の心のスイッチが切れてしまった。でもレースは続くので、第2戦の会場オフロードビレッジへ練習に行きました。正直に言うと走行前から、走っても調子悪いだろうなぁ、乗れないだろうなぁって考えてしまいました。でも、やるべき事はたくさんあるので練習に取り組みましたが、やっぱり調子が悪く・・・でも「やらないと」という焦りもありの転倒だったと思います。

 

翌5月2日は休養し、第3戦の会場スポーツランドSUGOに移動。自分の意思で練習を再開するが、まったく調子が上がらず終了。

 

5月6日土曜日、合宿最終日を再びオフロードビレッジで迎える。レース前、最後のオフロードビレッジでの練習。この日はスタートゲートを使っての練習走行ができる日、午前中だけの予定で練習開始。開幕前の好調を取り戻せない不安と向き合う本田選手。レースは待ってくれない、自分で突破するしかない、自信を持って大阪に帰れるのか? 自分に挑む1日が始まった。

 

最終日は順調に進み、走行終了時間までキッチリ練習ができた。まだ本調子ではないがバイクテストができるまでに回復しホッとひと息。
曇りな天気でサングラスしてたのは・・・1日の転倒で青アザになった右目付近を隠してました。
安心してください、殴られてませんよ。笑

 

Gモト:合宿最終日を振り返ると?

本田七海:前日5日のSUGOでの練習も調子が悪く・・・でもレースはあるし、課題のスタート練習もしたいので予定通りオフロードビレッジで練習をしました。土曜日だったのもあって走行するライダーも多く、調子も良くない状況プラス私の後ろをついてくるライダーもいて嫌だったんですけど、逆に私についてくるライダーの後ろで走り周囲を見て走る事で、まだまだですがレースに向け調子が回復傾向になりました。

 

 

レースウィークが始まった。初日5月12日金曜日。満を持して全日本モトクロス選手権第2戦を迎えた本田選手とTEAM KOH-Z。レース前にできる事はキッチリやるチーム。「このチームだから私はレースができる」本田選手がずっと言い続けている言葉だ。他の選手がオフロードビレッジに居る頃、本田選手の姿はモトクロスビレッジにあった。スタートを決める事が勝つための最短距離と考え、武蔵重量 大内氏の協力で全日本で使用されているメタルグリットを作りモトクロスビレッジでスタート練習をしていたのだ。

 

本田選手に「これから一緒にモトクロスビレッジに行って欲しい」と言われた時に「えっまさか?」とは思いましたが「そのまさか!」が現実に。武蔵重量&本田七海のこだわりにビックリ!!モトクロスビレッジに居た皆さんもビックリしてました。笑 それを支えるチームオーナー辻本氏とスタッフさん。まさにプロフェッショナルモトクロスチーム!!

 

オフロードビレッジに戻り、アライヘルメットレーシングサービスさんに転倒した際のヘルメットを持参し確認してもらいました。

Gモト:アライヘルメットを使い続ける理由は?

本田七海:私の中でヘルメットはアライ!って決まっていて、今回の転倒もそうですが私は頭から転倒する事が多いんです。このヘルメットだから私は生きてるんだなって。あと、レーシングサービススタッフの皆さんがあたたかい! 常にライダーの気持ちに寄り添って声をかけていただいてます。

 

この日の最後は「オフビファン x 本田七海 x 世田谷レーシング」コラボレーションホスピタリティーブースと「本田七海応援チケット」の準備。

Gモト:ご自身初めてのコラボレーション企画はいかがでしたか? しかもチケット完売です!

本田七海:この企画のお話をいただいた時、私もチームも「えっ、私でチケット売れるの? 1枚2枚やったらどうしよう・・・」って思ったんです。売れなかったチーム内で買うよーなんて(笑)。私自身もチケットが売れるか心配でした。後日、Gモトクルーさんから「完売したよー」って聞いて安心しましたし、購入していただきありがたいなぁって。決勝レース当日に、購入していただいた皆さんとお会いでき、お話しさせてもらえて励みになりました。最近は「他のレース会場でもやってほしい。」というご意見もいただきます。今回、企画していただいたウエストポイント福本高大さん、スタッフの皆さんに感謝しています。

 

しっかり準備して迎えたレースウィーク2日目、5月13日土曜日。


Gモト:あの日「気持ちが楽です」って言ってたけど、準備万全だったから?

本田七海:正直、第2戦は開幕の時と違い不安でいっぱいでした。スタート練習もモトクロスビレッジでさせてもらって良かったんですが、実際に調子が良いぞ!って思えてレースに挑んだ訳ではないので不安でした。なので土曜日に走行がない事に対し「気持ちが楽」でした。笑

Gモト:そこか。笑ライダーならある不安ですね。気持ちわかります。笑

 

レースウィーク最終日、5月14日日曜日。いよいよ始まる決戦の日。勝つために準備はしてきた。第2戦はレースに集中してもらうため、取材はすべて決勝レース後に。

 

最初の走行、予選を兼ねた公式練習。ベストタイム1分46秒949。首位から、0.386差の2位通過。

 

スタッフとのミーティング後、1人自分の走りと向き合う。結果じゃない、課題は自分の力を出し切れるかだ。

 

決勝レースに挑む。本田選手は「レースに臨む」ではなく「挑む」と表現する。自分に挑み結果を出す為のレースが始まる。プロである以上、結果が全てだ。

 

レースは練習の成果が発揮されスタートも決まり勝てるポジションでスタートしたが、その後転倒。ペースも上がらず「8位」でゴール。

 

Gモト:今日のレースはいかがでしたか?

本田七海:今日のレースは・・・スタートも悪くなかったし、スタート直後にランキングトップの川井選手が転倒したのを見て「今日はイケる」と思いました。ですが、さらに攻める事ができず、川井選手が転倒したので無難に走れば大丈夫と考えてしまいました。直後に自分も転倒、集中力が途切れてしまい、レース中に気持ちを切り替えようとしたんですができず。腕も上がり、走行ラインとか改善する点も理解しているんですけど、どう変えて良いかもわからなくなり、追い上げてきた川井選手にも抜かれ、抜かれた時もついていこう思いましたがついていけず。なんか違うなって。私はホントに何に対しても自信がないのかな?って。土曜日にスタート練習をさせてもらい自信があったけど、レース前になると自信が持てなくなる。そういう気持ちになる自分に向き合うにはどうしたら良いのかな?って。そこを自分自身で変えていかないと、どれだけ練習しても、どれだけトレーニングしても、どれだけ追い込まれても、変われないんだと自覚しています。だから、次のレースは勝ちますって言い切れるか?と言われたら・・・。開幕戦の後は、そう思ったけど今は不安でいっぱいです。スタート練習の準備をしていただいた武蔵重量さん、応援チケットを購入していただいた皆さん、応援していただいているレースファンの皆さんに申し訳ないです。

 

この話しを聞いた時あらためて本当に正直だなって感じ、THE RIDER本田七海vol. 1 を思い出しました。印象的な言葉が3つあります。

「速いのになんでチャンピオンを取れないのって言われます」、
「私は負けず嫌いではないんです」、「水泳が好きなんですが、水泳にはレーンがありますよね。レーンの中で自分と向き合う水泳競技の方が好きなんです。モトクロスのように同じコース内で競い合うレースは得意ではないんです」

速さと勝負強さは違う。
本田選手は誰もが認めるように、日本のコースに有利な4スト勢に対抗できる、LMXクラス随一のテクニックとスピード。フルサイズに乗れば、IBクラスで通用するスピード。日本人唯一の世界レベルの女性ライダーといっても過言ではない。

以前、2019年チャンピオンを獲得した時の気持ちを伺った時こう話されてました。「モトクロス大好きだけど、負けず嫌いでない私でも目標を持ってがんばれば夢は達成できる!  あきらめなくて良かったと思います」。

あれから2年、本田選手は自分の弱さと向き合い続け、この言葉を証明し続けようとしているのではないでしょうか。
Gモトクルーが第2戦レース直後に聞いた本田選手のコメントは、自分に対して情けないという気持ち、応援してくれる皆さんに申し訳ないという気持ちが一気に溢れ出し、レース後のコメントも自分の責任で話さなくてはならないと、号泣しながら話してくれました。

 

号泣しながら話す本田選手を目の当たりにして、本当にスランプなのかもしれないと思いました。しかし、これまでもレースインターバルに必ず改善する本田選手を見てきたので「本田七海とTEAM KOH-Zなら必ず第3戦までに」って、1ファンとして「信じて待とう」って思えました。それが、本田七海です。

 

Gモト:第2戦から第3戦までのインターバルでの取組みは?

本田七海:んー第2戦から第3戦までのインターバル期間は、そんなに長くなくて「もうやるしかないなぁ」って。もうここまできたら上がるしかないしなと思ったので、やるべき事をやろうと思いました。じゃあ自分がやるべき事は?やっぱり私は練習量を増やし自信をつける事。そしてただ乗るのではなく、調子が悪ければ調子を上げる事を考えるように練習しました。第4戦に向け広島もたくさん練習したかったので、YRA(ヤマハライディングアカデミー)の仕事が終わってから大阪に帰らず、新幹線で広島に直行しチームと合流し練習。苦手なコンディションでしたが、考え方を変えて取り組んだ事で今まで以上に攻めて走れました。常に厳しい辻本オーナーにも「良いんじゃないか」と評価してもらえました。その後が第3戦だったので「気持ちよくレースに挑めました」。


Gモト:そうなんですね! 辻本オーナーからも高評価。それは良い練習ができたんですね。では、第3戦は第2戦のように決勝レース直前に不安なくレースに挑めたんですね?

本田七海:そうですね。不安な気持ちなくレース会場入りができました。今の自分を出し切ろうと思い土曜日挑みましたが、公式練習は良く走れたんですが、予選スタート出れなくて「あれ!!!」っ
て、自分より遅いライダーも抜けなかった。もう予選終わってしまった。どうしようかな?って考えてしまったんですが「ちょっと待てよ、それを今考えても仕方ない」と気持ちを切り替えられました。そこが、第2戦と変われたところです。前向きにレースを考えられるようになり、気持ちもリラックスしました。その状況で決勝レースのスタートラインに並べました。

 

第3戦に向け自己分析するレベルが、ワンランクアップされた印象の本田選手。ポジティブにレース展開を構築できるのは必要不可欠。お話しを聞いて、やっぱり信じて待って良かったと思いました。これぞ本田七海選手! 決勝レーススタートエリアで久しぶりに撮影できた1枚。信じて待って良かったと思える1枚です。どうして?って聞かれても内緒です。笑

 

Gモト:第3戦、2位でした。
本田七海:んー勝ちたかった。ああいうレース展開ができたからこそ勝ちたかった。レースを振り返れば勝てたなって思うところもあるし、勝てなかったとしても、もう少し攻めたレースをして次戦に向けプレッシャーをかける事ができたのではないかと思います。第2戦に比べれば向上している事もありましたが、まだまだ改善点はあります。向上した事は、レース中に冷静に周りを見て走りを分析できた事。勝たなければならない相手との違いが理解できたので、第4戦までに改善しレースに挑みます。

 

Gモト:自分の弱さと向き合い表彰台に戻って来ましたね。今回の経験で得た事、そして次に向かって。

本田七海:あまり考えすぎるのは良くないなと。笑 ネガティブな事を考えすぎても仕方ないなって。自分の練習にしっかり向き合って積み重ねていけば、レース中に何が起きても対応できる。自分の力を出し切る事に集中できるようになってきました。今週末、第4戦に向けて広島に練習に行きます。自分で分析した事、チームからのアドバイスを存分に取り入れ、チャンピオン獲得に向け練習に挑み、レースに挑みます。

 

Gモト:本田選手からお知らせなどありますか?

本田七海:第3戦、秀光ビルドさん、世田谷レーシングさんのご協力で無料休憩所を設置できました。第4戦では私のパドックにて、ブライトプラスさんにご協力いただきまして、ファンの皆さんに楽しんでいただける事を企画中です。詳しくはチームSNSにてお知らせします。ぜひ、レース会場で観戦と私の応援をお願いします!

 

取材期間1ヶ月半、9日間の密着取材。今回も赤裸々に本田選手が話してくれました。ご本人はもちろんですが、チーム関係者の皆さん、スポンサーの皆さんのご協力があり、今回の記事が書けました。世田谷レーシングがイチオシする本田選手のレース活動が、レースファンの皆さんに伝われば幸いです。

今回は1日だけ大阪で取材。その際に、リモートですが本田選手と、辻本オーナー(元IA)、世田谷レーシング代表(元IA)、Gモトクルー(元IA)とで第4戦 中国大会に向けガッツリレース談義をしました。笑。本田選手、きっとさらにパワーアップしてくれているはず!

優勝経験もある広島、本田選手のレースを是非、会場で楽しんで応援してください。

 

今回も取材にご協力いただきましたTEAM KOH-Zの皆さん、スポンサー各社の皆さん、ありがとうございました。

 

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