たまモト|2025 vol.1「中島漱也の2025年」

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2025年の「たまモト」第一弾は昨年のIA2チャンピオン中島漱也選手のインタビューです。昨年末のMFJ MOTO AWARDS会場でスーツ姿の中島選手にご挨拶した際、何気なく聞いた「シーズンオフはどこに行かれるんですか?」というえかきやの質問にさらりと「年明けすぐにニュージーランド選手権が始まるので…」との答え。「え?ちょっと待って、ニュージーランド選手権に参戦されるんですか?」「はい、フル参戦します」「えぇぇ?!そこ詳しく!」というやりとりがありまして、あらためて年明けにお話を伺った次第。

昨年夏のインターバルにニュージーランドにトレーニングに行かれた中島選手「自分の最終目標はAMA参戦だけど、いきなりAMAにチャレンジするのはレベル的に現実的ではないのでオーストラリアかニュージーランドでのレース経験を足がかりにしたい」といった趣旨の目標設定を伺ったのを思い出し「ついにその時が来たか!」とわくわくしながらインタビューさせていただきました。

 

pc: KPF

■ニュージーランド選手権にむけて
たま:年明けすぐからということでしたがいつ出発ですか?
中島:1月18日ですね

たま:むこうに行ったらすぐレースというカンジなのかしら?
中島:2月の2週目くらいが開幕ですね(ニュージーランドモトクロス選手権・開幕戦・2月15日 タウランガMCC)。

たま:だとするとそんなに時間ないですね。3週間くらいでもう本番?
中島:そうですね、1ヶ月くらいの期間で準備して間に合えばいいかなと

たま:アルパインスターズの中村さんが大急ぎで準備中だっておっしゃってて…
中島:ああ(笑)めちゃくちゃわがままな注文ばっかしちゃって…向こう(ニュージーランド選手権)のゼッケンがなかなか決まらなくて、ほんと年末近くにやっと決まったので、そこから中村さんにお願いして(ゼッケン)入れてもらってるんで

たま:イタリア人は(1月)2日から仕事始めだから大丈夫っておっしゃってましたよ(笑)で、ゼッケンは何番になったんですか?
中島:215番になりました。僕、ジュニアの頃からずっと215番でIBの時も215番付けてたんで

たま:そうなんですね! 215番希望で出したんですね
中島:はい

たま:全日本は今、指定ゼッケンできないからね
中島:はい、なのでIBぶりです

たま:それは昔から漱也くんを応援しているファンには嬉しいですね
中島:はい。久しぶりなので喜んでくれると思います。

たま:で、ウエアは今年からアルパインスターズで…王道ですね
中島:そうですね。元々ウエアはゴールドウインだったんですけどブーツだけはアルパインスターズだったので。2025年はゴールドウインが(ウエアを)やらないって決まってすぐに中村さんに連絡させてもらって「ウエアのサポートをお願いしたいんですけど」って言ったらすぐに決まって。7月くらいから連絡してて、早めに決めていただきました。

たま:アルパインスターズだとどの国にいてもサポートがしっかりしているというイメージなんで安心感がありますね
中島:世界のアルパインスターズですからね

たま:正月から働いてるイタリア人のアルパインスターズ(笑)
中島:(笑)

■ニュージーランド選手権参戦
たま:では改めて今回のニュージーランド選手権に全戦参戦ということでいいのかな?
中島:はい、全戦出ます

たま:いわゆる全日本的なナショナル…
中島:全ニュージーランド選手権…

たま:何戦くらいあるんでしょう?
中島:4戦だけで

たま:そうなんですね、少ないね
中島:はい。2月に2戦と3月に2戦やって終わるんですよね。

【ニュージーランドモトクロス選手権 2025】
・Round 1 on 15 February hosted by Tauranga MCC(タウランガ)
・Round 2 on 22 February hosted by Rotorua MCC(ロトルア)
・Round 3 on 08 March hosted by Pukekohe MCC(プケコヘ)
・Round 4 [Final] on 16 March hosted by Taupo MCC (タウポ)

たま:まさにこれからがオンシーズンなんですね
中島:そうですね。なんかニュージーランドはシリーズ戦以外でもけっこうイベントレースみたいな、シリーズじゃないでかい大会があるみたいで。日本みたいに全日本選手権がメイン…っていうカンジでもなく。選手権はあるけどそれ以外の大会も一年中やってるっていう

たま:なるほど。では漱也くん的には2月3月にニュージーランド選手権4戦に出てそれが終わるとちょうど全日本が始まるタイミングで…そちらにスイッチするというカンジですね
中島:そうですね。たぶん3月18日に日本に帰ってくるんで、全日本開幕までにちょうど1ヶ月くらいですね。

たま:わりとこれから大忙しですね
中島:そうっすね、こっから全日本終わるまで…そう考えたら長いっすね

たま:そのペースで体がだんだんレースモードになっていって全日本の開幕にちょうどいい感じに仕上がってるのかな?
中島:自分的には全日本のためのニュージーランド選手権参戦っていうよりは、これからもう向こうで契約とってくるくらいの活躍を、結果を取りに行きたいなとは思っているんで

たま:去年お話を伺った時に「いきなりアメリカっていうのは色々ハードルもあるし大変なのでニュージーランドなりオーストラリアなりで戦って最終的にはアメリカにというルートを考えてる」って話してくださったじゃないですか、その計画にむけて具体的に踏み出す第一歩っていうことなのかな、今年は。
中島:そうですね、やっと、ついに海外に向けて大きな一歩を踏み出したカンジです。

たま:大きな一歩ですね。昨年夏のインターバルのニュージーランドトレーニングではジェイさん(ジェイ・ウイルソン選手)のサポートというかご紹介があったという話でしたが今回もやはりお手伝いいただいて?
中島:そうですね。JCR(ジョッシュ・コピンズ・レーシング)というチームで走るんですけど。YAMAHAの方でもバックアップしていただいて。

たま:昔、ジェイさんが走ってらしたチームで…
中島:そうです。それでジェームズ・スコット(James Scott)っていう去年の250(MX2クラス)のチャンピオンライダーがいるんですよ

たま:なるほど、つまりニュージーランドのトップチームなんだ?
中島:そうです。トップチームです

たま:そのスコット選手は同年代なんですか?
中島:あんまり詳しくわかんないですけど多分同じくらい、20代前半ですね

たま:そのコと戦って1回くらいは勝たないとってことですね
中島:そうですね

たま:チームメイトだといろいろ見るべきものも多いでしょうし一緒に練習することも多いでしょうし最高の環境と言えるのかな
中島:盗めるものは全部盗もうと思ってます

たま:ニュージーランドで走るっていう話は具体的にはいつくらいに持ち上がったんですか?
中島:去年の夏くらいですね

たま:夏のインターバル、あちらに行ってらしたじゃないですか
中島:はい、夏に行ったのもわりと2025年のシリーズ参戦への期待というのがあって、実際に向こうでトレーニングしてみて環境がすごく良くて。JCRでジョッシュ・コピンズさんにコーチもやっていただいて、その時点で帰国前には「2025年のシリーズに全部出たい」っていうのを伝えました。「出れるかどうかは(全日本の)後半戦の賞金次第だ」ってのも伝えました。

たま:後半戦の賞金次第!それはめっちゃ力入るね、切実だ。
中島:現実的ですもんね、すごい(笑)

たま:それが向こうでの今年の活動資金になるってことなんですね
中島:そうです。チャンピオンの賞金とかスポンサーの賞金とか…(ニュージーランドでの活動が)2ヶ月というわりと長い期間なんで費用もいろいろかかるんですけど

たま:渡航費用とか生活費とか細かい費用がいろいろと…マシンはサポートがあるカンジですか?
中島:そうですねマシン関係はサポートしていただけるので

たま:そうするといわゆる「自分自身にかかる費用」を自分でちゃんとケアしなくちゃいけないってことですね
中島:そうです

たま:そこが賞金次第…
中島:賞金次第でしたね(笑)

たま:それでちゃんと稼ぎ出せたのはすごいですよ
中島:いや、チャンピオンを獲って初めてYAMAHAがバックアップしてくれるというのもあったんで、チャンピオンがなかったらほんとにカツカツだったと思います。

 

pc: KPF

■IA2チャンピオンを獲って
たま:そういえば、おめでとうを言わないといけなかったですね。改めまして2024年IA2チャンピオンおめでとうございます
中島:ありがとうございます(笑)

たま:あの、話が遡ってしまいますけど、どうでした?チャンピオンを獲ってみて
中島:実感が湧いてないんですよね、まだ

たま:おや、それはなんででしょうね
中島:ちっちゃい頃からIAクラスでチャンピオンとってる人を見てて、憧れの人達だったんでそういう人達に自分がなれたんだという実感が湧かなくて

たま:長いことチャンピオンになった人を見てるじゃないですか、それも割と近い位置で見ているから思い入れが大きすぎて自分ごととして受け止め切れてないとかそういうカンジなのかな?
中島:いやー、そうですね、そんなカンジしますね。ホントに?みたいなカンジですね

たま:それは全日本が開幕してからじわじわ実感するのかもしれないね
中島:そうですね。全日本の今年のシーズンが始まって、それこそ1番つけて出たりとかしたら感じてくるのかな…まあでも感じないなら感じないで実感わかないままでもいいのかなとも思います。浸ることなく…それが前向いてる証拠なのかなとも思います。

たま:そういう風に言えるのはチャンピオン獲ったことに対して、驕るでもなく更に前を向いてる証拠というか、その目線がまだずっと先にあるからIA2チャンピオンは通過点だっていう風にどこかで思っているからかもしれませんね
中島:うん、そうですね

たま:全日本で気持ちが終わっちゃってるとチャンピオン獲った時点で満足してしまうけど、そうじゃないから、もっと先に先にを見てるから実感がないままにも足が次に進んでる感じなのかなって思います。
中島:通過点、うん、通過点。そんな感じがいいですね

たま:かっこいいな!(笑)でも「チャンピオンは通過点」とかいうとなんか言ってくる人がきっといる…マイカルチャンプとか(笑)
中島:(爆笑) マイカルチャンプ、すぐ出てきますから(笑)変なこと言うとすぐ食いついてきますから(笑)

 

開幕戦はヒート3で優勝&総合優勝を決めた。お父様の嬉し泣きもすっかり恒例となった。pc: ekakiyatama

■ニュージーランドでの体制について
たま:話を戻すと、ニュージーランドで走るというお話が夏からあって、全日本でチャンピオンを獲られて、いわゆるご褒美としてのニュージーランド参戦をYAMAHAさんからいただいたということになるわけですが。いざ行けるとなった時、チームとの契約とかの交渉は自分でなさったんですか?
中島:夏にむこうにいるあいだにある程度話をしてOKしてくれてたんで。日本にいる間もずっとメールでやりとりしてたりとか、割と長い期間やってましたね。

たま:そうすると…無粋な話でごめんなさいなんだけどお金の話とかも出てくるじゃないですか
中島:そうですね、でもガッツリ向こうのチームと契約してチーム員ですっていうよりかは、割と海外から参戦っていうくらいの…そんなにガチガチの契約ではないんで

たま:ちょっとお客さん扱い的なカンジになるのかな?
中島:そうですね

たま:メカニックはどなたが?
中島:あのー、ナベさんわかりますか?渡邉(豪)さん…昔、ファクトリーで平田(優)さんのメカとかやってた

たま:ああ、はい
中島:ナベさんがここ何年もJCRでメカニックとして働いてて…

たま:あ、なるほど、そういうのもあって向こうに行きやすかったんですね、トレーニングとか…
中島:それもありますね。めちゃくちゃ安心感ありますね

たま:それはすごくいい環境ですね。チームにずっとあちらで仕事されてる日本人がいると細かいこともケアしてもらえるだろうし頼りになるよね。選手権のこともよくご存知だろうしメカニックとしてだけでなくアドバイザー的な部分も多分…
中島:はい、本当にそうですね

たま:ちょうどトッチ(富田俊樹)がアメリカを走る時に伊藤(昌弘)メカがいた安心感に近いかもしれない
中島:そうですね、ああいう感じかと思います。4戦しかないんで、1戦1戦でちょっとずつ経験してとか言ってる場合じゃなくて、結果出しに行かないとすぐ終っちゃうんで。ナベさんついてくれれば、雰囲気とかレースがどんなカンジかとか聞けて準備すごいできるのがめちゃくちゃありがたいですね。

たま:そうすると向こうに行ってすぐから練習を始めて、どんな準備をする時にしても渡邉さんが頑張ってくださるので…
中島:そうですね。なんかアウエー感がなくて、海外レースっていうカンジがちょっと薄れたカンジで行けたらいいなって思ってます

たま:それはすごくおっきいよね。レースはライダーが一人で走るのと違いますもんね。チームやメカニックが助けてくれるってすごく大きいから…そこはすごくいい環境で走れるということなんですね
中島:はい、そうです

たま:お住まいはどうされるんですか?
中島:ジョッシュ・コピンズさんの家に住み込みで…敷地内にガレージとコースがあって…最高の環境があってそこで過ごさせて貰うってカンジですね

たま:それ、お父さんに話したらすごいって言われなかった?(笑)
中島:言いますね(笑)僕はその世代ではないので全然なんとも…ただのおじさんなんですけど…

たま:ただのおじさん(笑)お父さんにとっては自分の息子がスーパースターの家に住んでそのチームから海外のレースに出ると…すごく感慨深いものがあるかと
中島:そうみたいですね。ダグさんの時も(すごいって)言ってましたね

たま:そりゃそうだ(笑)
中島:でも僕にとってはただのダグ・デュバックにしか見えないんで。父は興奮してましたけどね(笑)

たま:だって、お父さんにとってはテレビの向こうで活躍を見てた有名選手で、その有名選手が自分の息子と一緒に戦ってくれるというのは…ありがたみの大きさはお父さんの方が…(笑)
中島:そうですね(笑)僕よりも親が興奮してるかもしれないですね(笑)

たま:じゃあ、そういうカンジでコピンズさんが住むところを提供してくださって、メカは日本人の渡邊さんが助けてくださって、チームは往年の有名選手がやってるジェイさんもいたトップチームで、同じチームには昨年のチャンピオンがいると…もうこれ以上は望めないようないい環境でレースができると
中島:環境だけはむちゃくちゃ良くて、もう言うことなかった

たま:逆に言うと言い訳できないけども…
中島:本当にそうなんですよ!もう本当に自分だけなんですからね、あとは。

たま:大変なプレッシャーですね
中島:いや、でもめちゃくちゃ楽しみですね

 

pc: ekakiyatama

■ニュージーランドのライダーについて
たま:実際にニュージーランドでトレーニングをされた時、向こうのライダーと一緒に走る機会はあったんでしょ?どうですか感触としては?
中島:アメリカとかみたいにめちゃくちゃレベルが高いというわけではないんですけど
やっぱり勢いのあるライダーは何人もいて、手が届きそうで届かないぐらいのライバルって感じですね。

たま:例えばコースに対する慣れであったり…そういうのは向こうがアドバンテージとして持っているだろうけども、そこがなければ互角に戦えるレベル?
中島:自分のニュージーランドでの成長次第。今のままでは多分無理だと思うんですけど優勝は厳しいと思うんですけど。2ヶ月でどれだけ自分が成長できるかで勝てるか勝てないかっていうところにあると思います

たま:ちょっと短期決戦だからね
中島:そうですね。でもそのぐらいの差が一番自分が向上心…モチベーションを高めやすいと思うので

たま:遠すぎて届かないと言う目標ではないからね
中島:はい

たま:確実に越えられると分かっている高さのバーみたいな
中島:はい、そうですね!

 

最終戦SUGO大会、スターティングエリアで余裕の笑顔。pc: ekakiyatama

■全日本にむけて
たま:それでひとまわり大きくなって戻ってこられて、それからの全日本開幕戦とか言ったら、ちょっと外人ライダーっぽい感じしない?
中島:そうですね

たま:それこそジェイさんとかビクトルと日本人ライダーの差みたいになってくるといいね
中島:いやあ、めちゃくちゃいいですね。そういう目標!

たま:全日本はIA2?
中島:IA2です

たま:1番つけて
中島:はい

たま:じゃあ、目標はもちろん連続チャンピオン
中島:そうですね。そこは絶対にっていうか、絶対条件で、はい

 

■これから先のこと、横山遥希選手のこと
たま:ここから先は本当に遠い話というか、まだ見えない話ではあるけれども、ニュージーランド選手権でちゃんと結果を出されて、全日本でも結果を出されてってなると、もう一つステップを上がる足掛かりになる感じなのかな?
中島:そうですね、目標はAMAにおいてるんですけど、全部がAMAのための準備期間っていうか…そういう状態がずっとあるから、今回のニュージーランドのチャレンジとか、一歩一歩毎年確実に近づけていけたらなっていう風に思いますね

たま:来年なり再来年なりには AMAっていうのはベストだよね
中島:そうですね

たま:階段を上っていく速さとしても。ただやっぱりAMAだともちろんメーカーのサポートもめちゃくちゃ必要になってくるし、お金もものすごいかかっちゃうし、その辺を見据えて頑張らないと、賞金稼がないとって話になってくるね。
中島:そうですね。もうあの、ヤマハさんにお願いしますって…

たま:その将来的なAMA、近い将来AMAで走りたいってことももちろん伝えてある?
中島:そうですね。ずっと言いまくってます

たま:そういう意味で今回の一歩は大きいですね、形にできたということで
中島:めちゃくちゃデカいですね

たま:横山くんもおなじような理由でオーストラリア選手権を走っておられて、今年もたしか走られるんですよね?
中島:はい

たま:どっちが先にAMAにタッチできるかみたいな感じになってくると思うんだけど、若いあなたの方がアドバンテージがあるのかもしれないんだけど…
中島:そうですね。僕自身、結構遥希くんは意識してるところがあって。やっぱ日本から海外に挑戦してAMAに食らいつこうとしてるところとか。あと、ネイションズに遥希くんは出場しているので。今年のネイションズも多分同じ枠を争うことになると思うので、遥希くんよりも速くならないと自分がそこに選ばれることはないので。そこはやっぱり意識してますね

たま:実際に話とかはするの?
中島:しますね。そんなに仲良しっていうわけではなかったんですけど、年末に…11月か、新井さんのスクールで遥希くんと一緒にやらせてもらって、結構ちゃんと海外について、オーストラリアについて聞かせてもらったりしましたね。

たま:アドバイス的な?
中島:はい

たま:ものすごい具体的だったんでしょうね、彼のアドバイスは…
中島:もう相当…経験談がありますからね、話せてむちゃくちゃよかったです

たま:一歩先を行ってて経験値の高い人が身近にいて、日本に戻ってきても話ができるっていうのは大きいですね
中島:そうです。ニュージーランドとオーストラリア、結構似たようなところがあるので

たま:アプローチの仕方が…最終目標AMAで走るに対してのアプローチの仕方が一番近いのは横山くんじゃない? 今までだとシーズンオフにアメリカ行って単発で出て「うーん、すごかった」って帰ってくる事が多かったけど、それよりもっと具体的に確実な方法で駒を進めているという意味では横山くんの次に今度漱也くんがそのルートを辿るということになったので…
中島:そうですね、遥希くんも多分、単発じゃなくて向こうを主にベースにしないとあの壁は(越えられない)…っていう風に思ったから、めちゃくちゃ大変だけどああいうシーズンを過ごしてると思うんで。遥希君のことはすごいリスペクトしてますね、行動に移せてるところが。

たま:ご夫婦で二人で運転していってるんだってね
中島:めちゃくちゃすごいですよね

たま:その辺りの、なんていうんですかね、肝の座り方というか、腹の据え方がね、すごいなと思います。条件を整えるのも戦い方の一つとして大事なことだから。漱也くんの状況の整え方っていうのは、なかなか本当に…これは記録として残しておかないと、後に続く若い者たちに伝えないと、というふうには思ってます
中島:そうですね

たま:それもあってね、今回お話を聞かなきゃなって。もちろん、行って帰ってこられてこうでしたよっていうお話も聞きたいんだけども。行く前にどんなふうに思って、どんなふうに準備してっていうのをね、まず伝えて。やっぱりあの…昔よりって言い方もあれなんだけど、今日ちょうど池谷(優太)くんがTwitter(X)で「勘違いしてAMAに挑戦するやつは俺たちの後にいないのか」って…
中島:はい、見ました

たま:別にAMA走るんじゃないにしても海外に出たい、海外で走りたいって言ってチャレンジをする人がいないっていうのはやはり寂しいことだし。「下田丈すごい!」だけではなくその後に続くすごい日本人を出してほしいので
中島:なんかあれも僕的には、出たいっていうよりかは結果を残したいっていう、出て経験して満足っていうよりかはやっぱりあの舞台で結果を求めてるっていうのが大きいんで。でもこの年齢だし、自分がそこでどうやったら結果を残せるかって考えた時に、少しでも、まず環境を良くして成長する条件を揃えていかないと、行って速くなるだけじゃもう…経験してそこで何とかっていうだけじゃ届かないところに今いると思うんで。そうですね「できるだけ近道を」って感じですね

たま:近道を探ることも能力だからね
中島:そうですね

たま:丈くんの場合、本人がまだ意識されていない小さい頃からね、お父さんがそういうことを意識されて、環境を整えられて、そこに丈くんの努力が乗ってっていうのが今の成功だから。あれは正攻法…AMAへの道としてはものすごい正攻法なんだけど、誰でもできるかって言うと、親の財力だったり周りの環境だったりいろいろあるから。だから、それとは別の道もあるんだよっていうのを示してもらいたいなというのがあったので、そこは漱也くんに期待しています
中島:そうですね、確かに…ちっちゃい子たちにも、日本で生まれ育ってそれでも海外で活躍できるライダーって所まで見せられたら、みんなのモチベーションにもなれるかなっていうのはありますね。

たま:キッズライダーがさ「漱也くんみたいになるんだ」って言ってくれるようになるのが、そんなに遠くはない将来の目標としてね。で、お父さんはひたすら「うわすげえうわすげえ」って言って子供が表彰台に上がったら泣いてっていう、親がめちゃくちゃ頑張らなくても子供がしっかり夢を実現して…自分の力で夢を実現するってパターンができるかもしれないしね(笑)
中島:(笑)そうですね

たま:漱也くんがここまで来る間のお父さんとかご家族の大変さっていうのはもちろんあるんだけど、ある程度からは自分で切り開いてくれる子どもっていうのは親にとってはやっぱり嬉しいよね
中島:そうなんですかね

たま:じゃないかなって…私も親になったことないんでわからないですけども(笑)

 

MFJ MOTO AWARDS2024の会場にて、チャンピオンを争った横澤拓夢選手と。pc: ekakiyatama

■これからの道が試される2ヶ月
たま:そういえば昨年はご家族も増えて…
中島:はい(笑) ついに僕、おじさんになりました

たま:賑やかそうなご家族で(笑)
中島:めちゃくちゃ可愛いですね、やばい。もともと赤ちゃんとかが可愛いっていうのはあったんですけど、それとプラスでなんか。やっぱおじ愛なんすかね、それが。

たま:明るい話題で気持ち的にも前向きになりますよね
中島:はい!

たま:明るい雰囲気に背中を押されてこれから海外にっていうのは、いい感じの年明けとではないかと思う。2025年いい感じに始まりましたって
中島:そうですね、スタートはいい感じで。ニュージーランドでどれだけ速くなれるかが
自分的にすごい今年のポイントで。それ次第でネイションズに出られるかどうかもそうだしAMAの道が見えてくるかもそうだし。今回のニュージーランドはすごい、自分のこれからの道が試される2ヶ月になるかなと思いますね

たま:これからの道が試される2ヶ月…大きいですね
中島:はい

たま:準備はもう着々と進んでいるの?
中島:今は逆にニュージーランドから帰ってきてから全日本の準備する時間がないから、そっちを

たま:なるほどね、ほんとにギリだからね
中島:バイクのテストをむちゃくちゃ…開幕に向けて全日本に向けての方を、今は詰め込んでやってます

たま:他の人みたいにゆっくり構えてられないんだ
中島:今やっとかないと「帰ってきたら開幕です」みたいな感じなんで

たま:そっかそっか。それは書いても大丈夫かしら?
中島:はい、大丈夫です

たま:開幕までの準備を今やってますと
中島:はい

たま:じゃあもう全然、お正月にご家族で集まった時ぐらいしかゆっくりする暇はなかったのかな?
中島:そうですね、12月31日もバイク乗ってましたね

たま:そういえばMFJの表彰式が手術の直後だったと…
中島:手術の次の日でした(笑)

たま:(笑)全然そんな風に見えなかったですよ
中島:めちゃくちゃズキズキしてました、鎖骨

たま:プレートを取り出したカンジですか?
中島:はい、プレート。空いてる時間が表彰式の前の日しかなくて、その前の日まで浜松でテストしてて

たま:スケジュールみっちみちですね
中島:帰ってきて、手術して、痛み止め飲んでMFJの表彰式に出て…

たま:若いからできることだね(笑)
中島:わりとシーズンオフにしてはハードでしたね(笑)

たま:本当に、それこそ全日本終わってからすぐからもういろいろ動いてって感じなんですね。さっきチャンピオンの実感ないっておっしゃってましたけど、チャンピオンになったって言って、そしたらもう次だって…それこそ終わったら次の準備にいろいろ取り掛かってるから、それで実感がないっていうのが…
中島:多分それですね。時間なかったっていう…噛み締める暇もなかったっていう、そういうことですね、たぶん

たま:充実してるね
中島:めちゃくちゃ充実してます、今は

たま:あちらでの活動はインスタグラムを見てもらうのが一番いいのかしら?
中島:インスタですね主に。Twitterも頑張って動かしたいんですけど…

たま:Twitterは流れちゃうからね(笑)
中島:そうですね

たま:では、応援したい方は中島選手のインスタをフォローしていただくということで。
中島:よろしくお願いします

たま:お忙しいところ長々ありがとうございました。大変だと思いますけど頑張って
中島:ありがとうございます

 

というわけで、中島漱也選手の新しい挑戦とその先の展望についてたくさん語っていただきました。全日本開幕までのあいだ、AMAスーパークロスの話題で持ちきりになりがちなモトクロス界隈ですが、この機会にニュージーランド選手権にも目を向けて、中島漱也選手の挑戦を応援していただけたらと思います。

このインタビューの後、ニュージーランドのJCRで働いておられる日本人メカニック、渡邉豪氏にもお話を伺うことができまして、ニュージーランド選手権のこと、ニュージーランドのモトクロス事情や日本との関係について教えていただきました。そちらも引き続いてアップ予定ですので併せて読んでいただけたら嬉しいです。

・ニュージーランド選手権(Motorcycling New Zealand)の公式サイト
https://mnz.co.nz/getting-started/disciplines/motocross/
・チームJCRのインスタグラム
https://www.instagram.com/altherm_jcr_yamaha/
・中島漱也選手のインスタグラム
https://www.instagram.com/soyanakajima/


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