シバモト Ep. 5|カメラマン柴田の初めてのAMA「1986 AMA SUPERCROSS」
【Ep. 5 – In February 1986, in South California】
今回はレース写真をお休みして、その頃サウスカリフォルニアの荒野で起きていた楽しい話をしよう。
ロサンゼルス空港からフリーウェイ405号線を南へ向かうとアナハイム方面。反対に北上しLAエリアからマルホランドドライブを超えるとバレーと呼ばれる盆地に入る。都会であるLAに対して少し田舎っぽい郊外だ。
1986年は2ヶ月半ほどアメリカに滞在。その間の自分のベースは、そのバレーの中のウッドランヒルズにあった。幸運なことに俺は先輩プレスの口利きで、86年にAMAでゼッケン12をつけたトップライダーであるジム・ホーリーの自宅に居候していた。
1986年の2月は23歳だったのでレンタカーが借りられない。つまり一人ではどこにも行けない俺は金魚のフンのように、平日はジムの練習に付き合うことになる。当時はマフラーに火花飛散防止装置(実際、南カリフォルにはマフラーからの火花で山火事になる程、乾燥している)を付けていればモトクロッサーで野山を走り回ってもOK。ジムはよく友人達と連れ立って車で数10分ほどの裏山を走り回っていた。
その日の気分によって少し真剣に練習したい日は、裏山ではなくコースへ行く。LA北西部にはあまり良いコースがないため、この谷間のプライベートコースなどへ行った。AMAのトップライダーが真剣に練習するとそれなりのスピードだがら占有できるコースが好ましい。場所は秘密だけど、なぜか現地でエリック・キーホーとばったり会ったり。
もうこのコースが何処にあるか分からないけれど、すごい勢いで山や砂漠に住宅地が広がったから、今ではモトクロッサーで走れないことは間違いないだろう。
時にはさらに足を伸ばしてエドワーズ空軍基地の近くの荒野で走り回ったこともあった。アメリカンライディングと呼ばれたバイクをコントロールするテクニックはこうして荒野で育まれていた。
- Ep. 0 – 開幕前のゴールデンステート
- Ep. 1 – 1986 AMA SUPERCROSS R1 ANAHEIM 前編
- Ep. 2 – 1986 AMA SUPERCROSS R1 ANAHEIM 後編
- Ep. 3 – 1986 AMA SUPERCROSS R2 HOUSTON
- Ep. 4 – 1986 AMA SUPERCROSS R3 SAN DIEGO