シバモト Ep. 4|カメラマン柴田の初めてのAMA「1986 AMA SUPERCROSS」

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話題沸騰中! ニューモト新連載【シバモト】。モトクロス専門誌ダートクールをはじめとする、国内2輪誌の第一線で長年活躍中のカメラマン 柴田直行さんによる「1986年 AMAスーパークロス」をテーマとした内容となります。

 

当時のフィルムをスキャンした貴重な写真の数々と1986年当時の撮影背景や裏話等のコラムとを併せて、ニューモトエクスクルーシブのコンテンツとしてお届けしていきます。今エピソードも柴田さんが初めて足を踏み入れた世界「AMAスーパークロス」の感動と興奮が伝わる内容。

 

80年代モトクロスシーンを知る、コアなファン向けの内容だけはなく、モトクロスというスポーツと文化が急速に発展していった当時のUSモトクロスシーンの記録としても非常に貴重な資料です。現在とは情報そのものの概念やスピード、量が大きく異なった80年代。実際に現地取材と撮影を行ってきた柴田さんがニューモトで発信する内容は、日本モトクロス界の財産へとなっていくものでしょう。エンジョイ!

 

 

【Ep. 4 – 1986 AMA SUPERCROSS R3 SAN DIEGO】

 

1986年のAMAスーパークロス第3戦はカリフォルニア州の南端、メキシコとの国境の街であるサンディエゴで開催された。映画トップガンでお馴染みのミラマー航空基地、通称ファイタータウンがある。

 

「勝てる6強ライダー」と呼ばれた中の3人であるリック・ジョンソン、ブロック・グローバー、ロン・ラシーンの出身地エルカホンは、スタジアムからわずか30kmしか離れていない。昔も今もライダーの家族や友人が大挙してスタジアムにやってくるこの会場だけは、特別なアドレナリンが溢れている。

 

「南へ向かうインターステーツ5号線は雨に濡れていた…」で始まる先輩プレスの名原稿を思い出す。決勝では雨が上がったものの、コースの路面は南カリフォルニアのスタジアムには相応しくないマディ。当然、大きなジャンプは期待できない。
南カリフォニアでは年に数日しか雨が降らないと聞かされていた。俺にとって米国での3戦目のスーパークロスなのに、かなりテンションが下がった。

 

初めてのAMA取材である86年は、はるばる日本から来ているのに主催者からの待遇が悪く、このサンディエゴでもプレスパスが出たのは決勝開始のちょっと前。本当にパスが出るの? と心配しながらスタジアムの外で待った。

 

それでもレースが始まると夢中で各ライダーの走りを追った。その甲斐あってリック・ジョンソンのホンダ移籍後、AMAスーパークロス初優勝が撮れました。その後、AMAを代表するスーパースターへと成長するRJの大きな一歩を記録できたことは、本当に嬉しい出来事だった。

 

サインを求めるファンがピットを訪れる時間は練習走行後の夕方の時間。この時間には夕日が出ていた、と30年ぶりに思い出した。体を冷やさないようにフードを被ってサインするのはジム・ホーリー。スーパークロスのオープニングセレモニーは夜7時から。

 

カリフォルニア合宿中のヤマハの光安鉄美選手が出場。ウエアはボブ・ハンナのMXギアHRP。奥646番は田淵武選手。ちなみにレバーが下げるのが当時のトレンド。

 

ヤマハの田淵武選手は残念ながら予選落ちだったけど、悪コンディションの中、ハンドルを切ったフィニッシュジャンプで決めた。

 

この日のレースではこれが一番大きなジャンプ。地元での活躍が期待されたロン・ラシーン。決勝ではスタートに失敗し14位。

 

雨では巧さが際立つはずのデビッド・ベイリーは5位でスタート、5位でフィニッシュ。シリーズタイトルに向けてポイントを稼ぐはずが、RJの勢いに霞み気味。ポイントスタンディングも逆転された。

 

トップライダーの一人ですが、柴田が別の目線で応援していたのがジョジョ・ケラー。テクニックより力技系のライダーで、なんたってこの表情。WPの倒立フォークを使用しているけど、ファクトリー系のバイクではない。

 

ホールショットをとり序盤をリードしたが4位に終わったジョニー・オマラ。

 

サンディエゴはグローバー、ジョンソン、ラシーンらの地元で、JTレーシングの本社もすぐそこ。ライダーにとっても、ここジャックマーフィースタジアムでのSXは特別なレース。綺麗なラインの轍のアウトが立っているのに注目。

 

決勝ではRJとトップを争ったジェフ・ワード。この日、オークリー勢はロールオフ装備。ちなみに当時ジャックマーフィースタジアムはNFLのCHARGERSのホーム。個人的にはかなり萌えます(笑)。

 

サンディエゴ決勝のRJのフィニッシュジャンプ。もはやフェニッシュラインのバナーもないし、チェッカーマンのオレンジのカッパがトホホな感じ。何かアクションを決めたかったけど、膝から下しか上がってない。それでも嬉しさは伝わってくる。

 

RJのレース後の優勝インタビューなんだけど、やたら暗くて苦労した記憶あり。でも汗とか湯気の感じとかが良かったからストロボ無しで撮った。当時は後ろに表彰台用のボードがないから観客がそのまま写ってる。その雰囲気がまた良い。

 

【1986 AMA SUPERCROSS R3 SAN DIEGO 250MAIN】
1.リック・ジョンソン(ホンダ)
2.ジェフ・ワード(カワサキ)
3キース・ボーエン(ヤマハ)
4.ジョニー・オマラ(ホンダ)
5.デビッド・ベイリー(ホンダ)
6.リック・ライアン(カワサキ)
7.スコット・バンワース(ヤマハ)
8.ジム・ホーリー(ヤマハ)
9.ブロック・グローバー(ヤマハ)
10.ジョージ・ホーランド(スズキ)
11.ガイ・クーパー(ホンダ)
12.ラリー・ブルックス(ホンダ)
13.ミッキー・ダイモンド(ホンダ)
14.ロン・ラシーン(カワサキ)
15エイ・ジェイ・ホワイティング(スズキ)
16.アラン・キング(カワサキ)
17.エリック・キーホー(スズキ)
18.ジョジョ・ケラー(ヤマハ)
19.スティーブン・バーデット(スズキ)
20.ビリー・ライルス(カワサキ)

 

 

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