Gモト|Life in Speed 大倉由揮

今回のLife in Speedは、D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025第4戦中国大会、IA1クラス決勝ヒート1で今季初優勝、ヒート2でも3位(レース中の飛び石で負傷しながら)表彰台。総合優勝という形で約3ヶ月のインターバルを最高の状況で迎えた大倉由揮選手(Honda Dream Racing Bells)に「モトクロス人生を楽しめてる」という現在についてお話を伺いました。(インタビューはレース開催前日設営日)

ホンダの国内トップチーム「Honda Dream Racing Bells」で4年目を迎える大倉選手。IA1クラスにステップアップと同時に、現在の環境に身を置きました。
Gモト:大倉選手がこのチームで走るようなり「最も大きく変化した」事は?
大倉由揮:最も大きく変化した事は、自分のやってきたモトクロスに対し、初めて自分が「プロとしてレースを走る」いう自覚を持ちました。自覚を持ち、プロライダーとしてスタートラインに立てたように感じた事が、自分の中で「最も大きく変化した」事です。
Gモト:最も大きく変した事で「今、俺は頑張れる」と思える事は?
大倉由揮:応援していただける方が増えましたし、この環境にいる事で「バイクで速く走る事だけ、レースで結果を残す事だけ」に集中した生活を送れています。本当に「モトクロス人生を楽しめてる」、毎日モトクロスをしている喜びが増えたという事が、1番良かったと日々想っています。

Gモト:IA1クラスに昇格して苦労した事は?
大倉由揮:当然の事ですが、このチームに入ってからはレース結果に対する要求がこれまで以上に厳しくなりました。チームとしては「結果がすべて」という環境なので、そのプレッシャーは大きかったです。特に1年目はとても大変でした。バイクが変わり、タイヤやサスペンションといったパーツもすべて新しくなり、さらにチームメンバーなど周囲の環境もがらりと変わったため、自分の中で「アウェイ感」を感じる事が多くありました。マシンのセッティングもゼロからのスタートで、すべてを1から作り直す必要がありました。そのため、なかなか結果につなげる事ができず、とても苦しいシーズンとなりました。精神的にもかなり追い込まれた1年だったと感じています。
Gモト:現在はいかがですか?
大倉由揮:今はもう、チームに打ち解けています。スタッフの皆さんに協力していただけて本当にありがたいです。自分の走りも少しずつ良くなってきていて、自分でも成長を感じられるようになってきました。もちろん、今でも苦労する事はありますけど、全体的には良い方向に進んでるんじゃないかなって思ってます。
Gモト:良い方向に進むために、ご自身で取り組んだ事は?
大倉由揮:うーん、この環境になって以前より一層、海外に挑戦したいっていう気持ちが大きくなり、モチベーションがめちゃくちゃ大きくなりました。
Gモト:だから頑張れる。
大倉由揮:そうですね。モチベーションがあるからこそ頑張れるし、約20年近くのモトクロス人生で今が1番楽しいっていうか、いま1番楽しくモトクロスできてる事が、今1番のモチベーションなのかなって思います。

Gモト:モトクロス・オブ・ネイションズを過去2度走られていますが、出場した感想は?
大倉由揮:そうですね。過去2回出場させてもらっています。率直な感想は、1度目は急遽代役で出場しました。初めて世界でのレースだったのですが、本当に世界とのレベル差を痛感しました。「ここまでも違うのか」っという事を痛感したのと、やはりコースの難しさだったりとか、起こる事すべてが自分自身にとって新鮮で、「これが本当のモトクロス」かっていうように感じました。2度目の出場では、1回目の経験があり少しは落ち着いては臨めました。自分の中で目標順位を決め出場したんですが、決勝進出はできませんでした。B決勝ではスタートクラッシュなどあり満足いく結果にはなりませんでした。世界のコースは「とてつもなく難しいコース」でしたが、経験値としては僕なりにとてもレベルアップできたように思います。
Gモト:今年もモトクロス・オブ・ネイションズ出場目指されてると思いますが、出場できる事を前提に考えると、これまでのご経験があった上で、モトクロス・オブ・ネイションズで結果を出すために取り組んでいる事は?(大倉選手、日本代表としてモトクロス・オブ・ネイションズ選出されました!おめでとうございます!)
大倉由揮:今年のシーズンオフは、イタリアとスペインに1ヶ月ずつ、合計2ヶ月間ヨーロッパへ練習に行かせていただきました。この経験は自分にとって本当に大きかったです。現地では、とにかくいろんなコースを走りました。日本だと限られたコースを何度もローテーションして走るのが普通なんですけど、向こうではたくさんのコースを走れるんです。路面コンディションも全然違い、毎回が新しい挑戦でした。そういう環境で走る事で、テクニックはもちろん、様々な状況にも対応できる力が鍛えられたと思います。なにより周りのライダー達がめちゃくちゃ速くて、自然と自分も「もっと速くなりたい」って気持ちが強くなって、実際にスピードも上がったと感じてます。きつい事も多かったですけど、それ以上に得るものが本当に多く「行ってよかった」と思える遠征でした。

Gモト:先々、海外へのフル参戦をお考えですか?
大倉由揮:そうですね。やっぱりAMA、MXGPと挑戦できるのであれば1度は挑戦してみたいですし、行けるとこまではやりたい。子供の頃から見てきた夢なのでいつか実現させたいなっていう気持ちはあります。
Gモト:具体的なプランはありますか?何年まで日本走ってとか、そういう自分で考えている事を逆算してプロセスを考えていますか?
大倉由揮:正直なところ、行けるチャンスがあるなら来年か再来年には、海外に挑戦したいという気持ちは強くあります。ただ、これまでに2回モトクロス・オブ・ネイションズに出場し、やっぱり世界とのレベルの差はかなり大きいと痛感しています。その差を埋めるためにも、これからの1〜2年でしっかり自分のレベルを引き上げていかないと、ただ「行って終わり」になってしまうと思っています。まずは今年の「モトクロス・オブ・ネイションズ」に出場できたら、しっかり決勝を走って結果を残したいです。そして今年・来年と全日本チャンピオンを獲る事ができたら、その先に海外挑戦が見えてくると信じています。1〜2年のうちには、必ず挑戦したいという夢があります。

Gモト:今後、大倉選手のレース活動で注目ポイントは?
大倉由揮:僕の強みは、最後まで諦めずに追い上げていく走りです。そして、ずっと苦手だったスタートも、最近は少しずつ改善できてきました。これまでホールショットがなかなか取れていなかったんですが、これからはもっと積極的に狙っていきたいと思っています。今はジェイ・ウィルソン選手がとても速くて強い存在ですが、やっぱり日本人として、その壁を越えて勝てるライダーになる事を1番の目標にしています。今後も自分の力強い走りでしっかりと結果を残していくので、ぜひ注目してもらえたら嬉しいです!
Gモト:若い選手へメッセージをお願いします。
大倉由揮:僕は、子どもの頃から特別目立った成績を残してきたわけではありません。ジュニア時代から名前が知られていたような選手でもなかったです。でも、地道にコツコツ、自分にできる事を1
つずつ積み重ねてきました。これまで何度も「もうダメかな」と思う時もありました。でも、そんな時でも少しでも信じて応援してくれる人達がいてくれたからこそ、今の自分がいると思っています。モトクロスは本当に厳しい競技です。それでも、あきらめずに強い気持ちを持って努力を続けていれば、必ずチャンスは巡ってくるし、結果にもつながると僕は信じています。だから、今うまくいっていなくても大丈夫。焦らずに、自分を信じて、努力を続けてください。一緒に頑張りましょう!



以前から「ずっとインタビューしたかった」大倉由揮選手。優勝したタイミングでインタビューさせていただけて感謝!
地道にコツコツと頑張れるライダーが素晴らしい環境を手に入れ躍動していく。そして結果を残す。とても素晴らしい。大倉選手はまさに!「Life in Speed」。生活とスピードをこれからも「楽しく!」追求していっていただきたいです。
取材にご協力いただきました小島監督、関係者の皆さんありがとうございました。
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