たまモト|2025 全日本モトクロス選手権前半戦まとめ・IA2編

2025年シーズン、前半戦まとめIA1編に続いてのIA2編です
トップライダーに伺った「オフシーズンの過ごし方」についてのお話を紹介しつつ、開幕戦、第3戦で伺ったお話なども交えて2025年の前半戦を振り返ります。

■中島漱也
シーズンオフはニュージーランドでトレーニングをされた中島漱也選手。トレーニング出発直前に一度インタビューさせていただきました。
ニュージーランド選手権参戦中に怪我をされてしまった中島選手「(NZトレーニングの)終わり方はあんまり良くなかったです。怪我したのは右手の親指の先端の骨ですね。しっかり線がピッて入ってひびですかね。4戦あったんですけど、3戦目でやっちゃいました。1週間後は4戦目で、ちょっと出たいなと思って走ってみたんですけど、結構痛くて。下田丈、すごいなと思いましたこれでスーパークロス走ってるので半端ないなと」NZトレーニングや選手権参戦の感想を伺うと「目標にしてた優勝はできなかったけど最高位で2位。スピード的には可能性も感じられたというか自信になったところも結構ありましたね。あの時があれで結構なんかこれいけるんじゃね?って思い始めちゃってその後のレースで怪我した感じです。浮かれてました(苦笑)」「今まではトレーニングがメインでしたけど初めて海外でレース参戦したんですけど全てが違う環境で自分のベストを尽くすっていうところが難しかったです。それでもこれからのことを考えるとめちゃくちゃいい経験になりましたね。それこそ直近で行ったらNationsとかの間に経験しておいてよかったっておそらくなりそうな」と、これからの海外でのレースに対して良い経験ができたと語られました。ディフェンディングチャンピオンという立場について伺うと「追われる立場になったことについては、意外と始まりそうになって初めて、なんか、一番なんだみたいな。ふと気がついたら、俺一番だったんだみたいな。チャンピオンか…みたいな。ジャージとかバイクとか完成させてやっとなりましたね(笑)」「そこが今年もう一回チャンピオンを獲れるか獲れないかの大事なところかなって思うんで。でもあんまり気負いすぎずってところが今年の難しいところかなと思ってます」「今シーズンもやっぱり自分自身のスピードを上げ続けていきたいので。そこはやっぱり全戦成長っていうところはしていきたいなと思っています。」ライバルとして意識するのは誰ですか?という質問には「意識するのはちょっとあの…ジェイを意識するかなと思って。やっぱり、上を見ようと思って日本でも。同じクラスの誰かとチャンピオン争いとかそういうことではなくて、ジェイの走りを…そうですね、何秒差とか。」チャンピオンを獲った頃の勝谷武史選手がよく言ってましたよ450よりタイム速かった、とか。「いやー、それやりたいですね。450のタイムより良かったら僕は絶対言っちゃいますね(笑)」ブライアン・シュー選手に対しては「海外を意識している自分にとっては彼の参戦はめちゃくちゃ嬉しいっす」とおっしゃっていました。

で、いざ開幕してみてシュー選手とのバトルで今ひとつ力及ばずだったことは相当悔しかったらしく、第3戦のOFVで「ブライアン、広島は走るんですか?」って聞いてこられて「走るらしいですよ」とお伝えしたら「なんかIA1にスイッチするみたいな噂を聞いたんですけど…IA2走って欲しいです。開幕のリベンジしたいんで」って意気込んでおられたのが印象に残ってます。結果,第4戦での直接対決でまたもシュー選手の後塵を拝してしまいましたが、このままでは終わらないはず。後半戦でぜひともリベンジを果たして欲しいです。そんな中島選手はこの夏のインターバル、アメリカのダグ・デュバック氏の元でトレーニングされています。アメリカの地でトレーニングを重ねることでより速く強くなった中島選手の走りを拝見するのが今から楽しみです。
*中島漱也選手インタビューのロングバージョンはnoteに掲載されていますので併せてお読みください。
たまモト・番外編「IA2で躍進中の中島漱也選手と田中淳也選手インタビュー・ロングバージョン」
https://note.com/ekakiyatama/n/nb715f4c0432d

■田中淳也
中島選手と同じく開幕前にニュージーランドでトレーニングされた田中選手。感想を伺うと「楽しい2ヶ月過ごせて楽しくモトクロスができて…なんですけど、まあレースがラスト1ヶ月の時は悔しい気持ちしかなくて、レースを終えて嬉しいとかっていう気持ちはなかなか経験できずに終わったので、楽しいトレーニングだったんですけど悔しい気持ちとか学ぶことが多くて。そうですね悔しかったですね」「NZでは2ヶ月ほぼ一緒で。寝る部屋は違ったんですけど夜寝るまでの時間とかは漱也君の部屋にいて、一緒にテレビ見たりYouTube見たりとか。モトクロス面では去年のチャンピオンでもあるんで学ぶことたくさんで。漱也君から学べることは沢山で、トレーニングからライディングの考え方みたいなのも学んで、奪えるものは奪いたいと思っていたのでそこをたくさん吸収させてもらいました」と充実したシーズンオフだった模様。今シーズンについては「シリーズチャンピオン獲得を目標に毎戦毎ヒートトップ争い、トップで、まあ表彰台に登れるように取り組んでいきたいと思ってます」「今シーズンは笑顔を多めで行こうかなと思ってて。去年からそうなんですけど、ネガティブになる傾向があって、それをちょっとなくしていこうかなと。ネガティブになることもあると思うんですけどそれをうまく自分の中でコントロールして、笑顔は忘れずに。結果はあんまり良くなくても笑顔で次のヒートに向けて準備するみたいな系でいこうかなと。今年の田中淳也はそういう系でいこうかなと思ってます。」とおっしゃってました。実際、前半戦でお見かけした田中選手、笑顔が多かったように思います。そんな田中選手、第3戦では初のヒート優勝「1つ目の目標ではありますが、IAに上がって4年かかったヒート優勝を取れて、ゴールした瞬間はほんとに最高でした」と喜びを語られました。「残り3戦しかないですが、まだまだチャンピオンの可能性はあると思います!毎レース集中して、勝ち星を増やしていく為にも、スピードアップテクニックアップが今自分に必要だと思っています!」「今年はモトクロスだけじゃなくて、いろんな事をやらせてもらって楽しく過ごせてます。気持ちの面でもその時々を楽しむ事で、スッキリさせながら感謝の気持ちを忘れずに前を見て、後半戦に挑めたらなと思ってます!」と後半戦への意気込みを語られた田中選手、この夏はアメリカでトレーニング中。たくさんの経験を重ねて地元名阪での後半戦スタート、きっと活躍してくださるはず!
*田中淳也選手インタビューのロングバージョンはnoteに掲載されていますので併せてお読みください。
たまモト・番外編「IA2で躍進中の中島漱也選手と田中淳也選手インタビュー・ロングバージョン」
https://note.com/ekakiyatama/n/nb715f4c0432d

■鴨田翔
今シーズン、コツコツとポイントを積み重ね前半戦終了時にはランキング3位に立たれた鴨田選手。シーズンオフは「なんかもうほんとバイク一本っていうかほんとそれに全集中してたような感じ。四六時中それ考えてた感じなんで」「僕はシーズンオフすぐからもうずっとバイク乗ってたんで。終わって1週間ぐらいですでに練習再開して、っていうのは他とは違う過ごし方したんかなって思いますね。そんなに乗り込んだりとかはしないんですけどなんだろうな、まあマシンの面もあったんでやっぱり一歩早く取り組まないと乗り込むって時間が作れないなと思って、とにかくマシンを早くに仕上げることを意識したら、そうなりました」と、とにかくバイクに集中されていたそうで今シーズンについては「王道なら多分タイトル取りますなんですけど、ちょっと去年は取りこぼしの多いシーズンだったんで。波なく、波なく、しぶとくシーズン戦っていきたいなっていうのがあります」とおっしゃっていた通り、地道にポイントを積み上げておられます。前半戦を振り返って「あまり嬉しい事なかったんですけど、強いて言うならば、鬼門のSUGOで表彰台登れた事ですかね!今後に向けて良い自信に繋がりました」「悔しかったのはスタートは良いのに勝てないレースが続いてそのまま前半戦が終わってしまった事です。勿体ないレースばかりでした…後半戦の目標は前半戦での反省点を繰り返さないように1ヒート1ヒート、優勝目指す事です」とのこと。後半戦もしぶとく戦ってほしいです。
*鴨田翔選手インタビューのロングバージョンはnoteに掲載されていますので併せてお読みください。

■横澤拓夢
昨シーズンランキング2位、現在ランキング4位、の横澤拓夢選手。開幕直前伺ったお話では「モトクロスの楽しさを広めたい、日本のモトクロスを盛り上げたい」と熱心に語っておられました。シーズンオフにアメリカで過ごされたことでその気持ちがますます強まったようで、その為の発信なども熱心に行われています。横澤選手のファンはすでにご存知でしょうが、開幕前から発信されているポッドキャストでは横澤選手の喋りの上手さが活かされて毎回聴きごたえのある内容になっています。「喋るの上手だよねって、昔から言われてた方だったんですけど、自分の中ではあんまりピンときてなくて。でも、最近、それも確かに自分の特徴だなって思いがあったんで、そういうところはもうバンバン使っていかないとなって思うようになりました。もうちょっと表に向けた発信をすればいいか、一発でいっぱい見てもらおうとかじゃなくて定期的に残していけたらなっていうのが。ちょっと今シーズンのSNSとか他の表に出すものをどんどん増やしていきたいなと。結構、今シーズン頑張ろうと思って、そのうちの一つがポッドキャストかなっていう感じですね。」
TKM MX PODCAST
https://open.spotify.com/show/6gnfMDRGdVkjCiI0kEzJuZ
https://www.youtube.com/@tkmmotorsportsiwate
そんな横澤選手の今シーズンへの意気込みは「結構自分の中でバイクへのノウハウというかトレーニングのノウハウとか日々の過ごし方とか、今はかなり27にもなったので大分熟成されてきたので、結構ライダーとして今いい時期を迎えてるなっていうのがあるんで。僕、プライベーターで走ってますけどファクトリーも太刀打ちできないようなちょっと圧倒的な強さを見せたい」「モトクロスカルチャーの格好良さを発信するチームを、日本のチームですけど、SNSとかもあって、オーストラリアのチームだったり、ニュージーランドのチームとかを僕らが見れるように、海外からも『日本にこういうチームがあるんだ』って思えるじゃないですか。こっちが思うんだったら。なので、そういうチームになりたいって。あとは勝つだけですけどね」とおっしゃっていました。現在ランキング4位の横澤選手ですが後半戦では更なる「かっこいい速さ」を見せて、ぜひチャンピオン争いに絡んでいただきたいなと思います。
*横澤拓夢選手インタビューのロングバージョンはnoteに掲載されていますので併せてお読みください。

■佐々木麗
開幕前、SUGOのプログラム用にお話をうかがった佐々木選手。初インタビューでいろいろ伺いました。「IAは今年で8年目です」中堅ってカンジですよね?「そうですね、だいぶ。だいぶそうです(笑)でも、去年初めて表彰台だったんで、長かったです。4位はあったんですけど、表彰台はなかったんですよ。SUGOで初めて4位が入ったのが、一昨年。表彰台に乗ったことで目線が変わりましたね」今シーズンは更に上を、できたら地元 SUGOで表彰台に乗りたいといったおっしゃっていたのですが「シーズン前半1番印象に残っているのは地元の菅生大会です。両ヒートビックリするくらいスタート遅れてしまってでも1番冷静に走れたレースだったのであの日1番人を抜いたんじゃないかな?ってくらい追い上げられました(笑)」と、前を走れる場面もあったものの今一つ結果に繋がらず残念。前半戦で1番嬉しかったのは「ファンの皆さんが販売したTシャツを着用して会場に来てくれてやっぱり地元最高って思いました!GP大会も販売予定です!」「逆に悔しかったのは第3戦のオフビです。スタートも決まったのに全く路面に対応出来なくて3ヒートもあるのに立て直すことができなかったことが悔しかったです。後半戦にむけての課題は小さなミスを減らす事。安定したライディングを身につけます!」とのこと。夏のインターバルの予定も伺ったところ「7月27日に地元宮城の涌谷オフロードパークと言うコースでライディングスクールからミニレースなどみんなでワイワイ楽しめるイベントを開催します!キッズ初心者もレース出てる人も参加可能になってます!エントリーはSNSメッセージで受付しています!!皆さんのお越しお待ちしています」とのことでした。ぜひともご参加ください。
佐々木麗選手Instagram: @urara_ssk

■柳瀬大河
昨年も速さをみせてくださった柳瀬選手、開幕前にシーズンオフのアメリカ合宿のお話などを伺って「かっこよさ重視で今年も攻めていきたいなと思います」「やっぱりかっこよくても前を走れないけどダサくなっちゃうんで、速さとかっこよさ重視でいきます」なんておっしゃっていて、今シーズンは更なる飛躍をと期待していたのですが、開幕直前に手の甲のを怪我され、開幕戦〜第2戦を欠場されてしまいました。第3戦から復活され、予選などでは相変わらずの速さを見せてくださったのですが、2戦欠場はやはり痛手。前半戦終了時のランキングは15位。とはいえ、後半戦絶対に前を走って「引っ掻き回して」くださる一人だと踏んでおります。

■ブライアン・シュー
今シーズンIA2クラスの台風の目とも言えるブライアン・シュー選手。イタリア選手権との兼ね合いで第2戦、第3戦を欠場されているのでランキングこそ高くはありませんが「出れば勝つ」状態に後半戦、日本人ライダーにとってはひとつの壁になりそう。そんなシュー選手の開幕戦でのインタビューは第4戦直前にアップされたこちらをご覧ください。
「たまモト2025 vol. 3「ブライアン・シュー」インタビュー」
http://setagayaracing.net/news/66385.html

■池田凌
昨年までのチーム、マウンテンライダースから新しいチーム、KAWASAKI PLAZA 大阪鶴見に移籍された池田選手。地道にポイントを重ねての前半戦ランキング5位。いけしゃんの走りはまだまだこんなもんじゃないと期待されるファンも多いので後半戦はぜひ表彰台を狙っていただきたいところです。

■吉田琉雲
チームベルズの暴れん坊(笑)吉田流雲選手。第2戦のSUGOでは3位表彰台に登られるなど、若手ながらに目を見張る速さを見せてくださっています。吉田選手についてはチームメイトの大倉由揮選手やベルズの小島庸平監督からいろいろと面白エピソードを伺っているので、後半戦ではぜひインタビューをお願いしたい所(開幕戦に一度お願いしたのですが、タイミングがあわずに実現できなかったんです、残念)

■福村鎌
数少ないSUZUKIライダーの福村選手。今シーズンは第3戦OFV、急逝されたお父様のイラストが入ったヘルメットでの4位走行が印象に残っています。大変な想いを乗り越えてのレース、後半戦もどうか頑張っていただきたいし、めっちゃ応援したいと思ってます。
以上、IA2ライダーの開幕前のお話や前半戦を振り返ってのお話をまとめてみました。今シーズンのIA2前半戦はチャンピオン中島漱也選手と外国人選手ブライアン・シュー選手との熱いバトルで幕開け、シュー選手はイタリア選手権出場の為に第2戦・第3戦を欠場したものの第4戦には再びの参戦、ヒート2では開幕戦に続いて中島選手とのバトルを制し優勝という「黒船」っぷりを見せつけました。ランキングトップの中島選手はシュー選手が優勝したヒート以外ほとんどのヒートで優勝していますが、第3戦ヒート2では開幕前共にNZでトレーニングした田中淳也選手にヒート優勝を譲る形となりました。歳下のチームメイトも確実に速くなっていることがわかり油断ができない状況です。
ランキング3位の鴨田選手、4位の横澤選手も確実にポイントを重ねており後半戦のチャンピオン争いに絡まれそうな気配。また、開幕戦と第2戦を怪我で欠場された柳瀬大河選手も復帰後相変わらずの速さを見せておられますし、すっかり中堅になられた佐々木選手や、前半戦ではお話を伺えなかった池田凌選手や吉田琉雲選手、佐野雄太選手も後半戦の活躍が期待できます。こうやって振り返るとIA2もなかなかの粒揃いだなあ…







