たまモト|2025 vol. 3「ブライアン・シュー」インタビュー
開幕戦の九州大会で昨年のIA2チャンピオン、中島漱也選手とのバトルを制しピンピン(ヒート1、2ともに1位)で総合優勝したブライアン・シュー選手。一昨年の第8戦埼玉トヨペットCUP(2023年10月・オフロードビレッジ)にスポット参戦し2位-3位-1位で総合優勝。翌年2024年の全日本モトクロスにも参戦の予定でしたが開幕戦前の肩の負傷が長引いて欠場。結局一度も全日本に姿を見せることはありませんでした。そんなシュー選手、今シーズンはチームオートブラザースから全日本参戦される運びとなり、イタリア選手権と全日本という2つの国の選手権を戦うとのこと。
全日本の第2戦、第3戦はイタリア選手権と日程が重なった為に全日本を欠場されましたが、6月14-15日に開催される第4戦中国大会に開幕戦以来2ヶ月ぶりで戻ってこられます。というわけで第4戦の予習として開幕戦の時に伺ったシュー選手のインタビューを紹介したいと思います。

ご挨拶がわりの似顔絵カードとお菓子(甘いものは大好きだそうです)を手ににっこりのブライアン・シュー選手
■ブライアン・シュー選手インタビュー
たま:初めまして、お会いできて嬉しいです。
シュー:初めまして。
たま:まず伺いたいのですが、昨年あなたは全日本に参戦する予定でしたけど怪我で走れませんでしたよね?今はもう大丈夫なんですか?
シュー:そうだね、本来なら昨年全日本を走るはずだったけど肩を怪我してしまって。でも今はもう大丈夫。1月から走り始めたからコンディションも万全だよ。
たま:今年は全日本、全戦走られるんですか?
シュー:いや、全戦ではないんだ。とりあえず開幕戦1レースだけ。僕もチームメイトのトロペペも今シーズンまず開幕戦を走って様子を見て後のことを考えることになってる。僕のキャリアの最優先事項はイタリア選手権だからね。
たま:イタリア選手権が一番重要なんですか? GP…世界グランプリではなく?
シュー:そう、GPではなくイタリア選手権。

53番という見慣れないゼッケンだけに開幕戦の観客からは「あれは誰?」の声が多く聞かれました。
たま:全日本ではGASGASに乗られますが、イタリアではHONDAですよね?
シュー:そうだね。イタリアではHONDAに乗っているよ。日本ではGASGASだね。
たま:GASGASとHONDA、違いはどこでしょう?違和感はないですか?
シュー:僕にとってはどちらも同じ。違いはありません。どちらも何の問題もないよ。

スタート前も落ち着いた雰囲気
たま:そうなんですね。話は変わりますがあなたはバイオリン奏者であることでも有名ですが…(シュー選手のお父さんはバイオリン製作者)
シュー:はい(笑)
たま:バイオリンとモトクロス、一見正反対に感じられますが何か共通するものがあるんですか?
シュー:それは、僕がどう感じるかってこと?
たま:そうです。どんなところが共通してるのかなって…
シュー:共通点…そうだね、Concentration(集中力)とDetail(細部)だね。バイクに乗るのがスムーズになるんだ。Focus(集中)、音楽のフィーリング、フィーリングとたくさんの集中力、多くの集中力が音楽にもバイクにも必要で…バイオリンはバイクに乗るのにとても役立っていると思う。僕のライディングに大きな手助けになっていると思うよ。
たま:なるほど…バイオリンは何歳から始めたのですか?
シュー:バイオリンを始めたのは4歳から。モトクロスは6歳から始めたよ。僕は今年27歳になるので20年になるね。
たま:バイオリンの方が先なんですね!
シュー:そうだね
たま:それでは今、モトクロス以外であなたが熱中しているものがあったら教えてください。それがあなたの人生に何をもたらすのかも…
シュー:バイク以外?ないね。今、僕が何よりもfocusしているのはライディング。今はライディングに集中しているんだ。イタリアでプロレースに出場すること、それが最優先事項。来年についてはどうなるのかまだわからない。今の自分の仕事に満足しているので。今はバイクに乗ることだけを考えていてそれがとても幸せなんだ。
たま:なるほど。では、日本においでになって興味深く思ったことなどあったら教えてください。
シュー:例えば食べ物とか?(笑)そうだね、日本に来て興味深く思ったこと…僕のルーツは台湾なんだけど、台湾と日本は似ているなと思うよ。文化がとても厳格で閉鎖的で狭い。だけど、清潔感があって綺麗好きで正しくあろうとしている。そういうところがとても好きなんだ。僕は清潔感のあるものや綺麗なものが好きなんだ。

開幕戦ヒート2、中島選手とのバトルを制してトップでゴール、ドイツ国旗(シュー選手はドイツ生まれの台湾系ドイツ人)を背に喜びを表現
たま:そういえば、一昨年の全日本参戦は山本鯨選手のチームからでしたね?山本選手とはどういった知り合いなんですか?
シュー:彼とは2004年から知り合いだよ。20年来の仲なんだ。
たま:ああ!ジュニアレースの頃?
シュー:そうジュニア。彼は子供の頃、ヨーロッパのジュニアレースに来ただろう?その時に知り合ったんだよ。それで2年前に彼と連絡を取って、1レースだけ組もうという話になったんだ。2年前の彼との電話、それがきっかけだよ。
たま:彼と一緒にレースをしたいと思った?
シュー:というよりJUST MUCHって感じかな。

開幕戦ヒート2勝利者インタビュー
たま:そうなんですね。それではさいごに日本のファンへ何かメッセージをお願いします
シュー:前回…去年、全日本のレースに出られなかったので今回開幕戦を走れてとても嬉しいよ。良いレースをして良い結果を出せるように頑張ります。
たま:勝たないとですね
シュー:その通り!勝たないと(笑)
たま:ありがとうございました。
シュー:ありがとう!
えかきやの拙い英語の質問にも終始にこやかに答えてくださったブライアン・シュー選手。オートブラザースのスタッフが通訳として間に入ってくださっていたんですが、こちらにわかりやすいように簡単な単語に言い換えて答えてくださってありがたかったです。

チームメイトのトロぺぺ選手とともに
そんなシュー選手、イタリア選手権を走られているだけあってイタリア語も堪能なご様子。チームメイトのジュゼッペ・トロぺぺ選手のインタビュー時には「彼は英語はあんまり得意じゃないから」という理由でえかきや&通訳の方→シュー選手→トロぺぺ選手という通訳の通訳を買って出てくださいました。

怪我で今回の参戦を見送ったトロぺぺ選手、日本をエンジョイされてただけに今回の欠場は残念
トロぺぺ選手については、本来ならシュー選手同様第4戦から全日本に復帰される予定だったそうですが、イタリア選手権に参戦のためイタリアに帰国中練習で怪我をされたとのこと(4月末)で、今回の全日本復帰は叶いませんでした。開幕戦でもマシントラブルでヒート1DNF、ヒート2DNSとなってその走りをしっかり拝見できなかったのは残念です。怪我が治って後半戦に出てくださることを祈りましょう。
シュー選手が第4戦の広島を走られるということで、開幕戦に彼とバトルを展開したIA2チャンピオン中島漱也選手は「開幕戦(バトルを制することができなくて)悔しかったんでリベンジしたいんですよね」と第3戦のオフビで語っておられました。第3戦では中島選手とともにシーズンオフにニュージーランドで経験を積んできたチームメイト・田中淳也選手も初(ヒート)優勝を果たしてさらに速さを発揮できるようになった印象。また、今回の広島はあの勝谷武史選手がIA2クラスでスポット参戦されるとのことで、シュー選手VS日本人新旧ライダーという図式になりIA2クラスはなかなか興味深い戦いになりそうです。
Fox Racing | The Violin Rider | Brian Hsu
バイオリンライダーとして紹介されたFOXレーシングの動画(2016)
・ブライアン・シュー Instagram – @theviolinrider