Gモト|ビハインド・ザ・ゲート特別編
4月になりました。いよいよ今月は2025年全日本モトクロスの開幕!
今シーズンもレースファンの皆さんと情報を共有し楽しんでいきたいと思っています。 レース業界を支える方々をご紹介するビハインド・ザ・ゲート、今回はGモトクルー念願の対談企画。Gモトではお馴染みの、いつも素敵な笑顔「住友ゴム工業株式会社 笠井杏樹」さん、マッシュヘアーといえば「YAMAHA FACTORY RACING TEAM 吉田奈都美」さんと「女性」をキーワードにした対談をお届けします。
「自分達の仲間を増やしたい」という共通のキーワードを持つお二人。この業界で働いてみたい女性の皆さん必見です!!この記事は、2024年全日本モトクロス第2戦、熊本県HSR九州にて取材させていただきました。(お届けまで大変お待たせしてごめんなさい)
Gモト:名刺交換完了という事で・・・笠井さん、ついに念願の!業界仕事が仲間が誕生です。笑
笠井杏樹:とてもとても嬉しい。笑
Gモト:いよいよ!ついに!対談の時です。今日は時間も限られているので、早速いってみましょう。今日はお二人の仕事への「意気込み・目標・目的」などをお聞きしたいと思ってます。ではでは、いつもニコニコ笠井さん早速お願いします。
笠井杏樹:女性目線ですよねぇ・・・
Gモト:そうそう、笠井さん自身の立ち位置から見てね。
笠井・吉田:難しい・・・
Gモト:あくまでも自分の目線で大丈夫。
笠井杏樹:女性の立場というか、この取材のように様々な方々に注目していただいて、情報発信ができる事が1番だと思っています。レース会場で女性は目立ちますし、私はそこが良いなって思っているので、そこを活用しています。現状、2輪のモータースーポーツは人気がないじゃないですか、なので先に出た立ち位置を活用して盛り上げていきたいと思ってます。私もライダーとして全日本ロードレース選手権ST600クラスに参戦している立場として、レース会場にもっと多くのレースファンの方々が来場していただければ、ライダーとしても嬉しいし、頑張ろう!って思うはずです。なので、私は今、開発者として、ライダーとして盛り上げていきたいと想い仕事に取り組んでいます。
Gモト:吉田さんはこの感じの話はどうですか?
吉田奈都美:おっとお待ちください。いきなりの。笑
笠井杏樹:笑
吉田奈都美:もう一度質問お願いします。
Gモト:今回の対談は「この業界を目指す女性達」に向けて。この業界に夢を持っている女性達が、実際に「夢を掴み働いている女性達」からのメッセージを受け取り希望を持ってもらいたい。そこが今日のコンセプトです。。吉田さん、笠井さんは彼女達から見た夢の場所にいる、その立場からの意気込み・目標・目的などを話してください。
笠井杏樹:私の立場からすると、より性能の良いタイヤを開発し、多くの方々に履いていただける事。あと、このように取材していただき情報発信をする事かなと考えています。
Gモト:吉田さんはいかがですか。ここまで来るのに相当な努力をして今ここにいらっしゃると思います。現在担当されている運営担当として意気込みは?
吉田奈都美:開幕戦は何もかもが初めてで、緊張の連続でした。気がついたらレースが終わっていたっていう感じでした。今回に関しては、もう少し余裕を持ち仕事できたらと思います。私の所属するチームはチャンピオンチームなので、今よりさらに華やかでいたいなと思うし、1番はたくさんのレースファンの皆さんに見に来ていただき、興味を持ってらえるよう準備もしていますし、もちろんチームの勝利を見ていただく事もそうですが、それ以外のところでもモトクロスの面白さを伝えられるように準備してきました。
Gモト:目標は?
笠井杏樹:まずは仕事のレベルを上げる事です。上司のレベルまでに早く達成する事。面白くない答えですけど、現実です。
吉田奈都美:そうですねぇ。まだまだ考えられない状況です。毎日毎日がいっぱいいっぱいで、考える余裕がありません。レースか開幕して終わって気がついたら次の合同テストがあって、またレースがあってと4月はスケジュールが詰まっているので・・・うん、目標はまだない。まずはチームの為に全力を尽くす事。ライダーの勝利につながるよう、メカニック方々が快適に仕事ができるようにサポートしていきたいです。
Gモト:現在は職場に女性1人、チーム内に女性1人という環境ですが
笠井杏樹:私はもともとレースしてたので、そういう環境が多かったので何も気にしていない感じなんですど、逆に周りの方が気を遣っていただいていて、ありがたいです。
Gモト:大切にされてるんだね〜。
笠井杏樹:大丈夫です、気を遣わなくて良いですよ〜って。
一同:笑
Gモト:吉田さんはいかがですか?
吉田奈都美:私も笠井さんと全く一緒で、今まで男性の多い環境で働いてきたので、自分が女性だからって気にしてきた事がなく、まったく笠井さんと同じ意見です。とはいえ皆さん気を遣って優しくしていただいているので本当にありがたいです。甘えさせていただいてます。
笠井杏樹:本当にそう。ありがたいです。
Gモト:この業界内に女性が増えた方が良いよね?
笠井杏樹:そうですよね。やっぱり華やかになりますよね。
吉田奈都美::そうそう
笠井杏樹:ですよね!
Gモト:どんな感じで華やかになるの?
笠井杏樹:男性って真剣になると無表情っていうか怖いというか。真剣になっているからこそなんですが、やっぱりそういう場面に女性がいると雰囲気が変わるし、レースファンの皆さんから見ても雰囲気が良いと思うんです。あと、結構話しかけていただけるので、交流が持てて繋がりもできるんです。
Gモト:良かったですねぇ。笑 じゃあ次ね。女性だから現場でできること。
笠井杏樹:ニコニコしとる。笑
吉田奈都美:それも特に女性だからこうっていうのはないです。
笠井杏樹:そうなんです。本当にそう。
吉田奈都美:本当そう、女性だから気配りができるかって言ったら、みんながみんなそうではないし、女性だから男性だからというのは特にないです。
Gモト:女性だと意識して働いていますか?
笠井杏樹:まったく意識して働いていないです。1人のスタッフというか、支える側として男女は関係ないというか気にした事はないです。逆に女性であるという事を使おうとしないというか、男性と同じように仕事ができるようにがんばっています。
吉田奈都美:同じだなぁ。
一同:笑
吉田奈都美:ここまで同じだと対談としてどうなんだろう。笑
Gモト:まったく問題なーし。笑
Gモト:今後、女性レースファン増加のために大切な事は?
笠井杏樹:1番はトイレですね。1番水回りが大切です。
吉田奈都美:レースは面白いから、コンテンツとしては良いんです。その・・・インフラというかレース以外をもう少し整えたら観戦しやすくなります。
Gモト:その女性目線は本当に大切。現在の仕事の魅力は?
笠井杏樹:やっぱり勝利に繋がるというか、ライダーと一緒に勝ったり、負けたり、嬉しい、悔しいを分かち合える。私達は車体メーカーじゃないんですけど、開発した事はラップタイムにも現れます。私自身が変更した内容がライダーからコメントで帰ってきたり、勝利につながったりするのが「すごい楽しい」です。
吉田奈都美:私はレースが好きで、ずっと憧れていた世界で、その世界に関われるっていうのが嬉しいし、ここにいる人達は皆さんプロフェッショナル。そのプロフェッショナルな人達と一緒に仕事ができるって、すごく嬉しい事です。素晴らしいです!
Gモト:今後のキャリアビジョンは?
笠井杏樹:特に考えた事がないです。
吉田奈都美:うん・・・。
笠井杏樹:もうちょっとがんばりたいな。
Gモト:この質問は、また今度ね。では、お互いに聞いてみたい事は?
吉田奈都美:女性だから困る事って?
笠井杏樹:困る事ですか・・・。
吉田奈都美:モトクロス担当で、女性だからという理由で困る事。
笠井杏樹:ちょっと話しかけて良いのかなっていう雰囲気。時によって人によっては、相手から話しかけにくそうだなって感じを男性から出されると困ります。人によってですけど、ちょっと壁がある方がたまにいらっしゃいます。あとは重たいもの持てるのか?って思われるとか、その程度の些細な事です。
吉田奈都美:私も重い物ついては一緒です。
Gモト:ここからはフリートークで!
吉田奈都美:私、2月に上田さん(笠井さんの上司)に「ムースタイヤ」の交換を作業させていただいた時があったんです。めっちゃ大変で、笠井さんすごいなぁって思ってたんです。体力トレーニングとかしてるんですか?
笠井杏樹:ライダー出身なので、もともと体力は結構あって上田さんと同様ぐらいの作業は可能です。
吉田奈都美:えーー、ベースがあるって事ですね。
笠井杏樹:そうですね。笑 でもね、なかなかハードだと思います。
吉田奈都美:めっちゃ大変でしたー。2月なのに私、汗だくになりながらムースタイヤ交換させていただきました。
笠井:私もコツを掴むまでは大変でした。本当に慣れですね。もう慣れました!
Gモト:笠井さんからは?
笠井杏樹:このお仕事、ご自分から手を挙げて始められたって伺ったんですが、どうのような経緯なんですか?
吉田奈都美:社内で年に1回、様々な職種の募集があるんです。で、その募集が、自分が関わった事がない職種でもチャレンジできるっていう制度なんです。(セルフバリューチャレンジ制度)その募集に「モトクロス運営」があったので、応募して面接を受けて現在に至ります。
笠井杏樹:すごいですよねぇ。オフロード、オンロードの違いはありますが、私は結構知っている世界だったんで同じ流れなんだろうなって思ってたんですけど、吉田さんは全然知らない職種。
吉田奈都美:確かに。やった事がない仕事ばかりです。
Gモト:ファクトリーチームの仕事がしたかったの?
吉田奈都美:そうではないんです。ファクトリーチームが夢っていうより、レースに関わる仕事がしたかったんです。運営がやりたかったとかなくて、メディアでも良かったんです。何かしらの形でレースに関わる仕事がしたかった。でも、今やってみて、中で働いているのが面白いなって感じてます。
笠井杏樹:私も同じです。
Gモト:笠井さんはアフター5も楽しんでるもんね。笑
笠井杏樹:毎晩飲みに行ってます。笑
Gモト:笠井さんは仕事も同期との遊びの時間も楽しんでるね。
吉田奈都美:うん、素晴らしい。
Gモト:吉田さんはどうですか?
吉田奈都美:私も仕事がめっちゃ楽しいです。仕事が終わってからも仕事の事をずっと考えてます。こうしたら良いかな、ああしたら良いかなって。通勤の運転中もずっと考えていて、ずっと四六時中レースの事を考えています。うん、楽しいです。
Gモト:他に聞きたいことある?
笠井杏樹:自分の意見を伝えるときに、男性に伝えづらい事はありますか?
吉田奈都美:ないです。きちんと伝えます。笑
笠井杏樹:私はたまに言いにくい時が・・・言っちゃえば良いのか!言っちゃおう!笑
吉田奈都美:それは真剣そうだから言いにくいの?自分の立場的に?
笠井杏樹:どちらの時も。
吉田奈都美:もちろん、私も頃合いは見ます。今聞いちゃダメかなという時は言わないですけど、基本的には伝えた方が良いと思います。
笠井杏樹:・・・見習おう。
吉田奈都美:笑笑
Gモト:なんと!本当に残念なんだけど、ここでタイムアップ!今日は貴重なお時間ありがとうございました。
ポージングしてーってお願いしたら、「えーどうしたら良いのー」って2人で顔を見合わせていらっしゃいました。笑 今後はパッとポージングができるくらいになってもらいましょう!笑
彼女達から話も出ましたが、女性がレース会場にいるっていう事は「華やかで柔らかい空気感」になると思います。Gモトクルーが現役ライダーだった時代は LMXクラスもなく、ライダーは男性ばかりで身近な女性スタッフといえば「無限のハナシママネージャー」くらいでした。(ホンダライダーの皆さんは大変お世話になりましたよね)海外では当たり前のようにメーカーチーム、メーカーさんには多くの女性スタッフさんがいらっしゃいます。2023年に取材させていただていた、上原あいさんがココにいたら、さらに華やかで「女子トーク」が盛りがったに違いありません!
笠井さんと吉田さんの対談。いかがでしたか?取材当日、飛行機のトラブルで取材時間がだいぶタイトになってしまったので、もっと話をお聞きしたかったんですがタイムアップとなってしまいました。(そんな状況の中、取材にご協力いただきました、ダンロップさん、ヤマハさんありがとうございました)
レース期間中、仕事に没頭しているお二人の姿は凛々しく素敵です!ライダーと共に勝利を追求する仕事に取り組む姿勢、それを後押しする環境も素晴らしい。そして必ず「レースファン」の皆さんの事を考えていらっしゃいます。全日本モトクロス観戦は、ライダーが走る姿だけではなく、それを支える人達をパドックで観戦する事も醍醐味です。私がビハインド・ザ・ゲートを書き始めたのは「支える人達」に魅了されたから。そして、その魅力を知ってほしいから。だから私はあまり休憩せず、パドックや出店エリアを歩き回っています。最近ではコースにいる時間より、このエリアにいる方が多いほどです。昨年、念願の対談ができて、今回、記事にできた事が本当にうれしいです!
今シーズンはさらに!お二人をフィーチャーしていきたいと考えています。笠井さん、吉田さんのようにレース現場で活躍する女性が増えていきますように。 2025年シーズンも全日本モトクロス会場で仕事をされるお二人。今シーズンも「ニコニコ元気」に仕事する姿が見れる事を楽しみにしています!!
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