たまモト|2023 vol. 3 IAライダーの英語力について話を聞いてみたよ

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ことの発端は、全日本モトクロス 第8戦(オフロードヴィレッジ大会)において、アメリカのプレス「Swapmoto Live」のドン前田さんがアップした動画にありました。「Trey Canard and More, Talk Japan MX」という動画の冒頭でチームBELLSの大倉由揮選手と大城魁之輔選手が流暢な英語でインタビューに応えておられたのです。お二人が海外選手と積極的にお話されているのは常々目にしていたのですが、ここまで流暢だとは想像していなくて正直びっくり。SNS(X・旧Twitter)でも「驚いた!」の声が上がっていました。

そこで「IAライダー、誰が英語上手か選手権とか面白いよね」という話になり、それでは最終戦のSUGOでライダーの英語力について話を聞いて回りましょうという運びに。話題のきっかけとなった大倉選手、大城選手だけでなく若手を中心に聞いて回ったところなかなか面白い話が聞けました。若手IAライダーの英語に関するあれこれ、イラスト&動画を添えてお届けします。

 

Trey Canard and More, Talk Japan MX
(大倉由揮選手&大城魁之輔選手のコメント 冒頭〜3:08まで)

 

We Went to JAPAN to SEE the CRF ELECTRIC! | LOTW Vlog
(25:15あたりから大城魁之輔選手の英語力について言及されてます)

 

■大倉由揮

たま:大倉選手はご自分の英語力をどのくらいだと思いますか?
大倉:めちゃくちゃ低いです

たま:ええ?!だってSwapmotoの動画でめっちゃ喋ってたじゃないですか?
大倉:あれも、いきなりカメラ向けられて「お前、英語喋れるか?」って言われて「え?ちょっとだけなら…」みたいな状況だったんで、考えながら考えながら喋ったっていうカンジで。友人から「(動画に)出とったな!」って動画が送られてきたんですけどいまだに恥ずかしくて観られないです(苦笑)

たま:学生時代は英語得意でしたか?
大倉:日本の高校の英語は楽しかった…っていうか好きだったんですけど、英語力でいうと全然まだまだなんでもっと勉強したいなって思いますね。

たま:今現在、自分で何か勉強してるんですか?
大倉:最近は特別に勉強はしてないですけど、練習の行き帰り、車で英語のラジオを流すようにはしてます。それこそSwapmotoとかのポッドキャストを流して…モトクロス系の英語(番組)を聴きながら運転してますね。

たま:それが現在の大倉くんの英語勉強法ってことかな?
大倉:まあ、聞こうとして聴いてないですけどひたすら流して耳から入っていけばいいかなあくらいの感覚で。ぼうっと運転しているくらいならそうやって自然と英語が入るくらいがいいかなあと思ってます。

たま:なるほど。それでは英語で明日(決勝)にむけての抱負を…
大倉:いやいやいやそんな…ダメです無理です(笑)

たま:それじゃなにか「これやったら言えるで」って一言を(笑)
大倉:え〜〜(困) じゃあ『No.1!』で

たま:明日はNo1を獲るってことですね(笑)

ちなみに、追加で伺った情報によると大倉選手は高校生の時に1年間アメリカに留学されていたそうで、その時に英語に慣れ親しまれたようです。やはり若いうちに長期間英語を喋る環境に身を置くことは大事なのかなあという印象。

 

■大城魁之輔

たま:魁之輔くんはなんで英語が得意なのかな?
大城:小学生の高学年(10歳)くらいから中学生の前半(14歳)くらいまでアメリカに住んでいたんですよ。

たま:ネバダ(州)って聞いたんですけど
大城:そうです。ネバダとカリフォルニアにも住んでたんですけど。

たま:それはご家族のお仕事の関係で?
大城:最初、バイクを乗りに行ったんですけど、ビザだったりとかいろんな関係で後半はバイクに乗れなかったという(笑)

たま:あらら…
大城:なんで、むこうの普通の学校に行きながら当時はバスケにハマってたんでバスケしながらバイクに乗らない生活を送ってました(笑)

たま:バイク乗りに行ったのに?!
大城:最初の数年(2年)はバイク乗ってましたけど。

たま:じゃあ、あちらのローカルレースに出たりとか?
大城:出たりしてました。けど途中からは乗ってなかったです。

たま:(笑)それでバスケやってたんだ?トータル何年くらい行ってたんですか?
大城:3〜4年ですかね。

たま:それだけ居たから英語が得意に?
大城:そうですね。時期的にもよかったんじゃないですかね?

たま:若かったから?
大城:そうです。覚えやすい時期だったし、自分は日本人学校とかに全く行ってなかったので。

たま:じゃあ普通にエレメンタリースクールとかミドルスクールとかそういう?
大城:そうです。それで学校で友達とかできるじゃないですか、それで喋るじゃないですか、そしたら覚えちゃいました。

たま:わりとナチュラルに覚えたカンジですね。英語を勉強しようってことじゃなく。
大城:そう…なんか…しばらく近畿の方にいるとちょっと関西弁がうつってくる気がする…みたいなのあるじゃないですか。あれたぶん3〜4年いると関西弁になっちゃうんですよ。でも、関西弁の場合は「自分、関西人じゃないのに関西弁喋ってるのちょっと恥ずかしいな」って思って喋らないようにするじゃないですか。それの、自己規制がない版…「関西人じゃないのに関西弁喋るのはダサいから喋らんとこ」っていう『規制の気持ち』がない版なんでけっこうスッと入ってきてスッと喋れるようになるってカンジですね、イメージ的には。

たま:自然に身についちゃったってことなのね
大城:そうっすね。すごい(英語の)勉強をがんばったっていうイメージはないですね。(日本に帰ってきたら)もうちょっと忘れるかなって思ったんですけど。まあ時期的にも小学校の高学年から中学校の前半ってちょうどいろんなものに興味を持ち始める時期じゃないですか。その時にあっちのカルチャーに触れてたんで。初めて買ったCDとか好きなテレビ番組とかそういうのができ始めるのってそんぐらいの年齢じゃないですか。「好きなアーティストができた」とか、そんぐらいの歳の時にあっちにいたんで、好きなアーティストは日本に帰ってきても聴き続けるじゃないですか(だから英語を忘れなかった)みたいな。

たま:なるほど。ちなみに魁之輔少年がその頃好きだったのは?
大城:今はそんなに聴いてないんですけど当時たまたま…これはほんとにたまたまなんですが初めて買ったCDがケリー・クラークソンだったんですよ。…っていうのは今でも覚えてます。そっからいろいろなんでも聴くようになってメインストリームの本当に王道を…一人だけ聴いててもつまんないんでその延長でいろいろ聴くようになって、その時ハマってたバスケのカルチャーではヒップホップが根付いてるんで…当時で言うと、名前をあげてもわかるかわかんないですけど、リル・ウェインだとかタイガとかそのへんがすごい流行ってたので。あと誰が流行ってたかなあ…キッド・カディとか。そういう当時流行ってたのを聴くようになって、そういうのは日本に帰ってきたからって聴くのをやめないじゃないですか。その人たちが新しいアルバム出したっていったら聴くじゃないですか…みたいな感じであちらの音楽を聴き続けてて。逆に、最近まで洋楽しか知らなくて。みんなでカラオケとか行った時に日本語の歌を歌いたいなあって思って去年くらい前から日本の歌を聞くようになりました。こんな声してて歌うの大好きなんですよ。あとやっぱおじさま方とカラオケ楽しいじゃないですか、なので最近は尾崎豊とか徳永英明なんかを聴いてますね。

大城選手が見せてくれたスマホには「日本語入門」というタイトルの「日本語の歌プレイリスト」が。「僕、英語で喋ってる時の方が声が聞き取りやすいってめっちゃ言われるんですよね」と苦笑していました。英語ができるならできるで苦労があるんですね。

たま:逆に日本語の歌を学んでるんですね?(笑)
大城:最近のマイブームは尾崎豊「十五の夜」と「アイラブユー」ですね。あとはあれです郷ひろみです。

たま:(爆笑)今度聞かせてください。で、だいぶ話題が逸れましたが英語ネタなんで(笑)英語で何か一言お願いできますか?イラストの吹き出しに使うんで。
大城:えぇぇ…This is a pen! とかでもいいですか?(笑)

たま:ほんとにそれで描いちゃうよ(笑)

追加情報で伺ったところによると、10歳での渡米は「アメリカでバイクに乗りたい」という魁之輔少年の願いを多度の青木社長のご尽力を受けつつお父様が実現されたとのこと。アメリカ在住の遠い親戚の家に父子でステイして2年間はローカルレースなどを走っていたそう。お父様がビザの関係で一旦帰国された為、その後はバイクに乗ることができずバスケ三昧の生活を送り「今考えると資金が尽きたんでしょうね。他にもいろいろ理由はあったんですが1年後には僕も帰国することになったんです」という経緯。結果的にアメリカでのモトクロス生活は頓挫してしまったけれど、この時に身についた英語力は「今になってすごく役立っていますね。むしろこれからもっと役立つようになるんじゃないですかね」とのこと。実際、シーズン終了後のHONDAのイベント(Honda Racing THANKS DAY 2023)ではモトクロス の海外選手は言うに及ばず、ロードや四輪の海外選手とも臆さず楽しげに談笑する大城選手の姿が目撃されています。身についた英語力と物怖じしない性格で世界に羽ばたく足掛かりを着実に築いておられる模様です。

 

■横澤拓夢

たま:ライダーの英語力について伺ってるんですが、横澤くんは?
横澤:英語力?…全然ないな(笑)

たま:自己申告でどのくらい?
横澤:あ〜、ハーイ!マイネームイズ カイオオシロ、ユーノウ?
(横に大城くんがいたのでふざけて)

たま:ユーノウ?!
横澤:アイフロムイワテ、カインナノースインジャパン。ビッグスノー、ビッグマウンテン、ビッグトゥリー、ビッグシー、ビッグリアス式海岸、ユーノウ?

たま:(爆笑)
横澤:ビッグ盛岡冷麺、盛岡冷麺テイストソーオイシイ!オイシイレイメンタベタイ、ワンコソバ、ワンコソバオナカイッパイ、オナカイッパイナッテグッスリネムリタイ、アイドンノー、アイドンノーイングリッシュ!

たま:(笑) 勉強してるの?
横澤:いや、してないっすね。

たま:学校で習った英語…
横澤:そうっすね、ノリと雰囲気で。でも、一応、HONDAさんに(アメリカに)連れて行ってもらったことがあるんで、その時にちょっとだけがんばったってカンジです。

たま:なるほど。これ描くからね漫画に(笑)今のビッグ盛岡冷麺描くからね(笑)
横澤:ビッグ盛岡冷麺ユーノー?知らねえよっつて(笑)

たま:ありがとうございます
横澤:ありがとうございます(笑)

今回「動画をそのままは使わない」という前提で動画を撮らせていただいてたんですが、横澤くんのこの答えはあまりにも面白すぎるのと動画でないと伝わらない味があるので改めてご本人に許可をいただいて、以下に動画をアップしました。この絶妙な面白さをぜひご覧ください。そしてあなたも「リアス式海岸」「盛岡冷麺」と聞くと爆笑せずにはおれない身体になってください(笑)

英語力の有無はともかく(といいつつkindaやyou knowの使い方は板についている)横澤選手のこのユニークな発想とユーモアのセンスは海外選手とのコミュニケーションにおいて大いに役立っているな、というのは今年の表彰台を拝見していて感じたこと。これに更なる英語力が加われば鬼に金棒な気がします。

 

■福村鎌

たま:モトクロスライダーの英語力というテーマでお話を聞いてるんですが
福村:マイネームイズレンフクムラ(笑)

たま:英語を勉強しようみたいな気持ちは?
福村:あんまりないです。

たま:そっかー、あんまり興味ない?
福村:興味はあるんですけど、ま、ノリでいけるかって、なんでもゼスチャーで通じるかなって。

たま:ゼスチャーでね、なるほど。ゼスチャー派ですね?
福村:ゼスチャー派です(笑)

 

■西條悠人

たま:ライダーの英語力について聞いて回ってるんですが。
西條:英語全くできないんですよね。うん、もう、ハローぐらいです。

たま:勉強しようみたいな気持ちは?
西條:う〜ん、今のところはあんま考えてないですね。

たま:海外で走りたい、みたいな気持ちは?
西條:それはあります!

たま:その時のために勉強しないといけないのでは?
西條:その時は通訳つけて…

たま:そうきましたか(笑)
西條:勉強苦手なんで…好きじゃないんですよ。

たま:じゃあ、ビクトル(アロンソ)と喋ったりとかはあんまりしない?
西條:なんか、前のSUGOの表彰台の時、ビクトルに話しかけられたんですけどぜんぜん何言ってるのかわからなくて。もう一言も聞き取れなかったんです。

たま:じゃあ、ちょっとくらいは喋れるようになると…
西條:ですよね、せめて単語くらいは理解したいんですけど、まじでわかんないんで。

たま:でもほらライダーは万国共通のこういうの(身振り手振り)があるじゃないですか?
西條:ああ、そうですね。そういうのはけっこうイケると思います。「あそこはワウワウワウ…」って伝えれば(笑)

たま:そっか、じゃあまずそこから(笑)

福村選手、西條選手のように「海外で走りたい、でも英語の勉強は苦手」というのは共感するライダーが少なくない気がします。ライダー共通言語の身振り手振りと擬音でなんとか意思疎通を図るところから、ちょっとずつでも英単語を身につけていけば…って思うんですけど難しいですかね?

 

■中島漱也

たま:今、ライダーの英語力について質問しているんですけども…
中島:え?動画でですか、それ、すごい無茶振りじゃないですか?(英語で答えないといけないと思っているらしい)え〜〜〜?!どう答えたらいいですか?

たま;英語を勉強しているとかいないとか、英語喋れるとか喋れないとか。
中島:えぇぇ…難しいな、初めてだこんなの(困)

たま:英語で喋らなくてもいいよ。
中島:あ、日本語でもいいんですか!(嬉)えっと、一応、3歳から小学生くらいまで英会話に通ってました。でも、好きじゃなくて。ほんと無理やり行ってたんであんまり入ってないですね。それに行って勉強してて、あとはちっちゃい頃に何回か海外に挑戦してた時に、1年の中で1ヶ月居たりとかしてたんでそれでちょっとずつっていうのが、今でも若干覚えてるかなどうかなってカンジですね。

たま:あえてはやってない?
中島:あえては…そうっすね。でも、それこそジェイさんとかアロンソとかとは喋るようにしてます。

たま:聞き取れます?
中島:聞き取ることはできます。けど、自分の言いたいことが出てこないことがあります、たまに。

たま:これってなんて言えばいいんだろう?的な…
中島:そうっすね「このワードなんて言うんだろう?」っていうカンジです。

たま:なんかこう発信するとかいうのは?英語で、SNSで。
中島:ていうのは、自分の知ってる単語で。僕、あんまり英語で発信することはないんですけど「書きたいな」って時は自分の知ってる単語を並べたり魁之輔くんに聞いたりとかしてます。姉も英会話に通ってて英語できるので、姉に聞いたりとか。周りには(英語ができる人が)まあまあいるんですけど。

たま:じゃあ、中島くんもがんばんなきゃですね?
中島:そうですね。英語喋れたら海外で仕事する時も楽だし、勝谷さんみたいに海外で活躍するテストライダーになれたりとか、道が開けると思うので。

たま:では、英語で何か決め台詞とか自己紹介とかあったら
中島:Hi! I’m Soya. I stady English 15yeras ago.But I don’t understand everything.(笑)

たま:OK!!(笑)

インタビューでは常に海外を意識した言葉を発される中島選手。海外での活動を視野に入れているなら英語は必須だと思うので、これから改めての勉強が必要になってくるのかもしれませんね。周囲に英語が得意な人がいるというのは、英語習得の上で恵まれた環境なんじゃないかなって思いました。

若手中心にお話を伺ってきたところで既に海外のレースに参戦されたこともあるトップライダーはどうかというと…

 

■能塚智寛

たま:今、IAライダーの英語力について聞いて回ってるんですが、能塚選手は英語どのくらいできる人?
能塚:リルビットじゃないですか

たま:リルビット?
能塚:リルビットかトゥーマッチか…

たま:どっちなんですか?!(笑) 英語の勉強をしたりしましたか?
能塚:いや、ノットラーニングですね。ノットラーニングで行って現地で…でもまあ、映画とか…洋画が好きだからそういうので学んでるカンジですかね。フレーズを覚えたり。

たま:じゃあ、ちゃんと『勉強』ってやったわけではないけど?
能塚:義務教育で習う程度ですね。

たま:そこそこ意思疎通できるカンジ?
能塚:意思疎通できるようにはなったかなあと思ってるんですが、どうかわかんないです。

たま:では、英語で自己紹介なり決め台詞なり言ってみてください。
能塚:じゃあ、今年の振り返りを…

たま:いいですね!
能塚:I was so many crash. And this year I’m not happy by our sponsor and  team also my falimy everybody come on to say everybody thank you!

たま:十分言えてるじゃないですか!これ、私文字に起こすんですけど起こせるかな(不安)
能塚:(にやにや)

たま:ありがとうございます。では「できないフリをしてできる能塚選手」という分類にさせていただきますね(笑)
能塚:できると言うと調子に乗るから(笑)

たま:「英語できる人」のレベルが一気に上がっちゃいましたもんね、魁之輔くんのおかげ(?)で。
能塚:魁之輔とか大倉くんとか上手だなって思って。アメリカ行ってたっていうのは聞いてたけど。アメリカは僕も何ヶ月か行ってるけど。世界も何ヶ月か行ってるから、もうちょっと話したかったですけど。まあ、数ヶ月行ってレースですぐ怪我して日本に帰ってきてひっくり返ってたから…予行ばっかりみたいな(苦笑)

たま:そっか〜。では、そんなカンジのちーくんということで。ありがとうございました。
能塚:はい。

と、能塚選手らしい飄々としたコメントで今回は締めくくってみました。この話題、なかなか興味深いので今後も機会があったら現役だけじゃなくOBも含めて聞いて回れたらなと思います。今までももちろんそうでしたが、これからのレース界はますますグローバル化していって英語力は必須になってくると思うので、これを機会にライダーの英語熱が高まったらいいなあなんて思いつつ、自分の小学生レベルな英語力もなんとかしないといけないなあと改めて感じました。

今シーズンの「たまモト」はこれで終了。2024年から The Newsmoto の形態がちょっと変わりますが、えかきやが担当する全日本モトクロスレポは今まで同様に発信していく予定です。来シーズンもどうかよろしくお願いします。

 

たまモト – The Newsmoto


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