Gモト|ビハインド・ザ・ゲート「笠井杏樹」vol. 2

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ご好評いただいています、ビハインド・ザ・ゲート住友ゴム工業「笠井杏樹」さん。今回は全日本モトクロス選手権第6戦近畿大会にて、レース会場での仕事内容を取材させていただきました。笠井さんの「興味深い経歴と背景」は、ライダーが目指すべき1つの形としてご紹介していますので、ぜひ前回の記事を読んでから今回の記事を読んでください。さらに!深堀していただけます。

 

笠井さんが所属されているダンロップタイヤ技術本部がレース会場で行う仕事とは? 笠井さんはどのように取り組んでいるのか? お話を伺いました。

レース会場での仕事内容は、タイヤのリム組、タイヤチェック、コースサイドで走行チェック、走行後のライダーコメント取り。レース期間中は時間が限られライダーもレースに集中しているので、レースで使うと決めたタイヤがどう走っているのか見ている時間の方が多いです。

 

ロードレースライダーである立場で、この仕事を始めた当初は?
ロードレースよりもモトクロスは滑るので、この仕事を始めた当初は、ライダーが何を言っているのか理解できませんでした・・・。

作業をする中で気をつけている事と課題は?


ライダーのコメントを時系列で追いかけるようにしています。滑り出しが早い、切れ込むなど、走行を見てからコメントを聞くのではなく、コメントを聞いてから見る作業を繰り返し、コーナーリング中、アクセルを開け始めるタイミングで横に逃げてるななど、ライダーがコメントしてくれるので、確かに滑ってるな思うんですけど、それに対しタイヤの構造をどう変更するかという内容になると、先輩や上司に説明し、こう変更すると解決するよと教えていただき勉強中です。

取り組みの成果と課題は?
やっとライダーからのコメントを現象で理解できるようになってきましたが、課題も多く理解できた内容をどう構造に活かしたら良いかを適切に判断する事が難しいです。

 

レースや、テスト走行の結果を構造に活かす作業工程を教えてください。
走行は物理現象、走行後のコメントを物理現象に落とし込みます。物理現象というのはタイヤだけではなく、車体の動きも含めトータルな物理現象です。その後、物理現象をさらに細かく見ていき、タイヤとしてどのような現象が起こっているのか?というタイヤの特性値を計測し落とし込んでいきます。タイヤ特性値は社内に測定する機械があり、ライダーにタイヤを提供する前にタイヤ測定値を計測しています。走行の後、ライダーのコメントが、どのタイヤ測定値データとリンクするのか。リンクした測定値とライダーのコメントを紐解いていくのが、レース、テストの後に社内で行う作業になります。すごく難しんです。

難しいと思う事に対して努力している事は?
そうですね・・・コースでは、上司の上田さんと一緒にライダーの走行を見ています。その際、話し合った内容を、このようなタイヤ構造だからこうなるんだよ。というところを社内に戻ってプロファイルというデータでタイヤ形状などを確認し、構造など、どういう作りをしているか資料を見て、ここが効いているんだという事柄を上司に相談しながら勉強しています。
タイヤメーカーさんならどこも同じかと思いますが、各タイヤ毎に、この部材を使いこの工法で作ってというレシピがあります。そのレシピを確認しながら作業し、設計者として経験を積めば積むほど各レシピが頭に入っていきます。私はまだまだ経験不足、頭に入っているレシピが増えていき対応力が上がっていけば、何を変更したからライダーからこのコメントが聞けたんだと理解し、次に向け想定しながらタイヤ開発をしていけるようになります。

 

 

今回は、レース会場での仕事についてお話を伺いました。「タイヤ作りは化学」を再確認。限界まで突き詰める技術者、開発ライダーだからそこの仕事ですね。タイヤはモーターサイクルには必要不可欠で、楽しさと安全を支える最重要アイテム。

「レースの現場に来る女性を増やしたい」。私の活動をダンロップを通じて発信する事で仲間が増えたらと思います。」という笠井さんの想い。その言葉を聞き、Gモトクルーが伝えたいと思った「ライダーが目指すべき1つの形」をご紹介しています。笠井さんの行動には「男女問わずライダーとしての選択」が詰まっていて、見習う事や、参考になる事がある!

次回は「技術者としての仕事を深掘り。まだまだ続きます、ビハインド・ザ・ゲート笠井杏樹。お忙しい中、貴重なお時間をいただきお話を伺いました取材へのご協力ありがとうございました。

 

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