Gモト|「THE RIDER」本田七海 vol. 22
本田七海選手の「正直でシンプルなレース活動」を「リアル」にお伝えする【THE RIDER 本田七海】。
VOL. 22は、前回の記事でも触れた本田選手の「各セクションを結び付けつる世界標準ライディング」をGモト目線で深掘りしてみます。
2008年から、4ストローク150cc優勢傾向が強いLMXクラス。 理由として考えられるのは、マウンテンコース、サンドコース、日本特有のスリッピーな路面、コース幅が狭くタイトなコーナーが多い、ストップ&ゴーが多い点。 2ストロークで4ストロークに立ち向かうには苦戦を強いられる状況が多く、逆にトルクとパワーに勝る4ストロークが優勢になる環境が多いと考えられます。 このような背景があり、非力な2ストローク85ccで4ストローク勢と戦うために努力を積み重ね現在の本田選手のライディングが構築されています。
本田選手のライディングの特徴は、骨盤が起き、背筋が伸び、ステップへの荷重をしっかりと意識しながら目線を先へ、バイクをしなやかに前へ進めていく。
前傾になっても頭の位置が前方にいき過ぎず、頭がハンドルの真上にあり、常にステップに荷重をかけ、バイクの中心に重心がある。各セクション毎に最大限のトラクションを得る事を意識しており、それを可能としているしっかりとした 下半身も注目すべき点。
これがこの記事のベースとなるライディングスキルです。
世田谷レーシング内でも、本田選手のライディング談義に花が咲くんですが、自称日本一世界のモトクロス動画を見ているというゼネラルの口から「プラド、ローレンスと同じ方向性」という言葉がよく出ます(笑)。
それくらい世界最先端と共通するライディングが本田選手にはあるのです!
各写真、セクションは異なりますが、骨盤が起き、背筋が伸び、ステップへの荷重をしっかりと意識しながら目線を先へ、バイクがしなやかに前へ進んでいます。
この2枚の写真は、VOL. 20でもお届けした「大スランプの初日」。 この後、写真2枚目の場所で大転倒。
とはいえ、絶不調でもしっかり自分のライディングができているのは、日頃の積み重ねの成果の証でしょう。
コーナーリングも同様、トラクションを最大級かける事を意識されています。
1枚目の写真は、世羅グリーンパーク弘楽園のコース裏から出てくるステップアップ後の長い下り後の右コーナー。 2枚目はフープス手前の左コーナー。
共通しているのは「クリッピング直後の加速でフロントタイヤ」が浮いています。 どちらもしっかりトラクションさせ、コーナーリング速度の高さからのフロントアップ。 とくに1枚目のようなシーンは、通常あまり見られないのではないでしょうか。 コーナーリングに関して印象的だったのは、予選日の走行で2ストロークでは困難と思われる、アウトバンクから加速し「フープスを3個飛び」するシーン。 進入から出口まで加速し続ける走りは圧巻。
本田選手の真骨頂といえばジャンプ。
予選最終ラップ、ゴール直前で「低く速いジャンプ」でトップに立ちました。 今年に入り「その低さと速度」はさらに向上。
VOL. 21で「下りストレートのラインどりの幅が広がりました」とお伝えしましたが、あらためて動画を見直し振り返ってみると、全セクションでラインどりの幅が広がってました。
コース幅を目一杯使い、自分のライディングを発揮できるラインをトレース。 状況に合わせた「ライン選び」でレースを展開。
上記ビデオは、予選レース最終ラップ途中からゴールまでの動画です。 約1.5秒あったトップとの差をひっくり返しての逆転首位ゴール。
ゴール直前で聞こえる会場のレースファンの歓声が、本田選手のレースを物語っていますね。
この動画に本田選手の「凄さ」が詰まっています。 何回見てもワクワクします!
もうひとつの「世界標準」が「フルサイズでのライディング」。 本田選手は「2ストローク YZ125」で練習する事が多い。
そのスピードレベルは、IBクラスでも通用するスピードです。 全日本開幕前直前の九州選手権では5位入賞、転倒がなければあわや3位でした。
YZ125、YZ85どちらでもレースができる。 本田選手が「身に付けている世界標準」はライダー自身のレベルを向上させるだけではなく、ライダー人生の選択の幅も広げています。
特別な事をしているのではなく、プロライダーとして当たり前の事に目的を持ち、日々こなし続けている結果、レースファンを魅了し自身のライダー人生を豊かにしています。
5月の「大スランプ」から今季初優勝した第4戦の「復活劇」まで「THE RIDER 本田七海 苦しみの果てに」はこの記事にて完結です。
次戦は本田選手の地元近畿大会。 どんなレースを魅せてくれるのか今から楽しみです!!
今回も取材にご協力いただきましたTEAM KOH-Zの皆さん、スポンサー各社の皆さん、ありがとうございました。
GSPEED-TOKYO