AMAスーパークロス事件簿|激突映像一部始終「クレイグ VS. フリージー」2022 グレンデールSX
2年振り、今季初の決勝3レース制「トリプルクラウン大会」として開催された、2022 AMAスーパークロス 第5戦 グレンデール。イーライ・トマックの快走劇や下田丈選手の今季初表彰台登壇と見応えある一戦でしたが、それらトピックの印象を薄めてしまった大事件が発生。
ウエストシリーズとして開催された、250SXクラスの「メインイベント2」オープニングラップ。ホールショット獲得したビンス・フリージーにアウト側ラインからパッシングを仕掛けたポイントリーダーのクリスチャン・クレイグの両者が接触転倒。その衝撃でコース外に大きく弾き飛ばされていくクレイグの様子は、最悪の事態を想像してしまうほどの危険なものでした。
スローや様々なアングルから収められた映像をシェア。アナタは、どう見る?
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何度観ても、どうやって観ても危険すぎる接触転倒シーン。コンクリートむき出しのコース外に叩きつけられたクレイグ、タイトル争いだけでなく、レースキャリアをも危険にさらすものといえるでしょう。
リズムセクションからのサンドセクションには、イン・アウトに分かれるライン選択が用意されていました。なぜフリージーがイン側ラインを飛び越して、アウト側ラインのクレイグへマシンを接触させたかは不明ですが、結果としてクレイグと接触することは認識出来ていたはず。クレイグに関しては、チョイスはなし。為す術もなく、弾き飛ばされてしまいました。
AMAスーパークロス事件簿|激突パッシング一部始終「ロクスン VS. アンダーソン」2022 アナハイム2SX
事実を先にお知らせすると、クレイグに大きな怪我はなし(レース続行しました)。フリージーには、6ヶ月間の保護観察処分が下されましたが、罰金や減点等のペナルティはなし…。「6ヶ月間の保護観察処分」がどういうものかというと、今季シリーズでの同処分を振り返ると、上記記事リンク先のアンダーソンに対してもペナルティが下されています。この2件が、同じペナルティ内容というのは、公平性の面でも問題あると考えます。
リンク先の接触と本件が、どのように違うのか? については、様々な見方があると思われます。接触そのものが「手段なのか? 目的なのか?」という点で十分に説明がつくとして、長くなりますのでここでは説明を省略させていただきます。
フリージーの行為やAMAの保護観察のみという判断を非難する声が大多数。しかし、接触直前に2度のリアブレーキをロックさせるブレーキングをしてる、コーナー進入時には両者は並んでいたという点に言及するジェームズ・スチュワートを含む一部では、レース中の仕方ない接触やアクシデントであるという見方も少数ではありますが、存在しているのも事実。
SNS上でクレイグは、フリージーを非難する内容を負傷箇所画像と共にアップ。記者会見では過去にもフリージーから転倒させられ骨折したという事実も告白。対するフリージーは沈黙…。
フリージー所属モトコンセプツホンダのオーナーが声明を発表。抄訳すると…
「チームとAMAは、フリージーが「リアブレーキをロックさせ、スライドさせたこと」が接触の原因であると一致したこと。フリージーがクレイグに対して、意図的な接触でないことを説明したこと。チームとして反省すべきことで、悪意あるダーティーな行為を支持しない」
というものでした。反省やチームとしてクリーンなレースを目指す旨は確認できましたが、謝罪やフリージーに対する独自の処分等はなしの声明。日本人的な感覚? からすると、とりあえず謝罪しておこう的なリスクマネジメントは感じられません。過去のレーススタイルからも「嫌われ者」フリージー、「人気者」クレイグとの一件ということで、チームの声明が油を注ぐことにならなければいいのですが、果たして。
今回の接触転倒がクレイグのタイトル争いに影響を及ぼし、対するフリージーも表彰台登壇のチャンスを自らフイにしてしまったことは間違いない点。「クリーンなレース」という明確な線引が難しいスーパークロスでのレースアクションではありますが、ライダーを負傷の危険にさらすような接触は避けなければならないのは、共通した認識であるはず。
AMAやチーム、フリージーの「意図的でない」という考え・判断を「仮に」受け入れられたとしても… オープニングラップの首位バトルで、このような接触を誘発するようなフリージーのレーススタイルまでを容認することは、レースファンとして認められません。
250SX決勝ハイライトビデオ&リザルト雑感|2022 AMAスーパークロス 第5戦 グレンデール
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