たまモト|2020 全日本モトクロス注目ライダー「たま推し」vol. 3
今迄とはちょっと違う形でお届けすることにした今シーズンの「たまモト」第3弾。えかきやがお話を伺ったライダーの「これは!」と思ったエピソードなどをご紹介。あなたの推しライダーを見つける一助となれば幸いです。
今回は九州大会で活躍されたお2人にお話を伺ってきました。来る最終戦関東大会でも活躍を期待される『これから全日モトクロスを盛り上げてくれるであろう若手ライダー』という視点でIA1クラスの能塚智寛選手、IA2クラスからはルーキーの中島漱也選手を紹介いたします。
■能塚智寛【IA1/#555】Twitter: @chihiro_n555 / Instagram: @chihiro.n555
若手…とは言っても2013年にIAデビュー、IA2チャンピオンも世界戦(MXGP)もネイションズも経験済みですから実はすでにベテランの域なんですよね。24歳という年齢、全日本モトクロスのこれからを背負っていってくれるであろうという意味の若手扱いということで。そんな『ちーくん』が考える『これから』について、お話を伺ってみました。
★モトクロスで生きていくならどうすべきか
たま:せんだってTwitterで「小島庸平選手と今後のモトクロスについて話をした時に『意外と考えてるやん!』って言われました」と呟いてらっしゃいましたが。その「考えてる」中身について伺わせて下さい。
能塚:正確にはモトクロスの今後っていうより「モトクロスで生きて行くならどういう事をするべきか」みたいな。「業界がもりあがる為にうんたら」とかじゃないんですよ「自分がこの後どうするか」みたいな話をしたんです。「モトクロスを仕事とするならばどうやってお金を稼ぐか、生計を立てるか」っていう。メーカーを頼らないやり方、庸平さんみたいに地元の企業とイベントをしながらスポンサーを集めたり…そういうことが必要なんじゃないかなって僕も思ってるんですよって。
たま:そしたら褒められた?
能塚:褒められたっていうか「思ったより考えてんな」って言われたぐらいです(笑)昔ほど… メーカー契約だけで何千万とか成田さんみたいに億近く稼げる時代じゃないから、自分を『商品として』しっかりアピールしていかないといけなくなるんじゃないですか?って言ったんです。それはメーカーとの繋がりよりもっと深い繋がりになるからすぐには切られないんじゃないかなって。
たま:あーーー… かなり考えてらっしゃる。
能塚:そうでしょ?(笑)庸平さんくらいの年齢迄やっていくんであれば、いざメーカーとの契約がダメになって「お金がなーーーい!」ってなってもそこ(個人スポンサー)で4〜500(万)あるとないとでは全然違うなって。
たま:なるほどね。たしかにこれからの世の中そういう事も考えないとですよねえ。
能塚:そういう風(個人スポンサーを募って活動する)にできるチャンスが(自分には)まだあるんですよね。モトクロスを知らない相手でも「日本一です」とか「日本で2位です」とか言えば「なんかすごいのかな?」「日本で2位なの?すごいね!」って思ってもらえるじゃないですか。だから、モトクロスを全然知らないところから(スポンサーを)とってきた方がいいと思うんですよね。自分がどう生き残るかっていうだけの話ですけど。続けていきたいんだったら「Aプランかな? Bプランじゃない、Cプランじゃない…」ってルートを探りながらやってくしかないし、モトクロスを辞めた後もそういうスポンサーがいると何かの繋がりができたり仕事に活かせたりできるかもしれないから。そうやって人脈を拡げておくのはいいことだと思うんですけどね。
たま:実際に何かやってるんですか?
能塚:ここ2〜3年そう考え始めてからやってます。年々そういうスポンサーが増えているからいいかなって思ってます。
たま:個人スポンサーですね。ようするに『能塚智寛を応援』してくれる人を地道に増やしてるってことですね。
能塚:はい。同じチームの鈴村にも昨日そんな話をして「近所のおいちゃんに小口のスポンサー頼んでみなよ」って(笑)額面は関係なくて、結局は『人の繋がり』が大事なんだからって。そういう繋がりが後々活きてくるかもしれないんだからって。一般の人が出せる小口の金額をクリアしていってそこからだんだん企業などを相手にした大口のスポンサーをお願いできるようになると思うんですよ。
たま:ご近所クラウドファンディング的な?
能塚:そう。親戚のおいちゃんみたいな感覚の近所のおいちゃんが僕にはいるんですけど、まずはそういう人にスポンサーになってもらうところから始めるのもいいと思うんですよね。
たま:それでその人が「お金出してるからちょっとレースも観にいこうか」って思ってくれたらね…
能塚:そうそう!それでまた違う人を連れて来てくれたりすると人の繋がりが広がっていくので。そういう地道な… 1年2年先ではなく長い目で、10年15年くらいのスパンで見ないと。僕の年齢から考えたらあと10年は普通に(レースが)できる… 何もなければですね… ので、10年後に目を向けるとそういう事が必要なのかなと。
たま:草の根的に支援を拡げて行くってことですよね?
能塚:そうです。庸平さんが良いモデルケースで。
たま:庸平君に続けと。
能塚:まあ、なるだけ(庸平さんを)越えたいんですけどね(笑)庸平さんについては最近になって「ああ、そういう活動もしてる凄い人なんだな」って、認識を新たにしましたね。ライダー以外の部分でも尊敬できる人なんだなと。
たま:「自分の事しか考えてない」って、ちーくん言ってましたけど、その動きが最終的には全体に繋がるからね。
能塚:庸平さんだけじゃなくてその辺の世代の人はみんなやってる事だと思うんですけどね。庸平さんが一番おもてに出ているってだけなんでしょうけど。それだけに一番真面目ですよね。スポンサーしてもらっているからにはちゃんとアピールもしないといけないんですけど(SNSの発信などで)庸平さんは教科書のような事を書いているじゃないですか。
たま:SNSの使い方のお手本みたいなところはありますよね。
能塚:そうそう!!でもああいうのは必要な事だなって思うし。
たま:わざとああいうお手本的な書き方をしているのかなとも思ったんですよ。そうすると後進の人達が見て学んでくれるのを意識しているのかなあと。
能塚:そうですね。小学3年生くらいの人でもわかりそうな内容でいつも書いてるなあって思って見てます(笑)そうやってアピールしていたら次に新しいスポンサーを見つける時にも「こうしてアピールしてます」って見せる事ができるんですよね。今の時代、SNSは大事ですからね。
たま:後進のちーくんがそうやって学んでくれたなら庸平君もやった甲斐があったってことじゃないですか?
能塚:いや、わかんないです。庸平さんには何の得にもなんないことなんで(笑)
たま:いやほら、庸平君は全体を考えている人だから。
能塚:そうですね(笑)これからどうするかについて考えなくちゃいけないのは、僕もだし僕より下のコなんかも…。どう考えても日本の2輪業界が突然盛り上がることはもうないんで。下降はしてないみたいなんですけど、総人口的に減って分母が小さくなるとどうしても…ね。バイクって普通に体力使うんでやはり若い人の乗り物だと思うんです。そうするとバイク人口も限られてくるんですよ。そう考えると企業もですね「ちょっと…」ってカンジになるかなと。大きい会社でもあまりメリットのないことはそんなにはやれないですよね。お金があるときはまだしも今はあんまりないと思うんでね。
たま:ちーくんは『景気のいい時代』を知らない世代ですもんね。
能塚:知らないですね。庸平さん達がぎりぎり知ってるくらいで。僕らの時代はそういう風にはならないって思ってるんで、そう考えるといろんな個人スポンサーを集めていくしかないかなって思います。大口1社じゃなくて小口10社集めるっていう。数でいくしかないっていう。
たま:そんな事を考えていたんですねえ。
★プライベートチームを持とうかなって考えたことがあるんです
能塚:タイミングがあったら庸平さんに聞いておいてください。「年間幾ら集めてるんですか?」って(笑)僕、一回ああいうプライベートチーム持とうかなって考えたことがあって。ガチで勝ちに行くんだったら1500万くらいいるんじゃないかなって考えたんですけどね。
たま:ずいぶん以前に「プライベーターで年間どのくらいかかる?」みたいな話をした時には「全日本をただ廻るっていうんだったら500万くらいで、ほんとに勝とうと思ったら何倍もかかかるよね」っていう話になったんですよ。だからそれがちょうどちーくんが試算した金額くらいなのかもしれないですよね。
能塚:そう思ったんですけどね… ハイエース、バイク3台… 残りを活動費と『なにかあった時用』って考えて。別にそんなに「速く走れるエンジンにしたい」とかいうの僕はあんまりないから。サスとかは今、もらったり借りたりしてるんですけど… そういうアフターパーツは大丈夫かなぁとかいろいろ考えた時にだいたい1500万くらいあれば、生活はできないかもしれないけどレースはできたりするのかなあ…と思って。で、生活を考えたらもう500万くらいはいるなあと思いました。
たま:なるほど。
能塚:僕はね、そんなにエンジンとか走らせたいとかあんまり考えてないんでみんなよりはお金かからないと思うんですけど。
たま:身体でなんとかする系なんですね?
能塚:そう、テクだろうって。技術でなんとかなるだろうって思ってるんですけど。人を雇っちゃうと人件費がかかっちゃうからパートタイムにしてもらうしかないかなとか。
たま:ホントに考えてるね。
能塚:だってそうじゃないですか。人を雇うとして1戦あたりひとり1〜2万って考えても金土日の3日間拘束するじゃないですか、または月曜まで4日間。そしたらひとり10万って考えて2人雇うとして、それで年間8戦あったとしたら…ざっと200万とかなるんですよね。でもホントにひと1人雇うとしたら最低でも300万くらいると思うんですよね。
たま:まあホントにお金のかかるスポーツだなと思いますよね。
能塚:ホントです。…まあ去年はそんな計算をめっちゃしました。怪我してて暇だったから。
たま:あああ!!!(笑)そうだったんだ?!
能塚:怪我してクビになるかもしれんなって思ってたから。行くとこなくなったらどうしようかな…とか。
たま:切実だったんですね…
★最終戦にむけて
たま:ではこのあたりで最終戦にむけての話を。九州でちーくんはランキング2位になったんでしたっけ?
能塚:いや3位です。2位はとっちくん(富田俊樹選手)ですね。
たま:ああ!とっちが1ヒート目に優勝したから…
能塚:そうなんですよ。僕がね最終ヒートにとっちくんの前に居れば、僕がランキング2位だったんですけどね。今、3位になっちゃってます。チャンピオンは(山本)鯨くんがなにかやらない限りなかなかないと思うんですけど、とっちくんとはまだそんなに離れてないんで、ランキング2位は狙えますね。て言って4位の(渡辺)祐介も僕と1ポイントしか変わらないんで。
たま:ちーくんは九州、調子良かった印象だったんだけど…
能塚:良かったですね。ただ、スタートがひたすら決まらなくて。ていうか、スタートは鯨君がダントツで上手いんですけどね。
たま:オフビもスタート勝負なところがあるじゃないですか。
能塚:だいぶありますね。狭いし抜きどころもないし埃も…でも今回は長田さん(mx production)がコース造成をすると聞いてるんで良くなるんじゃないかと思ってるんですけどね。
たま:今回の九州も長田くんが造ってたから面白くなってましたもんね。
能塚:僕、スピード出過ぎて… ハイスピードになりすぎて逆に抜きどころがないかなとも思ってたんですけど、案外そんな事もなく。ほどよく荒れてるし轍とかもあって良かったかなと思いますね。オフビと九州とはコース幅も違うんで同じにはできないと思うんですけど、コーナーがフラットなまんまだとほぼイン側に偏っちゃうんでバンクを造るとか轍ができやすくするとかやってくれるといいなって思います。
たま:そんな、あんまり得意じゃないオフビですが…でも勝たなきゃ。
能塚:そう、稼がなきゃ(笑)
たま:では最後にオフビにおいでになる皆さんに一言。
能塚:オフビはお客さんがいちばん集まりやすいコースなんで、しっかり感染対策をしつつお越し下さい。たぶん僕が勝つから… スタート出られたら勝てると思いますのでそれを観に来てください。スタート出なかったら怪しいですって書いておいてください(笑)
■中島漱也【IA2/#01】Instagram: @souyanakajima
こちらは若手も若手、今シーズンIAデビューのルーキーゼッケン01番中島漱也選手。お父様の中島鉄也さんも元A級ライダーで、えかきやがダートクールに連載していたイラストレポ「たまれぽ」にもご登場いただきました。そんな2世ライダーの漱也君、せんだっての九州大会では予選からルーキーとは思えぬ大活躍を見せてくださいました。
★九州大会を振り返って
たま:九州大会お疲れさまでした。結果、総合は何位だったんですか?
中島:ありがとうございます。お疲れさまでした。結果的には総合7位でした。
たま:あら。なんか感覚的には5位とかそのくらいのイメージでしたが。
中島:ヒート2がちょっとひどかったんで。
たま:ヒート2はYAMAHA同士の争いがすごかったですね。
中島:そうですね。皆に抜かれました(苦笑)
たま:それはやはり疲れちゃったとかそういうこと?
中島:そうですね。ヒート1で使い果たしちゃいました。
たま:スタートは出られてたのにねえ…
中島:スタートは全部調子よかったんですよね。スタート出れると前のごちゃごちゃがないのでやっぱり楽ですね。今回、いい経験になりました。
たま:今回がA級に上がってから… 今迄の中では一番いい走りができた?
中島:そうですね。ベストリザルトでしたね。決勝だけでなく予選も2位でベストでした。
たま:ああいうコースが広くてハイスピードなところは得意なんですか?
中島:得意じゃないですね、オフビ育ちなんで(笑)ごちゃごちゃっとしてる方が走り慣れてて得意ですね。九州は苦手意識があったんですけど、なんか今回は楽しく走れましたね。よかったです。
たま:何かそういう『一歩進んだ感』がありますか?
中島:そうですね。今回からはマシンもやっと合ってきたってカンジで。
たま:それはセッティングとかそのへんが探り探りだったってことですか?
中島:そうですね、シーズン途中でいろいろ変わったりとかもしてたんですけど。
たま:あ、そっか。パパメカニックじゃないから今年から… なるほど。そのへんはね、大人の事情もあると思うから聞かないでおきましょう(笑)で、まあ、セッティングも合って、苦手意識があったのに気持ちよく走れて、いろんな事がいい方向に重なって今回の成績に繋がったってことですかね?
中島:はい。
たま:今回、トップグループの中で競り合いをしたじゃないですか。その経験というのはこれから活きてくると思うんですけど、そういう意味では他のルーキーの方達から一歩抜きん出たカンジかなあと思うんですよ。
中島:そうですね。やはりIA上位のバトルは、今迄… B級の時とはレベルが違うので、そこに少しでも絡めたのはいい経験になったし楽しかったですね!
たま:大城(魁之輔)くんとかあのあたりとちょっとバトったんでしたっけ?
中島:そうですね。大城君、そして大倉(由揮)君とかも。ずっと観てた先輩方なので。僕がジュニアの頃にIB走ってたりIAデビューした人達なので。小川孝平君なんて僕が50とかPWとかに乗ってた頃にもうフルサイズに乗ってましたからね(笑)
たま:うっわーーー、そんな世代かあ…小川君のそれ言ったらショック受けそうですね(笑)
中島:一緒に走って感動しましたもん、今回。小川君、グリッドが隣だったんで「うわあ、すげえ!」って思って。
たま:子供の頃にスター選手だった人が横にいるんだもんねえ…
中島:そうです。そんな人と一緒に走れて。そういえば開幕戦で勝谷(武史)さんと一緒に走って絡むとこが一瞬だけどあったんですよ。勝谷さんなんてそれこそウチのお父さんと一緒に走ってた人なんで…そんな人達と一緒に走ったんだなと。
たま:それは感慨深いですねえ。
★お父さんの話
たま:そういえばお父さんにもお話を伺ったんですけど、PWに補助輪付けて走ってたって。
中島:たしかにPWに補助輪つけてました(苦笑)3歳…そうですね、ちょうど始めたのが3歳くらいで。気付いたらバイクやらされてましたね。
たま:あれ?お父さんは「最初から好きで乗りたがってた」っておっしゃってましたよ?(笑)
中島:(笑)その辺の記憶はあまりないんですけど。まあ、気付いたら乗ってましたね。
たま:お父さんがライダーとして走ってらっしゃる記憶みたいなのは?
中島:お父さんが乗ってる時の記憶ないんですよね。一緒に乗り始めてからの記憶はあるんですけど…
たま:いわゆるレースライダーとして乗っている姿というのは記憶にない?
中島:そうですね、レースのイメージはないです。
たま:「お父さんを軽々と越えていったよね」って言ったら「いやあ、誇らしいですよ」っておっしゃってました。
中島:あはは…(笑)でも、周りの人からは「お父さんと乗り方が似てる」って言われるんですよね。僕は嫌なんですけどね(笑)
たま:私も言ってて申しわけないんだけど、あんまり「お父さんお父さん」言われるのは…ね?(笑)ただ、お父さんの世代のファンの方にとってはね「あの人の息子がねえ…」とか言いたいんだよね。
中島:ははは… まあ、そうですよね。
たま:そうこうしてるうちに「中島鉄也の息子さん」が「中島漱也のお父さん」って言われるようになると思うので。
中島:早くそうなれるようにしたいですね(笑)。
★次回オフビにむけて
たま:今度は地元のレースになるわけですが。さきほど「オフビが得意」って仰ってましたが、どういうカンジでアプローチしたいと考えておられますか?
中島:そうですね、特別な想いはあるんですけど「地元だから」って意識しすぎると空回りしちゃうタイプなので、いつも通り自分の走りを皆に見てもらえるようにしたいなあ…って思いますね。それが一番大事かなと。
たま:同世代の中ではアタマひとつ出てるカンジがあるんですが…それはわりと小さい時からそうだったんですか?
中島:そうですね。ずっと… ジュニアの頃から… 追われる立場って言ったらアレですけど。だから、今年はホントに久しぶりにチャレンジャーとしてやってきてるんで「行けるとこまで行ってやる」みたいなカンジで楽しいですね。
たま:チャレンジャーだからできることっていうのも沢山ありますもんね。
中島:そうですね。ランキングもチャンピオン狙える訳じゃないし、まだ期待されてるわけでもないんで。
たま:でも、今回でだいぶ期待値が上がったんじゃないですか? ゼロ番ゼッケンであれだけ活躍されると注目度もかなり上がったと思うんですよ。
中島:そうですよね。ルーキーは特別ですもんね。1年しかないですから。ルーキーで活躍するのは憧れだったんで。かっこいいですもんねやっぱり。
★目標にしているライダー
たま:そんな漱也君が目標にしているライダーというのは誰になるんでしょう?国内外問わずで。
中島:外人になっちゃうんですけど…ジェームズ・スチュワート選手が好きなんですよ。
たま:ほう! でも、ジェームズ・スチュワートが活躍してた頃って漱也君はほんとにお子さんだった時でしょ?
中島:えっと… スチュワートのルーキー時代はたぶん生まれているか生まれてないかくらいですね(笑)
たま:ですよね(笑)。おむつしてたかどうかみたいな年齢ですよね(笑)。じゃあ、あれなのかな、過去の映像を観て?
中島:そうですね。現役走ってる最後の方とかはちゃんと観てるんですけど。(スチュワートは)周りの人と比べてものすごく綺麗なんですよね乗り方が。綺麗だしレベルが遥かに上だなっていうカンジがあってかっこいいです。
たま:じゃあ、そういう綺麗な乗り方を心がけて走ってらっしゃる?
中島:そうですね。無駄がない走りっていうんですかね。それができたら疲れないし転ばないし… ベストな走り方がアレかなって考えがありますね。
たま:そういう考え方は自分で動画を観たりして学んでいくのかしら?
中島:そうですね。お父さんも昔の動画とかをずっと観せてくるんで(笑)スチュワートの昔の動画もたくさん観てるんで。ほんっとにずーっと観せられてました。
たま:そういう英才教育だったのかな?(笑)もしくは洗脳?(笑)
中島:洗脳かもしれないですね(笑)
★いつかは海外に
たま: ジェームズ・スチュワートに憧れる漱也君、ゆくゆくは海外に… と考えておられる?
中島:そうですね、ゆくゆくは。
たま:AMAとMXGPだと、どちらを?
中島:やはりAMAですかね。有名な人達と走りたいっていう想いがありますね。スーパークロスに出たいです! あれこそ、本当にちっちゃい頃から観てた世界ですから。あそこに立てたらサイコーですね!!
たま:じゃあ最終目標としてはAMAスーパークロスに出るってカンジなのかな?
中島:はい!
たま:「下田丈に続け!」ですね。
中島:ホントに…丈とはちっちゃい頃から仲いいんで。
たま:ああ!同世代なんだ?!
中島:同い年です。ほんとにちっちゃい頃から一緒に練習とかしてたんで。もう、置いてかれちゃったカンジですね。
たま:環境とかいろんな要素がありますもんね。でもまだ十分追いかけられる範囲にあると思うので。日本で勝ってチャンピオンになってAMAに挑戦するっていうそういうルートを開いてください。
中島:そうですね。がんばります!
たま:じゃあホントにあれだね「これから日本を背負って立つので注目して下さい」みたいな…
中島:そうですね。そんな気持ちでやっていきたいですね!!
たま:いいねえ、そこで変に謙遜しない所がいいですね。
中島:そうですか?(笑)
たま:そこで変に気を遣ってちっちゃく纏まっちゃうより「僕が日本を背負って立ちます」って堂々と言えるくらいじゃないと世界では戦えないと思うんですよ。
中島:ありがとうございます!!!
たま:お父さんとのご縁があって小さい頃から拝見していた子があっというまにA級ライダーに成長して、来年再来年にはきっとトップライダーになられるんだろうなって考えると感慨深いです。てことはアレですね。たまさんは中島漱也選手が世界に行かれるまでは取材は辞められないってことですね(笑)
中島:そういうことですね!見届けてください!!(笑)
★父、中島鉄也さんのお話
「漱也が乗り始めたのは3歳くらい、補助輪付けたPWで河川敷のレースに出たりしてましたね。もう『乗りたい乗りたい』がすごかったんで。僕自身は怒られて育ったから怒るのは嫌で緩いカンジにしてたんですけど、本人が勝ち気なんでこちらが手綱をひっぱらないとどこ迄も行っちゃうようになっちゃって(笑)。自分がライダーやってた事で『こういう時はこうだよ』って教えやすいですけど、息子がどのくらいリスペクトして聞いてくれてるかはわからないですね。でも今迄ずっとそういうコンビでやってきたので。今年からはこういう体制(ヤマルーブ)でやっていただいてるんで親離れ子離れの時期に入って寂しいです。でも、ダンロップになやっちがいたりチームに村橋君がいたりと関係者に同期や先輩が多いんで安心です。息子がこういうライダーになって嬉しく思いますし、誇りにも思いますね。自慢です。いつかチャンピオンなんてとっちゃったらもう毎日お酒がおいしくてたいへんでしょうね(笑)」
たまモト|2020 全日本モトクロス注目ライダー「たま推し」vol. 1
たまモト|2020 全日本モトクロス注目ライダー「たま推し」vol. 2