たまモト|2024 全日本モトクロス選手権 第4戦 SUGO大会 直前SP

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いよいよ今週末に開催される全日本モトクロス第4戦SUGO大会。大会プログラムプロフィール用にとIA1, IA2各クラス上位ライダーにお話を伺った中からプログラムでは紹介しきれなかった面白いお話をピックアップしました。

観戦にいかれる方は大会プログラムと合わせて、御留守番組のみなさんにはSUGO大会リモート観戦にむけての予習的な意味で読んで楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

【IA1編】

■IA1ランキング2位 横山遥希選手
たま:日本は何年ぶりになりますか?
横山:3年ぶりですかね。

たま:でもまだオーストラリアにおられるんですよね?
横山:そうですね。なのでオーストラリアで3年経過してるって感じですね。

たま:拠点を置いたままってことですよね?
横山:そうですね、今年は置いたまま日本にレースしに帰るって感じで。

たま:オーストラリア選手権は何戦あるんですか?
横山:合計8戦ですね、日本と同じですね。でも1戦北海道と被っちゃうんですよ。なのでそこはオーストラリア選手権は出ないで北海道大会に出ます。オーストラリア選手権はプライベーター参戦です。ある程度バイクとかパーツのサポートはいただけてます。MX2クラスなので250でレースに出てるんですけど、250でノーマルバイクは厳しいのでこっちのエンジニアさんに頼んでチューニングをやってもらってます。

たま:後はパートナーの遥さんのメカニックの腕で…
横山:そうですね。

たま:プライベーターってことは本当に2人だけで参戦されてるんですね?
横山:そうです。自分たちでテントを持ってってコースの端っこの方に停まってる普通のプライベーターです。移動とかもね、自分たちで運転して行かなきゃいけないんで大変なことはありますけど、まあそれも経験だと思ってがんばってやってます。

たま: SNSなどで見る限りでしか知らないですけど、ご活躍なさってて。
横山:うーん、まあ、できることをやってますけど、もうちょっとね、表彰台は狙える位置にいると思うんで表彰台はほしいですよね。

たま:オーストラリアで走り続けるっていう事は、横山選手の中ではどういう位置づけなんだろう?
横山:僕は元々アメリカで成功したいっていうのがあってアマチュアでアメリカのレースに出ていたんですよね。その後全日本IA2で2回チャンピオンをとって…その時にKawasakiさんが作ってくれたオーストラリアへの道はありがたかったし、この環境を壊したくないという思いがあるんです。僕の中でアメリカで活躍したいという気持ちがまだあるので、日本に帰ってしまうともう先がないなと、だからこの環境はどうにか続けていきたいんですよね。

たま:世界で活躍するための足がかりを残しておきたいっていうことかな?
横山:そうですね。

たま:話は変わりますが久しぶりに走った全日本の感想は?
横山:自分の中では450に上がったっていうのが一番のビックステップですね。日本は日本の難しさがあるのは自分も3年走った経験があるのでわかったつもりでしたけど450でレースした経験がなかったのでそこの難しさだけですかね。日本でレースする事自体は母国でレースする心強さHONDAさんの協力があってレースができる心強さというのは海外でやってた分、そのありがたさを感じますね。異国の地でレースしてきたからこそ日本でレースすることの…不安要素なくレースに集中できる事、サポートの手厚さなどが安心感に変わるんじゃないかなって思います。

 

たま:そういえば九州日曜日ヒート1の後、遥さんがすごい悔しがってらして、だからヒート2で優勝された時に「これでやっとフラットですね」っておっしゃってて、なかなか厳しいなと(笑)
横山:あのヒート1は勝たなきゃいけないところで逃した自分が悪いんでね、厳しいとは思わないです、心強いですね。僕のことをわかってくれてるし言うところは言ってくれるし、いいメカニックだと思いますよ。2人ともモトクロスに熱いんで24時間モトクロスの事話して…話し相手がいるっていうのはいいですよね、ちょっとした事でも会話して不安要素を消していくとかそういうコミュニケーションを持てるというのは他のライダーにはない強みだと思ってます。

たま:なるほどそれはすごい強みになりますね。では、最後にSUGOへの意気込みを。
横山:SUGOを最後に走ったのは2020年のシーズンです。今回は直前までオーストラリアにいるので事前練習にも行けず、ぶっつけでレースに入るんですけど…。

たま:いつ帰ってこられるんでしたっけ?
横山:SUGOの前の週末がオーストラリア選手権なので帰国するのはSUGOのレースウイークの火曜日になります。

たま:うわあ、それはたいへんですね。
横山:自分が選んだ事なんでしょうがないです。レースをこなせばこなすほどレース慣れできるんでそこは誰よりもいい環境でレースできるんじゃないかなって思います。

 

■IA1ランキング3位 大倉由揮選手
たま:今年に入ってすごく好調に見えますけども。自信がついたって感じですかね?
大倉:自信がついたと言うよりかは目標が明確になった感じですね。

たま:それはチャンピオンという目標?
大倉:チャンピオンもそうですけど、何よりネイションズに出たいという。

たま:おお!ネイションズ!
大倉:はい。それも、ただ出たいだけというよりかは…モトクロス選手の寿命ってそんなに長くないじゃないですか?海外だと20代で終わりくらいの状況だったり。なので、限られた時間の中でもっともっと経験を積みたいっていうのが一番の理由なんですね。20代のうちに海外でフル参戦したいという夢はまだ消えてないですし、そのためにも今年はネイションズを目指します。一昨年はそもそも選ばれてなくて代役で急遽出たってカンジだったんですけど、あの年出て予選落ちたっていうこともあって、今年はもっと…と。あの頃に比べてそこまで自分が成長したとは正直思ってないですけど、今後来年再来年と続けて選んでもらえるような走りをするって考えた上で、自分の成長を確かめられる一番の場所がネイションズなのかなと思うんです。

たま:なるほど、海外での経験を積むことと自分の位置を確認するためのネイションズってことですね。
大倉:はい。今年のシーズンオフにイタリアに行かせてもらったんですけど、あちらで参戦したレースがポイントを獲得するのすら難しかったりで…正直心折れそうになったこともありましたけど、そういうのをもっともっと経験していきたいなって言う気持ちが今一番強いんです。

たま:それほどにイタリアでの経験は大きかったと?
大倉:はい。ティム・ガイザー選手の走りを間近で観たりとか、考え方を間近で見れたっていうのがすごい刺激になってもっとやるべきことがたくさんあるなって思いましたね。最初の1〜2週は向こうで出れるレースがあるというプランがあったんですけど、その後は何も決めずに行ったカンジで。滞在はずっと自分でホテルを探して点々としてましたね。費用に関しては向こうの物価がすごい高かったんでホテル代もものすごくかかりましたけどそれは自分への投資と思って割り切っていてそこはもう気にせず貯金してきた分を使おうと思って。整備する場所はイタリアにいた時は向こうのHRCが使ってた倉庫を使わせてもらってたんで、そこは困らなかったんですけど、最後2週間とかは自分で交渉してHRCの250のコに一緒に練習させてって言ったりとか、ティム・ガイザーがスロベニアに住んでるんですけど『泊まりに行かせてほしい』っていう話をして。彼はコースを持っててそこにトレーニングメカニックが住んでいる大きい家があるんで『そこに部屋があるから泊まったらいいよ』って言ってくれて。けっこうそういうのが今年の力になってるかなっていう気はします。HONDAさんの協力がなくシーズンオフにイタリアに行けてなかったら今の成績はないなって確信しているのですごいありがたいですね。

たま:今年の大倉選手の活躍にはそういう秘密があったんですね。ではSUGOに向けての意気込みを。
大倉:今年の全日本のIA1はものすごくレベルが高いと思いますし、ジェイさんもビクトルもスピードがすごいですし、チームメイトの横山遥希もIA2で戦ってきた時よりもレベルアップしてるなって感じますし…すごく刺激になるし負けたくないっていう気持ちが一番にあるんですよね。第3戦でIA1初優勝して久々に勝つことの嬉しさを思い出せたっていう部分があったので、このままさらにもっともっと勝ち進んでいってあれをきっかけにもっと上に繋げていけるように今回も勝ちを目指してがんばります!

 

■IA1ランキング5位 安原志選手
たま:今、ランキング5番手ですよ!
安原:みたいですね〜(笑) 実感薄いです。なんせ開幕しくじっちゃったんでそこから考えたらねえ。2戦目が7-7で終わったじゃないですか、レース的にちょっと良くなかったなあっていうのがあって、でも開幕戦に比べればだいぶ良くなってるけどまだだよねってところで第3戦になって、そこでもヒート1は7だったんで『これヒート2も7とかあかんやろ』って言いながらレースに行ったんですよ。

たま:そしたら2位表彰台!
安原:YAMAHAファクトリーだった2015年のSUGO(3位表彰台)以来なんですよ。

たま:マディ速かったですもんね
安原:第3戦のヒート2はマディコンディションと言ってもSUGOみたいにスタックするポイントがいっぱいあるわけじゃなかったんでそんなに無理はせずに。追い上げなあかんっていう気持ちはあったんですけどその気持ちを前面に出しすぎると…ああいうマディの時はライン結構見なあかんやないですか、そういうのを見落とした瞬間に転けたりするんで、そこはめっちゃ集中して走りましたね。

たま:どこで2位だって気が付いたんですか?
安原:いや、僕終わってからです(笑)。1回サインボードで8番っていうの見たんですよ。で、その後に3か2かを見たんですけど『ラスト3周か2周かどっちなんや?』って思ってて。でもその『2』って出てからが結構長かったんですよね『あれ、何やったんやろ?』って思ってたんですけどそんなこと考えてる間ないやないですか、ラインを見ないとあかんから。とりあえず転けたらあかんわって走って、帰ってきて、それこそ車両保管でスタッフに聞いたんですよ『僕何位やったんですか?』て。それで2番だよって言われて『え〜!まじすか〜?!』って(笑)

たま:それはすごい(笑)
安原:前回の表彰台が3位で今回2位なんで次は1位をとるしかないなと。至難の技とは思うんですけど、レースやってる限りは目指さないといけないんで。

たま:あの時、姉のさやさんに「こんなのマディじゃない」って言われたっておっしゃってましたけど(笑)
安原:あれね(笑)九州の第3戦のヒート1の時、姉に『轍も少ないしスタックするようなポイントもないからこんなのマディじゃない』みたいなこと言われて『いや、知らねえよ』『こっちは必死なんだよ』って(笑)言うても姉はマディレースがほんとにうまいんで。もともとマディってそんなに嫌いじゃなかったんですけどライディングを変えてきた中で上手く乗れないなって時もあったんですね。それが今回マディでこれだけ乗れたんでそれが自信になったなっていうのは思いますね。

たま:ではSUGOでは1位を狙って…
安原:プライベーターなんでなかなか派手には行けないですけどベテランの知識とテクニックでコツコツと行こうかなと思います(笑)あ、今年からクシタニのウエアを着てるんでそこらへんも見てもらえたら嬉しいかな。

 

【IA2編】

■IA2ランキング1位 横澤拓夢選手
たま:今年は絶好調じゃないですか
横澤:はい。3戦終わったんですけど自分の中で一番苦しいのが3戦だったんでこの段階でランキングトップならもっとぼく調子上がってきますよっていうカンジですね(笑)。

たま:(中島)漱也選手が横澤選手にはすごいお世話になったって話をされてて…なんか横澤選手の近所に住んで一緒に練習されたことがあったんですってね、そんな横澤選手とチャンピオン争いできるのはすごく嬉しいって。あと柳瀬大河選手も横澤選手にはすごい世話になったって話しておられて、やはり『だからこそ横澤さんには負けたくない』って。
横澤:いやまあ、それでもチャンピオンは絶対僕が獲るんですけど(笑)正直、今年は中島漱也とのチャンピオン争いになるんだろうなとは思ってました。(柳瀬)大河も速くてチームメイトなんでがんばってほしいってのはすごいあるんですけど。中島漱也のコンスタントに積み上げていく感じとかあまり表に出さずに影でいろいろやってるところとか、あと彼は誰よりも今シーズンのIA2チャンピオンの重要さみたいなのをわかってると思うんで。だからあいつも多分今のままじゃダメだと思ってアメリカに行って練習したりとかいろいろ模索してやってるので手強いかなと思うんですけど。全然負けないっすね僕は。まだまだ越えられちゃだめだなっていうか。昔の中島漱也との合宿の時も、いっぱい教えられることは教えたんですけど、でも僕もずっと成長過程なんでこんなところで越えられてたら自分の目標に届かないんで、絶対負けないですよね。

漱也だけじゃなく大河もそうなんですけどシーズンオフめちゃめちゃ練習して、彼は出てきた年は凄い勢いがあったけどここ数年はちょっと…って感じだったじゃないですか?とはいえ彼まだ19歳なんで、なんかのきっかけなんだろうなとか取り組み方とかいろいろあるんだろうなとは思って教えたりしてたんですよ。でもそれで1, 2, 3戦で結果だしてくるっていうのがね、すごい嬉しいんですけど。こんなにスッて…やっぱ、きちゃうよねえ…みたいな(笑)もともとのポテンシャル高いから思ったよりすんなりきちゃって。そこもかなりプレッシャーっていうか、自分ももっと成長したいしもっともっと速くなりたいんで、そのためのいい材料を自ら生み出せてるって思ったら良いことなのかな〜って思いますけど。自分が育てたコ達に追い込まれることで自分を成長させるみたいな…俺、ドMなんですかね(笑)

 

■IA2ランキング2位 中島漱也選手
たま:今年はかなり調子良くて…
中島:そうですね、今のところ割と調子良くいけてます。昨年末からアメリカにトレーニングで行ってから自分のスピードにけっこう自信が持てるようになってきて、それが大きいと思いますね。ダグ・デュバックさんのところでホームステイみたいな感じで、泊まり込みで一緒に練習させてもらってたんで。1ヶ月くらい行っててその中でレースは1回ですね。あとはひたすら乗り込み、かなり成長は実感できましたね。開幕戦と第2戦の成績の良さは間違いなくアメリカトレーニングのおかげかなと思っています。

たま:せんだって勝たれた時にはお父様が号泣されてて…
中島:僕が優勝する度に父が泣くのでなんかそれ待ちみたいな感じですもんね、みんな(笑)

たま:カメラマンさんがそこを狙ったりとかね(笑)
中島:そろそろ慣れてほしいんですけどね、もう何回も勝ってるのにまだ足りないんかい?!っていう(笑)優勝の度に大泣きしてるんで、僕がチャンピオンとったらどうなっちゃうんですかね?倒れちゃうんじゃないですかね(笑)

たま:それはたいへん(笑)ときに今年は横澤拓夢選手とのチャンピオン争いになりそうですが…
中島:今年はチャンピオン獲りたいし、獲らなきゃいけないシーズンだと思うんで、拓夢くんとこうやってバチバチに競えてるのが嬉しいですね。IAあがって2年目くらいの年、拓夢くんの家の近所に部屋借りて拓夢くんに一緒に練習行ってもらってた過去があるんで、僕にとってはめちゃめちゃ優しいお兄ちゃんって感じですね。だからこそ全然負けたくないしなおさら燃えるチャンピオン争いになると思いますね。

 

■IA2ランキング5位 田中淳也選手
たま:ついにじゅんじゅんにインタビューする時が来ました(笑)
田中:はい(笑)

たま:IAに上がって何年目?3年目?
田中:A級に上がってから3年ですね。2年目には表彰台に上がれたし、他のライダーに比べると上手く行ってるように見えてたかもしれないですけど、自分が思い描いてた2年間にはならず苦しかったですね。

たま:それでも今年はもう2回、表彰台で。
田中:最近は少し噛み合ってきたかなと。去年は開幕戦に表彰台だったんですけど、その時も次のヒートでは大きく落としたんです。それが今年は開幕戦で3-6-8でとりあえずひと桁代でまとめられて2戦目3戦目も同じような感じで、いまのところ最低位が8位で納められてるのでそこはおっきいかなと思います。

たま:今年はCARRYさんで全身固めておられて…めっちゃ目立ってますけども。
田中:それが今一番自分の中でもパワーというかやる気というかが上がって『がんばらないと』というか、背負っている部分もあるんで…。ウエアを作り出した時のプロモーションライダーとして、そういう気持ちも込めながらレースをがんばってこれたかなと思います。

たま:ウエアがかっこいいとモチベーションあがりますもんね。
田中:やっぱりかっこいいほうがいいんで(笑)。ウエアのかっこよさが後押ししてくれてるところはあると思います。明るい色とか蛍光色を着た時はやっぱ『目立ってんな』ってテンションあがるんで(笑)ちょっと調子悪くても『これ目立つな』って思ってテンション上がりながらレースに挑めるんでそれは大きいかなって思います。

たま:一番テンション上がるのはどのウエアですか?
田中:昭和モダンみたいな柄の蛍光黄色と、同じ柄のピンクのヤツですね。

たま:たしかにあれは目立ちますもんね。
田中:SUGOでは新しい色が出るんでそれも注目してもらいたいです。

たま:おお、楽しみ!他に伝えたいことってありますか?
田中:今年安定して走れているのはシーズンオフに京都の今井さんの元でライディングを研究して…『チーム京都』って僕たちは言ってるんですけど、京都のライダーで一緒にトレーニングから練習に取り組んできて、ライディングに関して今まで考えてこなかった部分まで深く考えるようになった部分がありますね。レース中もかなり考えながらレースできててそれが結果に繋がってるかなと思います。

たま:なるほど。田中選手の今年の目標は何になりますか?
田中:今年の目標、シーズンオフは自分の中では『チャンピオンになる』っていう気持ちだったんですけど、3戦終えて自分の位置感を含めて『チャンピオン争いをする位置になる』っていうのが今年の目標になりました。この1年通して最終戦にはその位置でレースができるようになりたいと思います。それも含めてまずは優勝したいですね、今のところ2位が最高なので。

 

たまモト – The Newsmoto


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