Gモト|「THE RIDER」本田七海 vol. 7

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ついに今シーズン初優勝! おめでとうございます!!

引退も考えた昨シーズンまでとは違う環境を自ら作り出し、今シーズンは「レース」、「育成」、「普及活動」の3本柱で「プロライダー」として活動中。
半年が経ち、考えもしなかった現状とレースでの不完全燃焼を乗り越えて優勝したレースウィークを初日から密着取材。
今回は「新生」本田七海の素顔にも迫ってます。

 

・7月15日 金曜日 15:00 スポーツランドSUGO パドックにて

Gモト:2ヶ月ぶりのレース。まずは、今のお気持ちから聞かせてください。
本田七海:開幕HSR九州、第2戦オフロードビレッジと表彰台にも立ててなくて…。正直、開幕前はここまで結果が出せないと考えていなかったし、悪くても毎戦表彰台には上がると考えレースをしていました。
オフロードビレッジが終わり、あらためて何がダメだったのか、コーチでありチームオーナーの辻本さんとも相談し考えました。
昨年までは自分のレースだけ、今年は自分プラス育成。
やっていたつもりが、様々な点で準備不足でした。
乗り込みも少なかったし、必要な事ができてない、足りていなかったんです。
オフロードビレッジが終わってからの2ヶ月間、改善する為に昨年までの練習スタンスを再開しました。
Gモト:昨年までの練習スタンスとは?
本田七海:YZ125での練習量を昨年同様にしました。今回もレース1週間前まで125だけ。
レース直前のSUGO練習でオフロードビレッジ以来、久しぶりにYZ85LWに乗りました。
Gモト:85に乗った感触はどうでしたか?
本田七海:今シーズン1番の手応えがありました! 練習内容に自信を持ち、今回のレースに臨めています。今回、勝たないとチャンピオン獲得が難しくなるとも考えています。

いつもより話をする声が明るい! んー、本田七海ファンとして楽しみです。

 

Gモト:育成ライダーの2ヶ月間はどうでしたか?
本田七海:開幕から2戦、私も育成ライダーも結果を残せず。毎戦、チーム全員もっとイケるのになって思ってました。結果を残すため2ヶ月間、私も含め日頃からさらにレースに対し集中し気持ちを持てるように、乗り込み、トレーニングを各自ではなく、チーム全員で一緒に取組む時間を増やしました。
Gモト:この2ヶ月間は濃い時間になりましたね。あらためて、新しい環境で活動したこの半年を振り返るとどうですか?
本田七海:正直、全部が予想外でした…。
自分の事だけではないのは理解していたんですけど、ここまでシンドイではないですが、こうなると考えてなかった。
私の力不足…。
自分のレースも、育成も、こうやっとけば良かったと。
そうすれば、みんなで成長できたのかなと痛感しました。
毎日毎日、様々な事を勉強させられます。
Gモト:この経験で成長できた事は?
本田七海:昨年まで私が人に何かを伝えるって、YRA(ヤマハライディングアカデミー)しかなかった。
レースの事に関しては、私をキッズの頃から知っている人が多いので、1から言わなくても理解してくれてました。
今は、育成チームに普段から伝える事をするようになり、結果、YRAに参加していただいている皆さんにアドバイスする内容がより具体的になり、育成活動を通じYRAには少し自信が付きました。
伝える事に関して、どこまで成長できているかはわからないんですが、そのために育成活動としてレースもやらせていただいますので今後も日々努力していきます。

 

Gモト:毎日の経験が本田選手を成長させ、育成ライダー、YRAに参加される皆さんのライディングレベルアップに繋がっているんですね。
その考えで現在、育成ライダーのレースをどう見ていますか?
本田七海:ライダーの気持ちも、応援している親御さん、辻本さん、スタッフ、どちらの気持ちもわかる。
あの子達が自分なりに一生懸命走ってる気持ちもあるから、すごく複雑に思う気持ちもあるんです。
私がそのレースで走っていても、そういう結果になっていたんだろうなって思うし、応援している方からしたら「もっとこうしたら良いのに」「もっとアクセル開けろよ!」って思う気持ちもすごくわかる。
応援している側の気持ちをライダーに伝えるのが難しい。
「わかるよ!わかるよ!だけどね」って。
伝えるって本当に難しいですね。

 

Gモト:今後どうなっていきたいと考えていますか?


本田七海:チーム全員で好成績を残すというのもありますが、私自身も現役ライダーとして走っているから当然勝ちたい。
すごく危機感を持っています。
今シーズン表彰台に立ててないし、正直… 今回のレースで勝てなければ、自分の中ではチャンピオンは無理だなっていう厳しい状況。
そういう気持ちでこのレースに臨みます。
今後っていうのは、私の事、育成ライダーの事をSNSを通じて「応援してるよ!」って言ってくれる方が増えています。とてもうれしいですし、ありがたいです。
チーム全員で成長する過程を発信し、皆さんに応援していただけたらうれしいな!って思っています。

 

Gモト:ここからは素顔に迫っていきますね。モトクロス・プライベートを通じて大切にしている事って?


本田七海:私は「感謝」です。
私の場合、親というより、辻本さんはじめ、周りの大人の方々にここまで育ててもらっているので、そこは忘れたらダメだし、忘れたくないし、感謝を忘れたらモトクロスライダーとして終わるなって。
どれだけ速くても、結果は残らないと思う。
だから今、自分のできる事でお世話になったチーム、環境に対して好成績以外でも貢献できたらなって日々思っています。

 

Gモト:昨日の自分を超えるために大切にしてきた行動や信念は?
本田七海:私、めんどくさがり屋なんです。
基本、動きたくない。何もしないので良ければ、バイク整備とかも誰かにお願いしちゃいたい。
乗るだけで良いなら乗るだけが良い。
私の場合、チャンピオン獲得、その他の事も含め、結果が出るまで時間を必要としました。
性格の問題もあるんです…。
あっ!ちょっと無理だなって思ってしまうと「無理、辞めよう」って、そこで「悔しい、がんばろう」って思わない性格。
だからこそ「シンドイなー」って思った時に「ちょっと頑張ってみようかな」って思うように心がけて改善しています。

 

Gモト:トップライダーとして、モチベーションをキープする為に何をしていますか?


本田七海:私はフィジカルトレーニングよりも、バイクに乗れるだけ乗ってトレーニングするタイプなので、レースまでにバイクに乗れるだけ乗って、レースに自信を持って臨めるようにしています。

 

Gモト:チャンピオンを獲得するまで「8年」かかったと以前お聞きしましたが、何が足りなかったのでしょうか?
本田七海:足りなかった事は… 先ほども話した事なんですが、レースに負けて悔しいとは思うんです。
だからといって「クッソー次は勝ってやる!」っていうタイプではない。私は基本的に人と触れ合いたくなかったり、自分の好きなように楽してではないんですけど、マイペースに生活したいタイプなんだと思います。
だから、レースに負けたぁ。
で、終わってしまっていたんです。
悔しい、次は勝つっていう気持ちを持たなければならないという部分で、日頃から辻本オーナーにしごかれ、クッソーて思う気持ちは年々大きくなっていて「コイツー」て思う事は増えてきていると思います(笑)。
そのおかげで、強くなってきているのかなぁ、と感じています。

 

Gモト:迷った時、壁を乗り越える時に、原点を思い出すために大切にしている事は?
本田七海:思い出す原点は… んー、やっぱり私をここまで育ててくれた人達の想いかな。
辞める、辞めたいって思った時もあります。
だけど、私の為に環境を作っていただいているのに、辞めたいから辞めますっていうのは嫌でした。
私は、育てていただいた方々、応援していただいた方々に「ありがとうございました」って、しっかり言って終わりたい。
この負けている状況では終われない。
私に関わっていただいた皆さんと笑って終わりたい。
ルッツさんをはじめスポンサー様、辻本オーナー、スタッフそして育成ライダー達が一緒に活動できているから「がんばれます!」。

 

Gモト:後輩に対して「こうありたい」という姿は?
本田七海:「かっこいい人」でありたいです。
知らなかったんですけど、憧れてくれてる子達がいて「本当にうれしい」です。
私が「奥野歩希」さんに憧れていたように思ってもらっているんだなって。
すごく、うれしい! 
そのおかげで、もっと速く、もっと強くなろうって思うんです。

 

Gモト:明確な「夢」を見つけられずに悩んでいる人も少なくない世の中。最初の一歩を踏み出す為には?
本田七海:私は、絶対に夢を持たなければいけない事はないんじゃないかと思います。
ただ、目標はあった方が良いとは思います。
夢がないからどうしよう、と悩む必要はないです。
何かやっていれば自然とできる物なのかなぁ。
私も「あーしたい、こーしたい」と思い、ここまできたかって言われると正直そうでもない。小さい頃から水泳をやっていて、親の影響でモトクロスを始めて、で水泳を辞めてモトクロスを続けて、っていう流れになってしまっていた事もあるから、私からこうやった方が良いよ! なんて言えないんですけど、何か1つでも一生懸命になれる事があれば良いのかなって私は思っています。
それが夢でなくても、一生懸命できる事があれば、その先に進めるはず。

 

レースウイーク初日、準備に忙しいのにお時間をいただきお話をお聞きしました。
毎回感じる「本田七海の奥深さ」。
常に目の前の事を一生懸命考えている純粋な気持ち。
謙虚な気持ち。
取材を進めれば進めるほど、レースファンの皆さんに、彼女を応援してほしいって気持ちが膨らみます。

Gモトクルーはこんな気持ちで金曜日ホテルに帰り、その夜、世田谷レーシングのゼネラルとのミーティングで、熱いモトクロス談義が繰り広げられました(笑)。日曜日の結果をまだ知らない金曜日の夜。
私達は「今回は優勝がみれるかも」と感じていました。

予選日。
前日まで降り続いた雨、当日も降ったり止んだり。
コースはマディコンディション。
ショートカットされたコースで公式練習が始まった。

 

ベストタイムは6位。スタックするライダーが多い中、練習時間内をトータルで周回するスピードは1番速かったように見え、開幕戦や第2戦の土曜日朝イチとは違い、レースに集中できているように感じました。

 

コースコンディションの悪化により、土曜日の予選がキャンセル。
日曜日の公式練習がタイムアタック方式で予選。
結果は6位。
前日同様、6位という順位ではなく「乗れてるなぁ」という印象が強く残る。

 

決勝レースが始まる。
チャンピオン獲得には絶対負けちゃいけないレース。

 

スタートから1コーナーを6位で通過。
追い上げるレースになる。

 

オープニングラップは5位。
丁寧に周回を重ねながら前車を抜いていく。
残り7分を切ったところで3位。
3~4秒離れているトップグループとの距離を一気に縮めていく。
残り5分に差し掛かったところで、ついに追いつく! ここからは周回遅れが多くなる。

 

レース残り2周で2位に上がる。
トップとの差は約3秒。
追いつけるのか?
微妙な距離。

 


約半周でこの距離を詰めトップに追いつく。
4コーナ出口で前に出る。
念願の今季初優勝までわずか!
 トップでラストラップに入る。結果は!?

 

転倒者が居たコーナーでインをあけてしまい、抜き返され2位でゴール。
ファインダー越しに見えたその表情は「悔しい気持ち」でいっぱいだったように感じた。

 

仮表彰が行われる場所に駆けつけると、そこには笑顔の本田選手がいました。
結果は2位だったけど、久しぶりに自分らしいレースができたのかな。

 

Gモト:今日のレースはどうでしたか?
本田七海:応援ありがとうございました。
正直、2位で終わってしまったので悔しい。
ただ、開幕、第2戦と思うように走れないレースが続いていましたが、今回は少しレースらしいレースができ、自分らしい走りが取り戻せてきているのかなと思うようなレースができたので、良かったなとも思います。
けど、まだまだ自分に足りないものがあり、今日のレースは勝てたはず、と思うので次戦は地元名阪スポーツランド。
このインターバルには、チームの夏合宿もある。
さらに強くなって、さらに自分らしい走りをして、勝って終われるようにがんばりますので、引き続き応援をよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

Gモト:育成チームのレースはどうでしたか?
本田七海:育成の2人は、マディコンディションのレースでした。
経験不足って言ったら、そうなるのかもしれませんが、前に行きたいという気持ちだったり、一生懸命走っている姿を見たかった。
レース結果以前に、一生懸命取り組んでいる姿を日常からもっと見たい。
最近、思うところが多々ある。
そこを改善して強くなってくれたら、2人とも良いものを持っているので、次戦名阪スポーツランドでは全員で笑って終われるはずです。

 

良いレースだったなぁなんて思いながら歩いていたらサプライズ。
レースリザルトが変わった(pdf)という話を本部で聞き、あらためて本田選手のパドックへ。

Gモト:本田選手、今季初優勝おめでとうございます!!


本田七海:んー… 応援ありがとうございました。
レース内容的には2位で終わってしまったんですけど、結果的には優勝することができました。
今季初優勝ができて本当に良かったです。
コースサイドでの応援、SNSでのコメント応援、本当に力になってます。
次戦名阪スポーツランドも応援よろしくお願いします!

 

今回、Gモトは金曜日から現地に入り取材。
いつもより深堀して本田選手の情報をお届けしました。

新生「本田七海」が作った、弱音を吐かない、前向きなTEAM KOH-Zの活動。
そこには、未来の原石が眠っています。
1人のライダーが「考え、行動」し、チーム、家族、スポンサーに想いを伝え、新たなチームを作り出した。
まだスタートしたばかりの3人ですが、まずは本田選手が結果を出しました。
日々の努力が引き寄せた結果だと思います。

「七海先輩」に続け! 育成ライダー達。彼らが結果を出すその日を楽しみに、Gモトクルーは応援し続けます。

 

本田選手の魅力は「ヤマハYZ85LW」を2ストならではの良い音をさせて、スムーズにコーナーを走り、誰も飛ばないジャンプを跳んでライバルをパッシング。
キレのある走りで「ファンを魅了できる」数少ない2ストスペシャリスト。
是非とも会場でリアルタイムで観戦して、コースサイドから腕をグルグル回して応援してください。
Gモトと一緒に新生「本田七海」の発信するモトクロスをエンジョイしましょう!!

 

もう、ゲットしましたか?TEAM KOH-Zのパドックで「ポスター」「ポストカード」「ミニゼッケンステッカー」が配布されてますー。

 

シュールで素敵な音楽からオープニングから始まる「TEAM KOH-Z YouTubeチャンネル」から動画も見れますよー。

 

今回もTEAM KOH-Zの皆さん取材にご協力ありがとうございました。

GSPEEDTOKYO|ジースピードトウキョウ
Gモト – The Newsmoto


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