ヤバすぎるスキル|アントニオ・カイローリ「教科書パッシング」2020 イタリアGP
2020 FIMモトクロス世界選手権 MXGP 第6戦 イタリアGP 最高峰MXGPクラスのレース2終盤でV9王者アントニオ・カイローリが、昨年のMX2クラス王者でMXGPクラス参戦初年度のレッドブルKTMチームメイトであるホルヘ・プラドをパッシングするシーンをシェア。
今大会のMXGPクラス、両レース共にプラドが得意の好スタートから終盤まで首位をキープするも負傷明けでフィジカルが万全でないプラドが徐々にポジションダウンしていく苦しい展開が印象的な一戦でしたが、若手チームメイトに容赦なく牙をむく大ベテランならではのカイローリのクレバーな仕掛け。
ハードパック路面のタイトなコースレイアウトはレーシングラインが限られ、抜きどころが少ない上に上位陣ラップタイムも僅差で熾烈な接近戦バトルが繰り広げられることに。
その状況で接触なく、スルリとパッシングに成功するカイローリのアプローチからパッシングの瞬間までのライン取りに注目です(ビデオ冒頭部追突はあります)。エンジョイ!
レース終盤のペースダウンでハーリングスとシーワーに先行許したプラドを一刻も早くパスしたい4番手のカイローリ。イン側ラインを抑えるディフェンシブなライン取りで防戦一方となったプラドの裏をかく作戦に。
積極的にアウト側ラインを選択し、加速重視。上り坂で並びかけたカイローリは一瞬でラインをイン側へと切り換えてプラドのイン側にマシンをねじ込むことに成功。その後はプラドの反撃を完全に封じるライン取りで、3番手浮上に成功。
タイム差が少なく、パッシングポイントも少ないという追い上げる側のライダー泣かせのコースなのですが、パッシングの鉄則「前のライダーと同じラインを選択しない」という基本中の基本の大切さを改めて知らせてくれるシーン。そして、仕掛ける時は「迷いゼロ」というカイローリの素晴らしさ。
何十年も国内外のレースシーンを見続けていますが、分かっていてもこれがまた難しいのです。タイミングやライン選択を見誤るとタイムロスや接触のリスクもある上に、追い付いたはずの前走者のペースに「はまって」しまって自身のペースも落とし、パッシング失敗… という例は世界最高峰レベルのレースシーンでも何度も目にしてきた光景…。
ベテランのカイローリならではの嗅覚で、ここぞというタイミングでの思い切ったパッシングをしっかりと組み立てていくライン取り。何度観ても「教科書レベル」のお手本パッシングなのです!
レースビデオ&リザルト|2020 FIMモトクロス世界選手権 MXGP 第6戦 イタリアGP
GoProビデオ|2020 FIMモトクロス世界選手権 MXGP 第6戦 イタリアGP
Ray Archer