モトトーク|YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督 vol.3

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特に決まったテーマを設けずに、モトクロスやオフロードバイクを愛する様々な方にご登場いただきまして、その想いや情熱、思考を自由な形で共有していこうという企画「モトトーク」。

モトトーク|YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督
モトトーク|YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督 vol.2

レース業界とどまらず、多くのオフロードバイクライダーの方々からも大変反響大きかった vol.1, vol 2(上記記事リンク先)に続いて登場いただくのは、今回も全日本モトクロス選手権に参戦する YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督。元ヤマハファクトリーライダーとして全日本モトクロス選手権で優勝多数。マシン開発にも携わり、国内でのモタード界でも黎明期からトップライダーとして活躍してきた「ジョーズ」のニックネームと豪快なライディングで知られる日本を代表するレース界のレジェンドでもあります。

今回も増田監督に現在のレース界についてではなく、あえて国内における「モータースポーツ文化」という観点からのお考えについてお話をお伺いしています。テーマはズバリ「モトクロスライダーに贈る言葉」です!

 

 

「チャンピオンなんてとらなくていいです。」

今年最初のテスト走行で私がライダー、スタッフに言った言葉です。

もちろんどのメーカーもシリーズチャンピオンが一番大きな目標だということはわかっています。なぜシリーズチャンピオンが尊いのか、それは1番感動を伝えられる結果であるからでしょう。しかしシリーズチャンピオンだから感動するのではなく、シリーズチャンピオンとは年間通しての感動する走りをたくさんしたライダーに送られる名誉なので感動するし、尊いのです。

1戦1戦の成果の積み重ねに過ぎないのです。

 

 

シリーズチャンピオンを意識しすぎて思うような走りができないとよく聞きます。本末転倒です。もちろんその重圧に耐えてこそプロだということもわかりますが、そんなに人は強くないです。強いときもあれば弱いときもある。それだから人間がするスポーツは面白いのです。

選手に寄り添っているスタッフや仲間は結果にこだわらず、選手たちを信じてそこまでの道のりや努力した軌跡、プロセスを認め、戦いに導くことがその選手の最大限のパフォーマンスを引き出す最良の近道だと思います。勝負なので勝つ人があれば負ける人も必ずいます。結果ではなくプロセスこそ大事なことをスタッフは認知して選手に寄り添っていかなければいけないと思います。

だからこそチャンピオンなんて獲らなくていいと話しました。毎戦、優勝できるようなパフォーマンスが出せるような努力をして毎戦優勝目指して戦う。取り巻きの人間は、毎戦毎戦最高のパフォーマンスが出せるように硬くならない雰囲気づくりをしていくべきでしょう。

 

 

スポーツ選手のメンタルマネージメントでその日の自分に可能な結果、パフォーマンスを客観的に考えクリアしていくという考え方があります。しかしながら、チャンピオン獲得という目標を見据えてその日の目標を2位、3位に置く事は、私は嫌いです。プロとしての私の美学ですが、スタートラインに立つ以上勝つことを目標にすべきだと。

先にお話ししましたがプロセスが大事ということは、勝つという目標をそれまでのテストやトレーニングで可能なレベルまでもっていくということです。それまでの準備ができていれば結果に一喜一憂することなく戦い続ければいいだけの事です。そのうち結果はついてきます。目標は勝つこと、そして最善を尽くすこと。

結果を残すのではなく自分にも見てる人にも記憶に残る戦いをすることが大切で、見ている人たちに感動や影響を与え自分自身の人生も豊かにしてくれるでしょう。

 

 

人間は生きていくために仕事をしていますが仕事自体が人生だったり、自尊心を生み、生きている意義を感じさせてくれる大事な事柄だったりします。

プロを目指しているライダー、プロのライダー、またそのライダーを取り巻くすべての人たちに言いたいこと。それは、真っすぐ1番だけを見て努力してください。その姿勢こそがあなたたちを輝かせるでしょう。そして見るものに感動を与え、大好きなモトクロス業界の底上げとなるはずです。頑張って!

 

 

私もずっとモトクロス業界を中から盛り上げていきたかったのですが今年を持ちまして監督を引退することとなってしまいました。国内の二輪業界もなかなかいい風が吹きにくく厳しい状況です。来年もライダーたちがレース活動できるように私自身の引退という選択をしました。

自分でも何度も言っていますが勝つだけではダメなんです。もっと輝いてください。今後の国内におけるモータースポーツ文化を盛り上げてください。

3年間というコロナ禍の厳しい監督業務でしたが楽しい時間でした。ありがとう。またいつか皆様のきらきらした活躍を応援したいと思います。

Merry Christmas and A happy new year !

 

モトトーク|YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督
モトトーク|YAMAHA FACTORY RACING TEAM 増田智義 監督 vol.2


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