AMAスーパークロス事件簿|空中衝突一部始終「ローレンス VS. フォークナー」2022 アーリントンSX
250SX決勝ハイライトビデオ|2022 AMAスーパークロス 第8戦 アーリントン
例年にも増してアグレッシブなレースアクションが話題の2022 AMAスーパークロス。第8戦 アーリントンSXでも大きな注目集めるアクシデントが発生。
決勝3レース制「トリプルクラウン大会」として開催された一戦。前戦で開幕を迎えたばかりの250SXイーストシリーズは今季初のトリプルクラウンということで、全レースでスタート直後から熾烈なバトルや転倒者も多発の目の離せない展開が続きました。
映像と連続写真で一部始終をお届けします。 そこから見えてくるものは…。エンジョイ!
@ s u p e r c r o s s l i v e
進行方向左手から、ジャンプ中に大きく右にマシンを振る動きを見せたジェット・ローレンス。マシン半分ほど後方からジャンプしたオースティン・フォークナーはローレンスの大きな動きに為す術もなく、空中で接触。この瞬間だけ切り取ると、ローレンスの危険な「クロスジャンピング」という認識となるでしょう。ライブ中継観戦時には、さすがにこんな冷静にいられるわけもなく… 腹の底から大声が出てしまったレベルの衝撃シーン。
映像振り返るとジャンプ踏み切り直前にコース脇のタフブロックが動いていることが確認できます。このタフブロックとの接触により、ローレンスの意図とは関係なく、この空中衝突が起きてしまったということが明らかになるのでした。ローレンスもレース後の記者会見でタフブロックに接触したことが原因で、バランスを崩してしまったと発言しています。
続いては、連続写真!
上記記事リンク先で触れている、昨年の危険な大クラッシュを思い起こさせる今回の接触転倒シーン。
接触直後のローレンスはバランスを崩した直後ということで、後方からのフォークナーとの接触を警戒するように後方を振り返っています。しかし、空中に飛び出したマシンの動きを修正することは不可能で、フォークナーの前を遮るような形で接触。フォークナーの視野にもローレンスの挙動は入っていたはずですが、ローレンス同様に滞空時間に最悪の事態を回避するために出来ることは、そう多くないのが現実…。
最悪の事態も想定される危険な転倒シーン。気になる両者の負傷に関して、ローレンスはダメージなく再スタートしてポイントゲット。総合3位表彰台登壇。心配されるフォークナーは、鎖骨骨折…。昨年のAMAスーパークロスで骨折したのと同じ箇所でプレートが入っており、骨折は転倒直後に認識出来ていたとのこと。プレートで補強された部位の再骨折ということで再手術が必要でしょう。回復期間や復帰時期に関する記述はありませんが、このままAMAスーパークロスシリーズは離脱となることでしょう。
フォークナーは、2017年のAMAスーパークロスフル参戦開始時から、7シーズン連続して「全戦ポイント獲得」を逃すという不運なライダー。過去数シーズンはタイトル候補として活躍するも、怪我でタイトルを棒に振る期待された結果を残せないライダーという印象を拭い去れない不運がつきまといます。
今回の転倒はフォークナーに非はない負傷。とはいえ、厳しい勝負の世界。同世代ライバルでアマチュア時代は負けなしだったライバルのチェイス・セクストンは最高峰450SXクラスで優勝を経験。若手逸材も続々と台頭し始めており、450クラスにステップアップを視野に入れたセクストンのキャリアプランは残念ながら厳しい状況と言わざるを得ません。
対する、ローレンス。フォークナー同様にスピードが売りではありますが、安定感に難あり。この接触あったレースでもスタートホールショット直前の転倒により、最後尾から限界スレスレのライディングと脅威のハイペース追い上げの最中の出来事。映像にあるフープスでのマシンの暴れ方やタフブロックに接触してしまったミスは、精神的に追い込まれた状況だからこそのものでしょう。ローレンスはレース直後の記者会見でフォークナーやその家族、ガールフレンドに謝罪。全面的に非を認めています。ポテンシャルの高さやそのスター性も相まって、高く評価されるローレンス。とはいえ、まだまだ若いライダーだけに危険なミスを犯してしまうような精神状況に追い込まれないメンタルや集中力強化、経験を重ねていくことが、真のスーパースターへと上り詰める階段として必要となってくるはずでしょう。
フォークナーの一日も早い回復、レース復帰を祈るばかりです。
O c t o p i M e d i a