レースビデオ&リザルト|2022 モトクロス・オブ・ネイションズ アメリカ大会 レッドバッド

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【追加:リザルト雑感】

USモトクロスシーンを代表するコースのひとつとして広く知られるミシガン州ブキャナンのレッドバッドにて開催された 2022年 国別対抗世界選手権「モトクロス・オブ・ネイションズ」アメリカ大会。予選レースハイライトビデオ&リザルトをシェア。モトクロスのオリンピックとも称される一大イベントです。

決勝日の天候は早朝から雨、気温17度。中止となった2020年を挟み、5大会連続で降雨の影響受けた難コンディションでのネイションズ。全3レースで国の威信をかけた緊張感ある上位バトルが展開されました。

降雨による水分を多く含んだコースは水たまり、ワダチ、沼地のような軟質部、逆にマディ部の土がはけることによって固く締まった路面も表れ、ライダーにもマシンにも過酷な難コンディション。レースラインやパッシングポイントも限られ、スタート順位が大変重要な一戦に。

 

 

予選レースで決勝進出ならず、B決勝行きとなった日本代表チーム。優勝チームのみ決勝進出権利を獲得出来るレースでしたが、マディコンディションのコースに翻弄された日本代表チームはB決勝5位。下田丈選手のベストラップ記録の激走も実らず、残念ながら予選敗退となりました。

ドラマ、波乱、サプライズ満載の今年度大会ネイションズ、エンジョイ!

 


 

【レース1 リザルト(MXGP, MX2)】
1. Eli Tomac (USA, Yamaha), 35:23.672
2. Jago Geerts (BEL, Yamaha), +0:03.243
3. Maxime Renaux (FRA, Yamaha), +0:58.986
4. Jeremy Seewer (SUI, Yamaha), +1:11.659
5. Mitchell Evans (AUS, Honda), +1:24.846
6. Jorge Prado (ESP, GASGAS), +1:29.402
7. Antonio Cairoli (ITA, KTM), +1:33.403
8. Hunter Lawrence (AUS, Honda), +1:34.431
9. Justin Cooper (USA, Yamaha), +1:48.130
10. Kay de Wolf (NED, Husqvarna), +1:56.440

スタート直後で首位浮上のアメリカ代表トマックが全ラップ首位で勝利。信じられませんが、トマックにとってネイションズでのレース初勝利でもありました。降雨の影響もあり、整備された直後のコースでラインを探りながらのレースとなりましたが、無理せず大きなミスなく、危なげないライディング。2位は、450初レースのベルギー代表ヘールツ。予選レースでトマックを抑えて勝利した実力がまぐれでないことを証明する激走。コンスタントにラロッコズリープをクリア。終始、2〜3秒差でトマックを猛追するスピードはラスト2周でこのレースのベストラップを記録するほど。周遅れが多数発生するタイミングでミスを繰り返したミスが悔やまれます。3位には、首位バトルから大きく離され単独走行となったフランス代表ルノー。

総合成績を大きく左右するMX2ライダーの活躍ですが、8位にオーストラリア代表ハンター・ローレンス、9位にアメリカ代表クーパー、10位はオランダ代表デ・ウルフの3名がトップ10入りと大健闘。

 

【レース2 リザルト(MX2, Open)】
1. Jett Lawrence (AUS, Honda), 36:19.920
2. Chase Sexton (USA, Honda), +0:14.240
3. Mattia Guadagnini (ITA, GASGAS), +0:20.238
4. Justin Cooper (USA, Yamaha), +0:22.058
5. Ruben Fernandez (ESP, Honda), +0:25.555
6. Dylan Ferrandis (FRA, Yamaha), +0:31.445
7. Calvin Vlaanderen (NED, Yamaha), +1:05.933
8. Harri Kullas (EST, Yamaha), +1:11.398
9. Marvin Musquin (FRA, KTM), +1:13.503
10. Hunter Lawrence (AUS, Honda), +1:18.053

スタート直後のマルチクラッシュでフランス代表フェランディスが転倒。最後方からの追い上げとなる波乱のスタート。ホールショットはイタリア代表ガダニーニ。それにアメリカ代表セクストン、450初レースのオーストラリア代表ジェット・ローレンス、MX2クラスライダーで大健闘のアメリカ代表クーパーが続き、上位グループを形成。マディコンディションもあり無理できない上位陣ですが、レース中盤に入るとジェット・ローレンスがミスを繰り返しながらも徐々にペースアップ。セクストン、ガダニーニと立て続けにパスして首位浮上。そのまま一気に独走状態を築き上げ、450初レース初優勝。勝負所で迷いなしのパッシングを仕掛ける若さとキレ感が光りました。2位は、ガダニーニ攻略に手間取ったセクストン。3位には、安定感あるライディングで序盤首位快走のガダニーニ。今季MXGPシリーズ途中でMX2クラスからMXGPクラスにコンバートするも不運や不振が続きましたが、シーズン最後のネイションズで今季ベストのライディングを披露。

MX2クラス最上位は4位のクーパー。最後の最後まで選考が遅れたMX2クラスのアメリカ代表の座をもぎ取ったものの今季は負傷や新型コロナウイルス感染で本領発揮できずにネイションズでの活躍が疑問視されていましたが、見事にMX2クラスで優勝の大活躍。

6位には最後方からこのレースのベストラップを記録しながら追い上げたフェランディスが獲得し、フランス代表の優勝に可能性をつなぎました。

 

【レース3 リザルト(MXGP, Open)】
1. Maxime Renaux (FRA, Yamaha), 35:30.165
2. Jett Lawrence (AUS, Honda), +0:04.600
3. Chase Sexton (USA, Honda), +0:08.303
4. Dylan Ferrandis (FRA, Yamaha), +0:17.408
5. Jeremy Seewer (SUI, Yamaha), +0:19.507
6. Eli Tomac (USA, Yamaha), +0:52.551
7. Jorge Prado (ESP, GASGAS), +1:02.266
8. Ruben Fernandez (ESP, Honda), +1:18.847
9. Antonio Cairoli (ITA, KTM), +1:31.044
10. Dylan Wright (CAN, Honda), +1:40.392

アメリカが暫定総合首位で迎えた最終レース。フランス代表が、1, 2スタート。ホールショットのルノーを直後にフェランディスがパス、3番手にセクストンがレースをリード。第2コーナーでヘールツが転倒し、トマックがペースダウンするアクシデントがあり、トマックの追い上げが注目を集めます。首位フェランディスが4周目に単独転倒、ルノーとセクストンの首位バトルに後方からジェット・ローレンスが急接近。レース2同様にローレンスがセクストンをパスして2位浮上と同時に首位ルノー追撃開始。しかし、ルノーはコースも荒れて周遅れが発生するレース終盤でもローレンスを勝負できる距離まで寄せ付けない力強いライディングで勝利。2位は、ローレンス。3位には、セクストン。レース序盤で7番手まで浮上したトマックは安定したライディングで最終的に6番手浮上してチェッカー。この瞬間にアメリカ代表チームが、11年振りのネイションズ優勝を飾りました。

個人成績では、MXGPクラス優勝はフランス代表ルノー。MX2クラス優勝はアメリカ代表クーパー。OPENクラス優勝は450初レース&初優勝となったオーストラリア代表ジェット・ローレンス。

 

【国別対抗総合結果】
1. アメリカ – 16 points
2. フランス – 23
3. オーストラリア – 26
4. イタリア – 49
5. ベルギー – 50
6. スペイン – 51
7. オランダ – 62
8. ドイツ – 71
9. スイス – 90
10. イギリス – 98

自国開催となったアメリカ代表チームが、11年ぶりにモトクロス最強国の座を奪還!  レース勝利はトマックの1勝のみですが、トマックはMXGPクラスで2位、MX2クラス優勝のクーパーとOPENクラス2位という3名揃って文句なしの安定感&好成績(全レースでトップ10はアメリカのみ)。絶対に負けられない地元大会でのネイションズ、大差でアメリカが総合優勝に輝きました。フランス、オーストラリアも個人クラス別優勝や上位フィニッシュを揃えて優勝の可能性も存在しましたが、僅かな順位差の積み重ねで今年のアメリカ代表に及ばず。有力国が順当にトップ10に連なります。

アメリカ代表の優勝以外にも、ルノーやジェット・ローレンス、ヘールツ、ガダニーニといった若手ライダーの活躍が目立った今大会。2023年のネイションズの舞台はフランス。「ネイションズの主役」アメリカが王座復権したことで、これまで以上にネイションズへの関心が高まることが予想されます。日本代表の活躍も含めて、目まぐるしく動き続ける世界のレースシーンに大注目です。

 

予選ハイライトビデオ&リザルト|2022 モトクロス・オブ・ネイションズ アメリカ大会 レッドバッド
モトゴシップ|2022 モトクロス・オブ・ネイションズ エントリーリスト発表

Ray Archer


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