Gモト|ビハインド・ザ・ゲート「石田敬一郎」vol. 1

今回お届けする「ビハインド・ザ・ゲート」は、株式会社ダートフリーク代表取締役・石田敬一郎さん vol.1。
石田さんといえば、ほぼすべてのオフロードバイクカテゴリーを自ら走り、楽しみ、いつも笑顔で現場に立つ人物だ。ユーザーとの距離がとても近く、親しみを込めて「DFシャチョー」と呼ばれる存在。その石田さんが率いる株式会社ダートフリークは、オフロードバイクおよび自転車関連パーツの企画・開発・製造・販売を手がける、日本を代表するリーディングカンパニー。1990年の創業以来、数々のブランド展開や用品の開発、「ダートバイクプラス」の運営を通じ、ライダーの「楽しさ」を支え続けてきました。
現在、代表取締役社長を務める石田さんは、この伝統ある企業を率いながら、現場感覚を何より大切にするライダーあり、経営者。自ら走り、現場でユーザーと向き合う姿勢は、多くのライダーから支持を集めています。以前お話しさせていただいた際に印象的だった言葉が「みんな、この業界に残ってほしい」。この一言は、現場で出会う石田さんの姿勢そのものを表している言葉でした。今回は石田さんの活動そのものではなく、なぜ走り続け、なぜこの業界に向き合い続けるのか。その活動原理に迫っていきます。

・オフロードバイクとの出会い、走り続ける経緯と理由
まず経緯からお話しすると・・・ダートフリークは2017年に、静岡に本社を構えるパーツメーカー「デイトナ」のグループ会社になりました。私自身はもともとデイトナの社員で、現在は役員を務めていますが当時は一般社員でした。ライコランド柏店も同じデイトナグループの会社なんですね。なので、私は2016年から2019年まで千葉県柏市でグループ会社の運営を担当。その後、2019年にダートフリークの運営を任され、この会社に来る事になります。
正直に言うと、それまでオフロードの経験はほとんどなく、20代の頃に天竜川で少し走った事がある程度で、ほぼゼロに近い状態でした。オンロードとオフロードの世界は意外と交わらないもので、オンロードの人はオフロードを知らず、オフロードの人もオンロードをあまり知らない。私自身も、まさにその1人でした。そんな中、ダートフリークの運営を任された以上、会社を成長させなければならない。会社を成長させるという事は「お客様に当社の商品をたくさん買ってもらうっていう事がまず第一」です。その為には、オフロードの世界を知らなければならないし、オフロードを楽しむ人達を理解しなければならない。「お客様が何を求めているのか?」それは机の上で考えていてもわかりません。実際に現場に行き、走り、同じ空気を感じて「自分でキャッチしなければ見えてこない」そう考えた時「自分がオフロードに乗らなければダメだ」と思ったんです。そうしてオフロードに乗るようになったのは49歳の時でした。
49歳から、ほぼ未経験の状態でオフロードを始め、いきなり上手くいく訳がありません。実際に転んだり、タイヤバリアに突っ込んだり、丸太に激突したり……失敗ばかりです。周囲からは「それもエンタメだから、そのまま行ってください」と言われる事もありますが、決してわざとやっている訳ではなく、純粋に乗り方が分からない下手な状態だったんです。それでも、なぜ走り続けるのか。理由はシンプルで「まだ上手くなっていないから」です。上手くならないという事は、初心者や中級者のお客様と同じ目線に立てるという事。転ぶ怖さ、難しさ、悔しさを自分の体で感じ続ける事で初めて分かる事がある。だから私は、今も走り乗り続けています。すべてはお客様を知るために。

・石田さんが想う、オフロードバイクの魅力とは
オフロードは、非常に楽しいカテゴリーだと感じています。実際、オンロードライダーが1度オフロードを経験すると、ほとんどの方が「オフロードって楽しいね」と言うんです。オンロードは、どちらかというと趣味的な要素が強い乗り物。一方でオフロードはスポーツだと思っています。走れば筋肉痛にもなるし筋肉もつく、息も切れる、汗もかく。体をしっかり使う、まさにスポーツ競技の感覚です。
そして私がよく話しているのが、オフロードバイクは生涯スポーツだという事。続ける事で体力もつくし、年齢を重ねても無理のないペースで楽しめる。一生続けられるスポーツなんです。オフロードバイクは、速く走るとかではなく土の上を走る、その行為そのものが楽しい。それだけで成立する、非常に魅力的な乗り物だと思っています。そう考えると、オフロードという世界は、改めてとても奥深く、興味の尽きないカテゴリーだと感じています。

・「みんな、この業界に残ってほしい」という言葉の真意は
残ってほしいというよりも「なくなってはいけないカテゴリー」だと考えています。近年、競技人口やプロライダーの数は減少傾向にあります。一方で4サイクル125ccクラスのバイクなどで「気軽に、エンジョイとしてオフロードを楽しみたい」という人は、私の感覚ではむしろ少しずつ増えているように感じています。だからこのカテゴリーは、決して消えていかない。それだけの楽しさがあり、魅力がある世界だと思っています。さらに言えば、オフロードバイクは単なる趣味にとどまらず、ストレス発散のツールでもあります。
人は誰しも日常の中で必ずストレスを抱えるものです。ストレスを溜め込みすぎれば、心や体に不調をきたす事もある。だからこそ、スポーツや趣味の中でストレスを解放する時間が必要で、その選択肢の1つとしてオフロードバイクで遊ぶ事は必ず入ると考えています。このカテゴリーがもしなくなってしまったら、それは人間にとって、あまり良い事ではない。それくらい極端に言えるほど、オフロードバイクは人が健やかに生きていくために欠かせない存在だと思っています。

・思い描く未来
当社の売り上げという話はいったん置いておいて、それだけオフロードは純粋に楽しい遊びなので、もっと多くの人に体験してもらいたいと思っています。すでにオフロードを知っている人だけでなく、「乗ってみたいけれど、きっかけがない」、「そもそもオフロードを知らない」そういう人達にこそ、その楽しさを伝えていく。それが、私達の役割であり啓蒙活動だと考えています。将来的には、排気量の小さなバイクになるかもしれませんが、もっと多くの人がオフロードバイクに乗り、気軽に遊んでいる。そんな光景が当たり前になる未来が来てほしい。オフロードバイクが、特別な人のものではなく、誰もが楽しめる身近な遊びとして根付いていく。
私は、そんな未来を本気で思い描いています。
・今後ダートフリークの挑戦は
まず、その取り組みの1つが、今回の全日本モトクロス選手権・中部大会への冠スポンサーとしての参画です。当社にとっても、これは決して小さくない大きなチャレンジです。多額の費用をかけて冠スポンサーを務めたのには明確な意味があります。それは、この業界をより多くの人に知ってもらう事。ダートフリークは単にスポンサーとしてだけでなく、大会運営側にも関わり広報・宣伝活動のサポートを行っています。そのすべての目的は1つ。「オフロードを知らない人達に、この世界の魅力を届けること」です。

・石田さんの情熱を支えているのは?
一言でいえば「楽しさ」です。
・最後にメッセージをお願いします
オフロードバイクは、実際に乗ってみると本当に楽しい乗り物です。最高速が出ない分、見方によっては怪我のリスクを抑えやすいという側面もあります。もちろん装備は大切ですが、スピードに依存しない楽しさがあるのがオフロードの魅力です。そういった意味でも、「速さ」ではなく「体験」を楽しめる、安全性の高い遊び方ができるカテゴリーだと思っています。もし少しでも興味を持ったら、ダートバイクプラスの店舗をはじめ、全国にあるオフロードを熱心に扱っているバイクショップにぜひ相談してみてほしいですね。実際に走る体験をする事で、オフロードの本当の楽しさがきっと伝わるはずです。

リアルスタンダードと情熱をお届けしていますGモト。今回の記事はまさに、リアルスタンダードと情熱ですよね。昨年2月に鈴鹿ツインサーキットでお会いした際に、初めてお話しさせていただきました。そこで伺ったお話と、現場やSNSで拝見していた石田さんの活動とがマッチしました。いつか必ず記事を書きたかったので、この記事はあえて「vol.1」とさせていただきました。
「決して小さくない大きなチャレンジ」であるD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2026第1戦 中部大会 ダートフリークカップでは、この大会が成功する為に1番重要な「駐車場係」を自ら現場で担当されるそうです。まさに、この行動が「石田さんだから」なんだと私は感じました。
皆さん、読んでいただいていかがでしたか?誰がとか、何がではなく、シンプルな活動原理として「共有」できるリアルスタンダードです。 取材に協力いただきました、ダートフリークの皆さんありがとうございました。
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