ニューモトブログ｜アライヘルメット「カスタムペイント」vol. 2

by SetagayaRacing · Published 2025-01-16 · Updated 2025-01-16

上記、前回の記事からずいぶんと時間が経ちましたが… 「アライ V-CROSS 4」をベースとしたカスタムペイント企画は存続していたのでした。

デザインの方向性は先の記事の通り、ほぼほぼ決まっていましたが、塗料のラメの粗さや微調整もありながらもダラダラと間延びした感は否めず、すいませんでした。しかし、その分と言ったらなんですが、アライヘルメットさんにペイントに関する取材を敢行。その内容に基づいたペイント方法により完成した、ヘルメットお披露目までをお届けします。

お話をお聞きしたのは、古くからレース関係者でお世話になっている方も多いでしょう、アライヘルメットの上幸一さん。いちばん大切な頭を守るヘルメットなので「ヘルメットのカスタムペイントにおける注意点」について説明していただきました。以下、その要点まとめとなります。

【ヘルメットのカスタムペイントにおける注意点】

溶剤への弱さ
- ヘルメットは強い溶剤（例：シンナー、ガソリン）に弱く、特に内部の衝撃吸収ライナーが影響を受けやすい。
- ペイント時には以下を徹底すること:
  - 外側の開口部や通気孔をマスキングし、内部に溶剤が入らないようにする。
  - ガソリンなどの強い溶剤が付着しないように注意。
高温への弱さ
- ヘルメット内部の発泡スチロール素材は高温で再発泡し、形状が変形して衝撃吸収能力が低下する（自社で高温テスト規格あり）。
- 注意事項:
  - 乾燥や硬化時には50度以下の温度を守る。
  - 直接ドライヤーや高温のスポットライトを使用しない。
  - 夏の車内など、高温環境への放置を避ける。
自然乾燥を推奨
- 最適な乾燥方法は自然乾燥。加熱する場合は低温（50度以下）で時間をかける。
専門店への依頼
- ヘルメットの特性を理解している専門のペイントショップに依頼するのが安心。
- 車の塗装をメインとする業者は、高温のスポットライトなどを使うため適していない。

注意点を守らないと写真の通りに…。溶剤で溶けている衝撃吸収ライナー。グロテスクなまでに再発泡した衝撃吸収ライナーの黒いつぶ。

改めてお聞きすると、いずれの注意点も合点がいくものばかりです。しかし、残念ながらこれらが守られていないカスタムペイントヘルメットが多いとのこと。特に「強い溶剤」と「高温」を避けることが、ヘルメットの性能を保つ上で重要であることが強調された内容のお話でした。

こちらがアライヘルメット公認、上述の注意点を厳密に守ったカスタムペイントを施す準備段階の模様。以下に細部の様子を画像で紹介していきます。

大前提として「縁ゴム剥がし」と「内装（衝撃吸収ライナー）ばらし」は、NG！となると、エアーダクトの穴から縁ゴム、衝撃吸収ライナー（発泡スチロール）部までの完璧なマスキングが必須となるわけです。

ヘルメットに貼られている「PSCマーク」は、剥がしてヘルメット内に貼り直しても問題ないとのことです。

そして、ペイントを終えて無事に完成したのが、コチラ！

ヘルメットを前後に分ける力強いライトニングボルト柄を中心とするレイアウトに加えて、左右で色違いのデザイン。言葉にすると大雑把な印象ですが、実際に左右の配色のトーンを合わせることで、奇抜ではなくてまとまりあるクリーンでスッキリした仕上がりに大満足。

頭頂部から後頭部にかけてはこんな感じ。ここにだけ、ちょっとした遊び心でネイビー＆ゴールド配色のモチーフを追加。ネタ元は、ポロ・ラルフ・ローレンのブランドカラーから拝借しました。世田谷レーシングOGロゴは、お約束ということで！

GROOVERSPEED-TOKYO ヘルメットペイント

ちなみにブラック以外の色には全てラメが入ったメタリックの塗料を使用。ラメの配合率も全て違うこだわりで、色ごとの艶や質感も最高。今回のプロジェクトを完成に導いてくれたのは GROOVERSPEED-TOKYOさん。もちろん、アライヘルメット上幸一さんからの注意点を守ってのペイントとなります。

パブロ・ピカソに代表される、キュビズムのように角度によって異なる配色やデザイン要素が、ひとつのヘルメット上でまとまりをもって集約されることをテーマ。という難しい難題を120点の完成度でペイントを仕上げてくれたGROOVERSPEED-TOKYOさんには、大感謝です。

ヘルメットのカスタムペイントはライダーにとって少々ハードル高いのが本音でしょう。しかし、夢や憧れでもあるカスタムペイントヘルメットを実際に手に取った時の感動とワクワク感は、他に変えようのない特別なものです。このような機会を与えてくださった、アライヘルメットさんとGROOVERSPEED-TOKYOさんには、心よりお礼申し上げます。

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