たまモト特別編|横山遥希「LITTLE GIANTの挑戦」オーストラリア選手権参戦記 vol. 1 後編
たまモト特別編|横山遥希「LITTLE GIANTの挑戦」オーストラリア選手権参戦記
上記記事リンク先の前編に引き続き、今回シェアする後編はオーストラリアのレース事情や気になる今後の参戦プランについての具体的な横山選手のお話が聞けます。そして、メカニックでありパートナーでもある、遥さんのインタビューと併せてお届け。エンジョイ!
■オーストラリアのモトクロス事情
たま:オーストラリアの選手の走りとかコースの様子とかは研究されたんですか?
横山:もうずっと動画を観てますよ。全日本の開幕戦と同じ日にオーストラリアの開幕戦があって…
たま:なんかすごい雨じゃなかった?チームのインスタを観たけど。
横山:そうです。ちょっと雨でマディなカンジで。
たま:レースの動画を観ていろいろ考えたり?
横山:動画を観ながら自分が乗ってるのを想像して自分だったらどのへんの順位なのかなあとかどこへんまでいけるかなあっていうのを想像しながら観てました。最初はトップ10目指していって徐々に目標を上げられたらなあとか考えてます。
たま:オーストラリアのモトクロス事情に詳しくないのでいろいろ教えていただきたいんですが…いわゆるファクトリー的なチームが何チームもあるカンジなんですか?
横山:ファクトリーは、HONDA、YAMAHA、GASGAS、KTM、Husqvarna…かな?
たま:なるほど。そうすると横山選手が入るEmpire Motorsports KawasakiはむこうのKawasakiサポートのトップチームということになるのかな?
横山:ファクトリーかどうかは微妙なとこなんですけど、Kawasakiの中では一番上のチーム。
たま:扱いとしてはファクトリーに準ずるのかなあみたいな。
横山:そこへんは僕もちょっと曖昧なトコなんですけど。
たま:で、クラスはMX2…というのはいわゆる250?
横山:MX2、250クラスのレースですね。
たま:というと、ライダーは若い人が多いのかな?
横山:そうですね。年上のライダーでも僕の1〜2コ上ですかね。
たま:横山くんは今…
横山:僕は22歳です。
たま:という事は選手層は20代前半が多い?
横山:多いですね。16歳から24歳までくらいのライダーですかね。
たま:そうするとMX2のベテラン…みたいな人達が同世代くらい? 慣れる迄はなかなかたいへんかもしれないですね。
横山:そうですね。まあ、今年は怪我をしないようにシーズンを終えられたらね。
たま:今回のチャレンジは何年計画で?
横山:一応、2年契約なんですけど。
たま:一年間に何戦くらいあるんですか?
横山:年間8戦ですね。
たま:あ、じゃあ日本と同じ様なペース?
横山:そうですね。4月から8月までで年間8戦やってその後…たしか5戦くらいスーパークロスがあるんですけど。
たま:じゃあ今はアウトドアの時期で…南半球は秋になるのかな。これから寒くなるんですよね?
横山:そうなんですよ。これから寒くなってそこからまた温かくなって春ぐらいからですかねスーパークロスは。たしか10月くらいからスーパークロスが始まるんですよ。なのでだんだん温かくなるに連れてスーパークロスが始まるってことだと思うんですけど。たしか年末あたりでおしまいになるんですよねスーパークロスが。
たま:スーパークロスも出る予定?
横山:その予定です。
たま:おおおお!!!オーストラリアのスーパークロスってアメリカと同じ様なコースなんですか?
横山:スーパークロスもyoutubeとかで観てるんですけど、普通にスーパークロスでしたね。
たま:コースがちっちゃいとかそういう事はない?
横山:むしろちょっと大きめですかね。
たま:そっかー。スーパークロスだとスタジアムだからたぶん都市部でやるんですよね?
横山:そうですね。
たま:このご時勢だからなかなか日本から応援にも行けないと思うんですけど、中にはオーストラリア在住で横山選手の応援に行きたいってファンもいらっしゃるかもしれない。
横山:かもしれないですね。そうだったら嬉しいですね。
たま:土質とかはどうなんでしょうね? 前に勝谷さんに聞いた時にアウトドアでサンドのすごいコースがあるとかって…
横山:開幕戦がサンドのコースで、あとは最終戦と最終戦の前…7〜8戦が土日でback to backなんですよ。2日連続でやるんですね。そこのコースがサンドですね。
たま:オーストラリアのサンドはすごい深いって聞いたんですよ。日本人はあまり深いサンドは経験がないから…
横山:はいはいはい。
たま:でもあれかな、アメリカのコースで…
横山:アメリカもねえ、そこまでサンドのコースはないんですよね。
たま:ないかー。砂質なコースでざくざくっていうところはないかもしれませんねえ。サウスウィックくらい?
横山:ないですねえ。
たま:ヨーロッパはあるけどね。
横山:うんうん。
たま:だからオーストラリアのサンドコースは大変って前に勝谷さんが言ってて。
横山:まあそれが選手権の最後の方だったからまだ…練習できるのでいいのかなあって思ってます。
たま:行っていきなりサンドとかだったら嫌ですよね(笑)
横山:サンドはちょっと心配ですけど、まあ、硬いところで成績残せたらなあって。
たま:3戦目のコースはいわゆる普通の土質?
横山:ちょっと硬めで轍ができやすい…
たま:あ、好きなトコですね(笑)
横山:そうです! 僕の好きそうなトコですね(笑)行ってみないとわかんないですけど(笑)
たま:そういえば去年に引き続き新井ちゃん(新井宏彰)にトレーニングをみてもらってたんですよね。たしか今年からは鯨くん(山本鯨)と2人で。
横山:はい。
たま:オーストラリアに行ってしまうと新井ちゃんとは一緒にトレーニングできなくなっちゃいますね。
横山:もちろん来てもらえたら一番なんですけど新井さんも家庭があるんで…オーストラリアについて来てくださいとも言えないので。それでもコミュニケーションとりながらトレーニングメニューであったり「どういう状況」っていうのを伝えながら、オースラリアでもやっていけたらなって思っています。
たま:リモートで?
横山:リモートで!
■オーストラリアからの発信
たま:ビザも降りたことだし、基本的にはむこうに行きっぱなしになるんですかね?
横山:一応年末には日本に帰る予定でいるんですけどまだなんとも…
たま:わからないですよね。
横山:はい。
たま:それでは今後も機会を見つけてこういった形で横山選手のオーストラリア選手権参戦について発信できたらなあと思うんですけど。SNSでも発信はされるけど長いお話はね、なかなか自分では発信し辛いかと思って。
横山:そうなんですよね。長い文はねあんまり…
たま:では引き続きよろしくお願いしますということで(笑)
横山:はい(笑)
■最後に
たま:最後になにかメッセージはありますか?
横山:今回、ビザ関係がほんとに大変だったんですね。Kawasakiさんにはすごいお世話になっちゃって…ビザがなかなか降りなくて「いつ降りるんだろう?」って不安もあったんですけど、そこを親身になっていろいろと手配してくださったのが大きかったんです。ものすごく感謝しているのでそれを伝えたいです。
たま:ああ、それはありがたかったですね。ではファンの皆さんにも何か。
横山:今年は僕の走りが日本で観られないからレースに行かないっていう方がいるかもしれないんですけど、それでも今年はIA2の若手ライダーが活躍してくれると思うし、IA1はIA1で今シーズンは開幕戦から面白かったという声を聞いているので、ぜひ全日本の会場に足を運んで応援していただけたらなあって思っています。
■横山遥さんインタビュー
横山遥希選手のオーストラリア選手権参戦にあたって、やはり気になるのは二人三脚のもうひとり、横山選手の公私にわたるパートナー、メカニックの遥さんのこと。せっかくの機会なので遥さんにもお話をうかがってみました。
たま:なんだかえらいことになったねえ…(笑)
遥:(笑)ほんとですねえ。
たま:なんかね、遥希君は「どうにかなりますよ」とか言ってたんだけど、どう考えても遥ちゃんがぜったい大変だよって思って。
遥:(笑)大変でしょうねえ…
たま:メカニックとしての大変さはまだサポートしてもらえそうだけど「生活」する部分も支えなきゃいけないっていうのがね…
遥:ホントですよ!
たま:お家の事とかごはんとか、いろいろ考えなきゃいけないもんね。
遥:ホントです!そうですそうです!…大変でしょうね。
たま:コレは書かれたくないなら書かないんだけども…「オーストラリアに行く」っていう話になった時に「え?!!!」みたいなのはなかったんですか?
遥:いやあ、それはなかったですね。
たま:最初からそういう心づもりでいらしたという事ですね。
遥:そうですね。ずっと彼自身が「海外で走りたい」って言っていたので。「別にいいんじゃない?」って。
たま:じゃあ、その時には自分が付いて行って支えるっていう心づもりでいらした?
遥:うーん、そういう訳ではなかったですね。
たま:え?違うの?!
遥:「1人で行く」なら行くで別に引き止めもしないし…って。で「一緒に付いて来い」って言うなら行きますよって。
たま:じゃあ、一緒に行こうと思ったのはいつなんですか?
遥:一番最初に「オーストラリアで走りたい」っていう話をされた時に「一緒に来てくれない?」って言われて「それなら、じゃあ行きますよ」と。
たま:じゃあご結婚されるのもその時に決めたの?
遥:いや、その時は全然…
たま:え?!!!違うの?!!
遥:違いますよ(笑)結婚しなくても行くつもりでした。
たま:そうなんだ…いやほら海外に行く時っていろいろ書類的手続き的にめんどくさい部分があるから結婚した方がいいよ…みたいな話になったのかと思ってました。違うのね…
遥:いや、全然。最初、会社も結婚しない前提で手続きを進めてくれていて、で、まあ、シーズン終わってプロポーズされて。
たま:ええ?!そうなんだ!!!
遥:そうなんです(笑)
たま:前にね、インスタのコメントで書かせていただいたけど、モータースポーツの世界で女性が働くっていうことがほんとに厳しいっていうのを…ちょっと身につまされる部分もあって、遥ちゃんのことはずっと気になっていて…いつかきちんとお話を聞こうと思っていたら、なんかもうそれどころじゃなくなっちゃって(笑)
遥:はい(笑)
たま:でもね、ホントにベストな形でのパートナーだと思うんですよ。…なので…がんばって!
遥:そうですね。がんばるしかないんで。
たま:ホントね、さっき遥希君が「なんとかなるでしょう」って言ってたの聞いて内心「なんもわかってねえなあ、ホントに女の人は大変なんだから」って思って(笑)
遥:ホントですよ!(笑)
たま:「生活」を支える事の大切さってわりと伝わらないよね。
遥:うーん、たしかに(笑)
たま:買い物ひとつだって大変なんだからって…
遥:そうです!!!(笑)
たま:今回が初海外だったりするんですか?
遥:USトレーニングに何回か…彼とも行ってたんで。海外自体は初めてではないですね。ただ、長期で生活するのは初めてです。
たま:ですよね。私も聞きかじりでしかないんだけども、海外は日本で当たり前のインフラがあたりまえじゃないらしくて…
遥:あああ…
たま:例えば何か、水道とかが壊れたとかいってもなかなか修理してもらえないとか…そういうハウスキーピング自体の大変さっていうのはなかなか伝わらないかもしれないなあと思ったんですよ。
遥:(笑)なんとかなるだろう、がすごいですよね(苦笑)
たま:言うたら「働く女性でなおかつハウスキーピングもしなきゃなんない状態」じゃないですか。「その大変さを少しは思い知れ」ですよ(笑)
遥:そうですそうです!言ってあげて下さい(笑)
たま:でも「遥ちゃんが英語できないから苦労するんじゃない?」って言ったら「彼女は頭がいいから大丈夫ですよ」って返ってきて「ああこれはもう全幅の信頼を置いてるんだな」と。
遥:そうなんですよね(笑)でも、そこ信頼されても…(苦笑)まあお互いに助け合って。
たま:助け合ってなんとかしてって… 2年間で得るものはすごくおっきいと思うので…。
遥:そうですよね。
たま:生活部分もですけどお仕事の部分、メカニックのお仕事としてむこうのチームに溶け込むにも言葉の壁とかもあったりするから苦労されるかと思うんですけど、その辺の不安みたいなものはありますか?
遥:うーん不安…うーん…
たま:まあカタカナ英語でもけっこういけるらしいんですよね。バイクの話は。
遥:はい、そんなカンジの事言われました。バイクの話はたぶんなんとかなると思います。なんとかするしかないんで。あとは、どうしても無理な時は横山君に頼るしかないし。
たま:協力しあって乗り切る、ですね。
遥:はい。
たま:ところでプロポーズの話とか書いちゃって大丈夫なの?
遥:全然!別に。
たま:2人の思い出だから大事にしときたいとかそういうのはないのね?
遥:全然!!(笑)
というわけで。インタビューでもわかるように本当にクレバーで明るくてぱきっとされていて、こんな人が公私ともにパートナーというのは「鬼に金棒」ってヤツだななんて思いました。横山選手のオーストラリア選手権への挑戦、どんなにしんどい事があっても遥さんと2人で笑いながら乗り切って行かれるのでしょう。このインタビューを読んでいただいて、ライダーの横山遥希選手だけでなくメカニックでありパートナーの遥さんも一緒に応援したいって思っていただけたら嬉しいです。
【編集】
前編後編と2回でお届けしました、<たまモト特別編>横山遥希「LITTLE GIANTの挑戦」オーストラリア選手権参戦記 vol. 1。いかがでしたでしょうか? 不定期連載となりますが、今後もオーストラリアに活躍の場を移した横山選手の様子をお届予定。横山選手のご活躍とともに、ご期待ください。以下は横山選手の応援グッズ販売についてのお知らせです。
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