たまモト特別編|横山遥希「LITTLE GIANTの挑戦」オーストラリア選手権参戦記
2021年4月、熊本県HSRで開幕を迎えた全日本モトクロスですが、その会場に昨年のIA2チャンピオン横山遥希選手の姿はありませんでした。ゼッケン1をつけた横山選手のアメリカ仕込みのぶっ飛んだ(文字通り!)走りを楽しみにしていたファンには残念でしたが、開幕直前にネットに流れた「横山遥希選手オーストラリア選手権に参戦!」というニュースを知るものにとっては、寂しさの中にも期待感を抱かせる「チャンピオン不在」だったのではないでしょうか。
えかきやが横山選手のオーストラリア選手権挑戦を知ったのは、多くのモトクロスファンよりちょっとだけ前、今年の早春のことでした。横山選手より「自分の応援グッズを制作販売するのでイラストを描いてほしい」というご依頼をいただき喜んでお手伝いする中で「実は今シーズン海外のレースに参戦するんです」とのお話を伺ったのです。その段階ではオーストラリアで活動する為のビザが降りていなかった為「まだ内緒」だったお話ですが、しばらくして横山選手の所属先「Empire Motorsports Kaswasaki」のインスタグラムアカウントのストーリーにて横山選手のオーストラリア参戦とチームへの所属が発表され、彼が乗るマシンの写真もアップされました(フライングだったそうです・笑)。これを追いかける形で横山選手がインスタグラムアカウントにて今シーズンの活動について発表、日本のファンの知る所となったわけです。
とはいえ、詳細はわからないまま、気がつけば横山選手は渡豪。横山選手を応援し続けたいファンにとっては知りたい事だらけです。そこで、えかきやは横山選手と相談。「たまモト」特別編にて彼のオーストラリア選手権参戦への経緯や今後の活動についてレポートさせていただく事といたしました。というわけで第1弾。まずはオーストラリア選手権参戦への経緯を渡豪直前(4月16日)横山選手に伺いました。
■海外参戦の経緯
たま:まずは海外のレースに参戦しようと決められた経緯について教えてください。
横山:そうですね…
たま:あ、まずは「2021年全日本を走らない」というのはいつ決めたんですか?
横山:去年のシーズンの途中ですね。第2戦終わった位には「海外に参戦する」っていう話が出て来てて。
たま:第2戦といっても去年は開幕が夏だったから、9月とかですもんね。
横山:そうなんですよ。だからその位から来年の体制は、とかいう話を始めていて、僕は「海外に行きたい」という希望を話しまして。本当はアメリカが第1希望だったんですけど会社の都合もありまして、アメリカは厳しいっていう事で。そこで、勝谷(武史)さん(編集者注:オーストラリア選手権MX2ランキング3位)からの提案で「オーストラリアもいいんじゃないの?」という話になったんです。オーストラリアだと会社としても体制が作りやすいという事から「じゃあ、オーストラリア選手権に出ようか」と。
たま:なるほど。でも現在のコロナの状況とかを考えるとオーストラリアで結果オーライだったんじゃないかという気もしますよね。
横山:そう…ですね。
たま:今迄オーストラリアに行った事は?
横山:ないです。
たま:じゃあ初めての土地に行くことになるんですね。
横山:そうですね。僕、アメリカしか行った事ないんで。
たま:いやあ、アメリカ行ったことあるだけでも十分すごいですよ?(笑)たしかに横山選手の場合、アメリカを走り慣れているから、最近までアマチュアで走っていた所に、プロフェッショナルとして体制もきちんとした状態で参戦したらどうなるか知りたいっていうのはありますよね。
横山:そうですね。
たま:でも、とりあえずはオーストラリアに参戦という事で。
横山:はい。
■オーストラリアへの道のり
たま:オーストラリアに行くという事になってからは、勝谷さんが力になってくれたりしたんですか?
横山:そうですね。勝谷さんはオーストラリアでのレースの参戦経験があるのでいろんな方に連絡したりかけ合ってくれて。レースの体制自体はKawasakiさんが整えてくれたんですけど、細かい部分…「誰と練習した方がいいよ」とか「誰のところ、どこらへんに行った方がいいよ」っていうのを教えていただいたんですけど。
たま:そういう細かい所って初めて行く場所だとなかなか情報が入らないから助かりますよね。
横山:そういうのは大きいです。
たま:これがヨーロッパとかだったらまた大変ですもんね。
横山:そうなんですよ。ヨーロッパだったら…鯨くんを頼るかなとか(笑)
たま:そっか、その線があるか!!(笑)まあ、オーストラリアを走るんだったら勝谷武史という人はものすごい心強いバックアップですよね。
横山:そうですね!
たま:そういえば先だって連絡した時にはまだビザが降りないっておっしゃってましたが…
横山:ビザ、水曜日(4月14日)にやっと降りたんですよ!
たま:よかった!!実はどうなるんだろうってドキドキしてました。(笑)
横山:ほんとに!もう「行けないんじゃないか」って思いましたよ(苦笑)
たま:インタビューの許可をいただくのに田澤監督(編集者注:Team Kawasaki R&D)に連絡した時に「いやー、バイクを送るのは簡単だったんですけど、人間送るのが大変なんですよ」っておっしゃってて(笑)
横山:そうなんですよ〜
たま:それじゃ出発は決まったのかな?
横山:出発は…実は今飛行機が意外と混んでいて満席なんですよ。それでキャンセル待ちをしているんですよ。20日と21日にキャンセル待ちを入れててそこで行けたらいいんですけどね。
たま:第2戦って、いつでしたっけ?
横山:第2戦も見送りです。
たま:間に合わないんだ?
横山:はい。第3戦が、5月の30日で。
たま:むこうに着いて(感染防止対策で)2週間動けないんですもんね。
横山:20日に行けたら5月の4日か5日に出られてそこから3週間くらいは準備期間があるので。第3戦には間に合うかなと。
たま:キャンセル待ちが延びてしまうと、その後の練習期間が短くなるからなんとか20日には旅立ちたいところですね。…なんせむこうの状況がわからないですもんね。どんなコースかも知らないしね。
横山:そういうのもありながら…チームともね、初対面ですし。
たま:いろんな意味でドキドキですね。
横山:(笑)ドキドキですねえ。
たま:アメリカで走っていた時はご家族で回っていたわけでしょ?
横山:家族で、プライベーターで。
たま:なので、海外の出来上がっているチームに入るっていうこと自体が初めてだもんね。その辺はどう思って?
横山:うーん、まあ、僕は英語がちょっと喋れるからまだマシかなあと。あんまり心配はないですけど。
たま:でも、遥ちゃん【今年1月にご結婚されたばかりのパートナーでありメカニックでもある横山遥さん】がインスタで「英語でけへんのにどうしよう」って…
横山:うーん、遥ちゃんが苦労する場面が多いかな〜とは思いますけど、そこは僕がフォローしていけば…
たま:メカニックは引き続き、遥ちゃんで。
横山:はい!
たま:オーストラリアに渡って向こうで生活するのにまあ…ご飯つくったりとかそういうのも遥ちゃんがやるのかな?そうすると遥ちゃんがけっこう大変なのでは?
横山:そうですね。「主婦ニック」です。
たま:今から英語勉強するっていうのも…
横山:英語はまあ話していけばなんとかなると思うんで…彼女、頭がいいんで。
たま:その辺は信頼してるのね。
横山:信頼してますし…うん、なんとかなりますよ!僕がなんとかなったんで(笑)
たま:メカニックとしてお仕事される時にもあちらのチームのサポートがいろいろと入ると思うんですけど、バイクのこと自体は言葉が通じなくてもなんとかなるみたいな話を海外で活動されたメカニックさんからも聞くので…
横山:バイクのパーツの名前なんかも英語じゃないですか。そこらへんは日本でもカタカナ英語で共通しているからわかると思うんですよ。細かなニュアンスとかは僕がサポートして…その辺は助け合いながら。
たま:タイトルイラストみたいに二人三脚で。
横山:あああ!そうですね!
たま:応援グッズ第2弾ということで、あのイラストを使ってグッズを作られるという話になってて。詳細は後日ってカンジですかね?
横山:そうですね。Carry Designさんにお願いしているので。
たま:すでに第1弾でTシャツを販売されていましたが、どうでした?
横山:おかげさまでかなり売れました。あのTシャツもCarryさんのデザインなんです。たまさんのイラストのヤツも楽しみです。
■オーストラリア選手権参戦の準備について
たま:話を元に戻すと勝谷さんの助言もあってオーストラリアで走ると決めて、会社とも話し合いをされて…むこうのチーム【Empire Motorsports Kawasaki】の手配はKawasakiさんがやって下さったのかな?
横山:そうです。オーストラリアの中で一番上のKawasakiのチームというか。Kawasakiがサポートしているチームなんですよね。
たま:その辺はかなりスムーズに?
横山:かなりウエルカムなカンジですね。
たま:そういえばずいぶん早く、いわばフライングなカンジで発表されてましたもんね、インスタで。バイクも準備できてるよって写真もアップされてて…
横山:そうなんですよ、バイクもデカールも準備してくれてて、けっこう前向きにやってくれてますね。
たま:コミュニケーションもライダー自身は問題ないしね。
横山:そうなんですよ。インスタグラムのビデオチャットみたいに通話ができるんですけど、それでちょこちょこ相談っていうか、いろいろとオーストラリアの情報を聞いたりしてコミュニケーションがとれてたんで。すごく雰囲気のいいチームオーナーさんとチームメイトの中ですんなり行けるのかなあという感触ですね。
たま:おおお!それは嬉しいですね。逆に「ここはちょっと不安なんだよね」というような事は?
横山:うーん、むこうに着いてからいろいろ…家とか車とか(の手配を)全部自分たちでやらなきゃならないんで。どこに住もうかなあとかどの車買おうかなあとか…
たま:とりあえずはホテル住まいで、場所が決まったらお家を買うなり借りるなり?
横山:家は借りて車は…買わないと。そこら辺が心配な部分ですよね。
たま:それこそどこに住むかどんなお家にするかというのはパートナーも気になる所だと思うんですけど…どっちが主導権持ってるんですか?(笑)
横山:いや、それはけっこう話をして…2人がいいって思うところがいいので、どっちもが納得いくような家、車があれば。
たま:なんとなくこの辺なのかなというのは?
横山:メルボルンですね。チームの拠点がメルボルンなのでその周辺に。
たま:オーストラリアはかなり広いから選手権を回る時は飛行機移動になるんでしょ?
横山:ほとんど飛行機になります。バイクとかはチームに運んでもらって、僕とはるかちゃんは飛行機移動ってカンジです。だから空港へのアクセスも良くないといけないですね。
たま:そういうのは心配でもあるけど、わくわくもするんじゃないですか?
横山:わくわくの方がデカイです。(笑)
【編集】
えかきやたまさんと横山選手とのお話はまだまだ続くのですが、前編はここまで!
後編は、オーストラリアのレース事情や気になる今後の参戦プランについての具体的なお話が聞けます。そして、メカニックでありパートナーでもある、遥さんのインタビューと併せて近日中にお届け予定です。。
以下は、インタビュー内でも触れられていた、横山選手の応援グッズ販売についてのお知らせです。
ご購入・お問い合わせは、横山選手のインスタグラムアカウント(@haruki386)にて「〜5月31日」まで受付中です。