たまモト|2022 全日本モトクロス注目ライダー「たま推し」vol. 1

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似顔絵イラストとインタビューでお送りする「たまモト」、2022年の第1弾。あなたの「推しライダー」を見つける一助となれば幸いです。

今回は開幕直前スペシャルということで、今シーズンの活躍が期待される4名のライダーを紹介いたします。

 

 

■富田俊樹【IA1 / #2】Instagram:@toshiki_317

昨年の最終戦、わずか1ポイントの差でチャンピオンを逃して悔しい想いをされた富田俊樹選手。今シーズンに賭ける思いはいかばかりか…といった真面目な切り口だけでなく、ちょっと気になるプライベートについても遠慮なく伺ってしまいました(笑)。

たま: それでは今シーズン「たま推し」第1弾ということで。たまさんの推しといえばまず「とっち」でしょうと。
富田:ありがとうございます。でもあの…「推し」って言われるような年齢なのかなって気もするんですけど
たま:え?なんですって?!
富田:「推し」って、なんかこうアイドルとかそういうカンジなのかなって…
たま:そういうことね!推しに年齢は関係ないですよ。やっぱり皆さんに伝えたいじゃないですか、今年の富田選手を観てくださいよって。
富田:ありがたいです(笑)

★昨年をふりかえって

たま:ということで、去年、最終戦はものすごく悔しい終わり方でしたけども。
富田:そうですね、1ポイント差でチャンピオンに届かなくて。でも、追う立場だったし… ちょっと詰めが… 詰めがっていうか、出し切った感はあったんですけど…
たま:どちらかというと「間が悪かった」というか「噛み合わなかった」カンジでしょうか?とっちの何かが悪かったわけではなく…
富田:緑の人(能塚智寛選手)が速かった(苦笑)
たま:そういうことなのかな(笑)
富田:レース中に「良い自分」と「悪い自分」が出る瞬間があるんですけど、あの時もヒート2の中盤迄は自分の「良い自分」が出てたので「あ、これはこのまま行ったら(チャンピオン)イケルな」と思って、それで気を抜いたつもりはないんですけど、その時にちょっとミスって、そこから「悪い自分」が出ちゃって。
たま:たった30分と少しの間にいろんなドラマがあったのね?
富田:僕の中ではありました(笑)
たま:そんな事があった昨シーズンでしたが。逆を言えばね、今度は大丈夫ってことだと思うんですよ。
富田:そうですね、同じ過ちはくり返さないっていう。でも、その前もランキング2位だったんで同じ過ちをしてることになるのかな?(苦笑)
たま:じゃあ今度は「三度目の正直」ってことですね。
富田:そうですね。「二度ある事は三度ある」にならないように。
たま:おいおいおいおい…
富田:(笑)
たま:とっちはどちらかというと心配性?
富田:心配性ですね、かなり。けっこうその辺自分でコントロールできないというか。自分の手札が完全に揃ったら自信あるんですけど「ちょっと今回揃え切れてないかも」って思ったら一気に不安になるんですよね。
たま:それはかなりしんどい生き方ですねえ。
富田:そうなんですよねえ…
たま:それこそ応援が必要なんじゃない? 応援によって力が増えるタイプなんじゃない?
富田:増えます、増えます! 応援してほしいですよ、本当に。

 

★自分自身が敵

たま:そんなとっちの今年のライバルはチームメイトですか?
富田:(渡辺)祐介にはもちろん負けられないし、能塚(智寛)はポテンシャルが高いし、強敵になるなあと思うんですけど、結局はさっきも言った「自分をコントロールできない」っていうのがあるので、そこを克服して… 自分を理解して自分に勝つことができれば。
たま:ある意味「いちばんの敵は自分」みたいな?
富田:それ、よくかっこ良く言うのを聞きますけど… まさに最近ホントにそれを感じますね。
たま:かっこよく聞こえるけどホントにそうなんだという「実感」があると。
富田:最近、特に思いますね。
たま:では今年の課題は「自分に勝つ」なんですね。
富田:そうですね。それができたら… ビックボスじゃないですけど… 最終的に「お?チャンピオン獲れるんじゃね?!」ってなってればいいなあって。
たま:まだ自分自身のセッティングが定まっていないのね。
富田:「これとこれとこれが揃えば絶対勝てる」ってのはあるんですけど、それがねえ…難しいんですよ(苦笑)「こないだはこれをこうやって思えたのになんで今日は思えないんだろう」とか。
たま:メンタルの部分のセッティングだからね… いっそ座禅とかやってみるといいのかもしれないですね(笑)精神統一できるようになんかこう…
富田:ホント、そういう事なのかなとも思いますね。
たま:とりあえずは皆に応援してもらって、その部分を補うというか背中を押してもらってというのは?
富田:それですね!
たま:実際のところ、走っている時に(応援が)見えたり聞こえたりするものなの?
富田:してますしてます!してますし、やっぱり、レース前とかでも声かけてもらえるのは嬉しいですね。人によっては「今はかけないほうがいいかと思った」って遠慮されたりするんですけど、僕の場合は逆に、(声をかけてもらったほうが)自分にのめり込まなくていいからありがたいです。
たま:スタート直前にお客さんが「がんばれ〜○○〜!」とか声かけたりされるじゃないですか。ああいうのもありですか?
富田:僕は嬉しいですね。むしろ「誰かいないかな〜」って探しますもん(笑)
たま:じゃああそこで「とっちー!」とか「勝てー!」とか言われたら(気分が)アガるタイプ?(笑)
富田:それはアガりますね。なんかこうスタート前に(山本)鯨なんかは眼をつぶって集中してたりするじゃないですか? あれ、かっこいいなあって思って僕もやってみたことあるんですけど、いろいろイメージしてたらどんどん心拍数が上がって来て「あー!ダメだダメだ」って(笑)
たま:(笑)内に向かわず外に向かった方がいいタイプなんですね?
富田:ですね。結局、レースが始まってみないと何もわかんないんで。

★ご結婚について

たま:ときに今年に入ってご結婚されましたけども、そこは触れても大丈夫ですか?
富田:大丈夫ですよ、触れちゃってください(笑)入籍したのが1月1日で。相手はかねてよりお付き合いしてた… みたいな(笑)
たま:かねてよりお付き合いされてたんですね。知りませんでした。私、そういうのほんと疎くて(笑)
富田:(笑)1年半くらい付き合ってて1年くらい経ったあたりで「あ、結婚していいなあ」って思って。
たま:なんでそこで「結婚していいなあ」って思ったの?
富田:なんでですかねえ?(奥さんが)けっこう気が強いんですよね。ヨガのフリーインストラクターなので個人事業主みたいなカンジで。それで「気が強いけど自分をしっかり持ってるなあ」って。一緒にいて見習うところがあるなあって思って。
たま:年齢は同じ?
富田:いや、全然(奥さんの方が)下ですよ。
たま:とっちは、どっちかというと頼られるより頼りたい人でしょ?(笑)
富田:そうなんですよね(笑)外では頼られてる感でありながら実は頼りたいっていう(笑)
たま:支えられ体質だからしっかりしたひとがいいんだね。
富田:そうですね。僕、正直「結婚するのかなあ」って思ってたし、ひとりでいるのがけっこう好きだったんですけど、それが覆った感がありましたね。まあでも、けっこうぶつかりますけどね(笑)
たま:喧嘩しちゃう?
富田:喧嘩っていうか… どっちも退かないっていう(笑)でも、それぐらいの方がいいのかなって。今迄そういうのがなかったんで。
たま:そのくらいの方が頼もしくていいっていう?
富田:そんな気がしました。これからはひとりじゃない、支え合うというか… 家族ってどんなもんなんだろうとか考えながら。…って言ってもまだ3ヶ月くらいしか経ってないんでいろいろ勉強しながら、日々を過ごしています。
たま:結婚した事はさっき問題視していた「メンタルの安定」には繋がらないのかしら?
富田:それはあんまり繋がらなかったですね。
たま:そっかあ、じゃあホントにレースのメンタルは全くの別ものって感覚なんですね。
富田:あ、でも、普段会話していく中で…夫婦になってむこうがはっきり言ってくるんで、その言って来た事に対して自分でも冷静に「ああ、俺ってこういう性格なのかな」とか考える時間ができたので…。
たま:ひょっとしたらそこから、課題である「メンタルの安定」っていうのが出てくるかもしれないですね。
富田:それは…どうなのかなあ?
たま:そこで楽観視はしないんだ(笑)

という訳で、ご自身のウイークポイントについてや、奥様のことなどかなりあけすけに話してくださった富田俊樹選手。この飾らないカンジがとっちの魅力なんだなと改めて思いました。こちらが思っている以上に「応援が力になる」と教えてくださったのでファンの皆様はぜひとも大きな声援を。あなたの声がとっちをチャンピオンに押し上げることになるかもですよ。

 

■安原志【IA1 / #10】Twitter: @NozomuYasuhara, Instagram:@nozomu_yasuhara

気がつけばいつのまにかベテラン… な安原選手。常日頃あまり多くを語られない『のぞさん』のIA11年目の思いや、密かに続けておられるスクールについていろいろ語っていただきました。

たま:こうやってお話しするのは久しぶりですよね。
安原:そうですよねー。
たま:のぞさんとはもう随分長いおつきあいになるけど、なかなか記事にさせていただく機会もなくて。でもSNSの発信とか見てるとホントにいろんな事をされてるからこのへんで紹介しておかないとなって。…のぞさんはIAになられて何年目?
安原:2010年にA級になったんで… 今年で、11年目ですね。
たま:そんなになりますかーー!あれですよね、竹中君とか小川君とかと同期になるんですよね。あと飯田くんとか。
安原:そうですそうです。
たま:あの世代はすごく印象に残ってて、藤沢でボイレコ(ルーキーインタビュー)集めてたんだけど、のぞさんは怪我かなんかでお休みされてて…
安原:A級1年目の時、僕、名阪で指を怪我しちゃってしばらく出てなかったんですよ。
たま:そうだよね。で、のぞさん会場にいないのに、同期のライダーが口を揃えて安原君が安原君がって言うもんだから、いないのにすごい存在感で(笑)
安原:そうでしたかー(笑)

★IA 11年目の意気込み

たま:で、どうですか11年目の意気込みは?
安原:YAMAHAからKawasakiに移って5年、今のKX450で2019年にモデルチェンジしてマシンの方もかなり詰められてきてるんで… ちょっと不調な時もあったんですけど、それも克服しながら。今年は開幕戦からばっちり決めていきたいなっていうのはありますね。
たま:去年の後半戦から調子を上げてきたなっていう感触があったんですけど。
安原:そうですね。去年はインターバルが長かったじゃないですか、その4ヶ月で(練習の)やり方変えて考えながらやったのがたまたまうまく行ったのかなあと思いますね。
たま:練習のアプローチを変えてみたらそれがうまくハマってそれが現れた後半戦だったと言う事ですね。じゃあ、今年はアタマから行けそう?
安原:そうですね。行きたいですね。けっこうね、シーズンオフも忙しかったんで、自分のバイクに乗れてないこともあったんですけど、マシンが基本的に変わってないんで、開幕から行けるんちゃうかなとは思ってます。

★ビーチレースに出てみて

たま:そういえばシーズンオフにビーチレースに出られたそうで…
安原:ビーチ自体走る事が初めてやったんで… テストとかでは乗ってましたけどレースとしては初めてやったんで最初ビビりながら出たんですけど楽しかったです。まあ、負けちゃいましたけど(笑)。茨城の神栖ってとこで、海水浴場なんで駐車場とかもちゃんとあって砂浜もすごい広いんでいいなあと思いました。
たま:気持ち良さそうでしたね。
安原:コースレイアウトもブル入って造ってあって環境も良くって。ジャンプはないんですけど、けっこう全開で走るから迫力あるんですよね。砂も巻き上げるし。普段応援してくれてる人達が来てくれて、凄く良かったって行ってくれたんで、また時間が合えば出たいなと思ってます。まあ、レースは楽しいのが一番なんで。

★ZOMスクールについて

たま:のぞさんはスクールもやってらっしゃるじゃないですか。
安原:はい、ぼちぼちやってますね。今はいろんなライダーが大々的にスクールをやってますけど、僕はまあ細々と(笑)自分が(モトクロスで)やってる事でも一般の人がわからない事っていっぱいあるんですよ。モトクロスは危ないし金かかるしっていうんでハードルが高いから、僕がスクールで教える事でちょっとでもハードル下げれたらいいなあって思って。地元の三木アネックスパークっていうコースで基礎的な事を教えてます。個人的なスクールもですけどちょっとイベントみたいなカンジでのスクールもやってて、ちょっとずつ普及活動的な事もやるのが僕たちの使命なんかなって、やれることからやっていこうって考えてます。
たま:そういう活動はいつぐらいからやろうと思ったんですか?
安原:2年ほど前からですね。モトクロス人口が減っていってるじゃないですか、そんな中で僕らレースに参加してて「こうしたらいいのにな」って思うことはあるけど個人ではできないんですよね、あくまで参加者なんで。でも、自分が好きなモトクロス… A級を11年やってて… そのモトクロスを広めたいなって思っている自分ができる事といえば教える事で。やれることはやりたいな、ベストを尽くしたいなという思いが自分の中にあったんです。それで一般の人が「こうやって乗れたら」って思っている所、言うたら「操る楽しさ」っていうか… 乗っていて「おかしいな、すべるな、転けた、痛い、もうやめた」ってなるんじゃなくて、「あ、ジャンプ綺麗に飛べた」とか「曲がれた」とかそういう… 別に速く走るだけやなくて「操ってる」っていうのを教えられたらなと。自分が思ったように操れるようになるとバイクは楽しいと思うんで、そういう楽しさを知ってもらえたらモトクロス人口も減らないかな… みたいな。
たま:レースで競うとかそういう所じゃなくて、バイクに乗って楽しいっていう一番最初の部分を伝えたい、みたいな事なのね?
安原:そうですね。それと、年配の人… おっちゃん連中で昔乗ってて一回降りて何十年かしてまた乗りますっていう時に、昔のバイクと今のバイクって全然違うんで… 排気量も上がってるしバイクの性能も上がってるから… パワーが出過ぎてるから危ないんちゃうかって思ってて。アクセルあけたらすぐ腕あがっちゃうとか、そうなったら楽しくないじゃないですか。それで「年やからなあ」みたいな事を思ってやめるってなるのは勿体ないし嫌なんで。現役でジュニアから走ってる子達を教えるスクールはやってる人がいっぱいいるんでそっちに習いに行ってもらったらいいと思うんです。僕は、言うたら地方選手権にも出ないけど楽しんで走ってる方とか、地方選手権もNBとかNAとかだと40代、50代の方も多いんでそういう人らに(自分が)教える事で楽しく乗ってもらえたらいいかなと。
たま:なるほど。わりと全年齢にあわせて…
安原:まあ、意外と基礎はできてない人がいっぱいいるんで。基礎って言うてもモトクロスは難しいんですよね。路面が荒れてたりとか雨が降ったらぐちゃぐちゃになるし、ジャンプはあるし… 考えることが非常に多いから基礎をやるって言っても教えてもできないことってけっこう多くて。それを「この順番でやったらけっこう楽に行けるよ」みたいな、そういうことを教えるカンジですね。
たま:なるほどねえ。なんかね、ちょっと意外でした(笑)のぞさんね、わりと人と喋るの得意じゃないのかなと思ってたけど、全然そんな事なかったね(笑)
安原:そんな事ないですよ、喋るの全然だめですよ。
たま:いやいや、今、話してるの聞きながら「さすが安原さやの弟」って思ってました(笑)
安原:いやいや、相手がたまさんだからですよ(笑)
たま:そんなのぞさんのスクール、きっと教わりたい人はがたくさんいる気がします。地元じゃなくても習いたいなって人とか。
安原:実は、遠方の人にはzoomでのオンラインレッスンもやってるんですよ、去年から始めてぼちぼちやってますね。
たま:おお! 使いこなしてるねえ、今どきのツールを!
安原:仕組みがね、いろいろあるじゃないですか、使いこなすのにいっぱいいっぱいです(笑)

というわけで、びっくりするくらい沢山お話してくれた安原のぞさんでしたが、モトクロスへの愛がいっぱい詰まっていて聞いていて胸が熱くなりました。そんなのぞさんに教わりたいと思った方はぜひ三木アネックスパークのZOMスクールへ。そして全日本のレースではぜひとも大きな声援をお願いいたします。

<ZOMスクール>お問い合わせ先:三木アネックスパーク

 

【編集注】
IA2クラスのたまモト「推しライダー」のインタビュー記事も準備中なのですが、IA1クラスの富田選手と安原選手のインタビューで Vol. 1 は終了。思いの外ボリュームが出てしまったので、IA2クラス分は Vol. 2 として近日中に掲載を予定しております。それまで、えかきやたまさん描き下ろしのトップイラストから誰がたまモト「推しライダー」としてピックアップされているかを想像しながら… しばしお待ち下さいませ。お楽しみに!

 

たまモト – The Newsmoto


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